黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。
2024年6月4日
キャッシュレス
スマホ決済
キャッシュレス決済の導入にあたり、電子マネーを選択肢として考えている事業者も多いかもしれません。電子マネー決済の導入を検討する際には、そのメリットとデメリットをしっかり把握しておく必要があります。また、電子マネー決済を導入する店舗にとってのメリット・デメリットだけではなく、利用するお客さまにとってのメリット・デメリットも知っておくとよいでしょう。
ここでは、電子マネーのメリットとデメリットを、電子マネーのタイプ別に解説していきます。
近年、電子マネーを利用する人は増加傾向にあります。その背景には、次のような電子マネーのメリットがあります。
お買物の際に電子マネーを利用すれば、現金を持ち歩く必要がありません。会計時も、財布からお金を取り出したり、釣銭を受取ったりする手間がかからず、支払いが非常にスムーズになります。手持ちの現金が足りず、慌てて銀行やATMを探すようなこともなくなります。
電子マネー決済は、専用の決済端末にICカードやスマートフォンをかざすだけで支払いが完了します。手に触れるのは自分のICカードやスマートフォンだけなので、衛生面でもあんしんです。「どこで誰が触ったのかわからない紙幣や硬貨に触れる機会を減らしたい」という理由から、電子マネーでの支払いを選ぶ人も少なくありません。
電子マネーのなかには、利用金額に応じてポイントがたまるものがあります。同じ金額を支払っても、現金払いの場合はポイントがつかないので、電子マネーの方がお得にお買物ができることになります。
個人間送金とは、スマートフォンのアプリなどをつかって電子マネーを送金する方法のことです。個人間送金の機能を備えた電子マネーなら、遠方の家族や知人にお金を送りたいときや、割り勘をするときなどにとても便利です。
多くの電子マネーは、スマートフォンのアプリと連動させることができ、アプリ上で支払履歴を確認できます。支払履歴を簡単に把握できるので、家計管理に役立ちます。アプリでこまめにチェックする習慣をつければ、つかいすぎも防げるでしょう。
電子マネーは、さまざまなタイプにわけることができ、それぞれに特徴があります。
支払方法によるタイプは3種類あります。事前にお金をチャージする前払いの「プリペイド型」、利用金額がすぐに引き落とされる即時払いの「デビット型」、クレジットカードと連携した後払いの「ポストペイ型」です。
また、使用する決済ツールによって、専用のICカードをつかう「カード決済タイプ」と、スマートフォンアプリをつかう「スマートフォン決済タイプ」の2つのタイプにわけられます。
主なメリットは下記の図のとおりです。
■電子マネーのタイプ別メリット
ここからは、電子マネーのそれぞれのタイプ別に特徴とメリットを紹介していきます。
プリペイド型の電子マネーは、事前に専用のICカードやスマートフォンのアプリにお金をチャージしてつかいます。チャージ残高を超える支払いはできないため、クレジットカードのようにつかいすぎてしまう心配がありません。また、現金によるチャージが可能なので、クレジットカードや銀行口座と紐づけなくても利用できます。
デビット型の電子マネーは、銀行口座やデビットカードに連動させ、利用金額が決済と同時に口座から引き落とされる仕組みです。チャージの手間がかからない上、お金の管理がしやすいというメリットもあります。
ポストペイ型の電子マネーは、一定期間の利用金額が、クレジットカードを経由して後日まとめて引き落とされます。事前チャージの必要がないため手間がかからず、残高不足の心配もありません。また、クレジットカードとは異なり、基本的には決済の際に暗証番号やサインは不要です。
カード決済タイプの電子マネーは、電子マネー事業者が発行した専用のICカードをつかって支払いをするタイプです。代表的なものに、交通系ICカードや流通系ICカードなどがあります。ICカードを専用の決済端末にかざせば支払いができるので、スマートフォンなどのデバイスが必要ありません。
スマホ決済タイプは、スマートフォンの決済アプリに電子マネーを登録して使用します。専用の決済端末にスマートフォンをかざせば支払いが完了するため、財布やICカードを持たず、スマートフォン1つでお買物ができます。また、電子マネーごとにアプリをダウンロードして登録しておけば、店舗や利用シーンに合わせて、複数の電子マネーをつかいわけることが可能です。
便利に支払いができる電子マネーですが、利用するお客さまにとってデメリットもあります。そのひとつが、電子マネーによっては利用できる場面が限られることです。電子マネーには多くの種類があり、店舗によって、自分がつかいたい電子マネーに対応していない場合があります。
また、電子マネーはチャージ限度額や1回あたりの利用限度額が定められており、高額なお買物にはつかいづらい傾向があります。
電子マネーのタイプ別に見たデメリットについても確認しておきましょう。主なデメリットは下記のとおりです。
■電子マネーのタイプ別デメリット
プリペイド型の電子マネーは、事前にお金をチャージしなければ使用できないため、手間がかかります。また、チャージしたお金は原則として払い戻しができません。
デビット型の電子マネーの場合、連携した銀行口座の残高以上の金額の利用はできません。つかいすぎが心配な人にとっては向いていますが、口座残高以上の出費にも対応したいと考える人には不便に感じるでしょう。
ポストペイ型の電子マネーは、クレジットカードと同じように後払いの仕組みなので、ついお金をつかいすぎてしまう可能性があります。支出状況をしっかりと把握しておかないと、後で引き落とし金額を見て慌てることにもなりかねません。
カード決済タイプの電子マネーは、ICカードの発行にあたり、預り金や発行代金など数百円程度の費用がかかる場合があります。また、スマホ決済タイプがアプリをダウンロードして電子マネーを登録するだけでつかえるのに対して、カード決済タイプは、最初にICカードを受取る手間が発生します。
スマホ決済タイプの電子マネーは、スマートフォンなどのデバイスがなければつかうことができません。スマートフォンを持っていない人をはじめ、スマートフォンやアプリの操作に慣れていない人にとっても、利用ハードルが高いかもしれません。また、充電切れや故障といったスマートフォンそのものが利用できない状況では、スマホ決済タイプの電子マネーも利用ができなくなってしまいます。
ここまで、利用するお客さまにとっての電子マネーのメリットとデメリットを紹介してきました。では、店舗側にとっては、電子マネー決済を導入すると、どのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
電子マネー決済を導入することで、会計時間が短縮され、レジの混雑緩和につながります。電子マネー決済は、専用の決済端末にICカードかスマートフォンをかざすだけで支払いが完了します。お客さまからお金を受取って確認し、釣銭を渡す、という一連の作業がなくなり、クレジットカードのように暗証番号の入力やサインも必要ありません。
会計業務の効率化により、回転率上昇や、人件費の削減なども期待できます。
キャッシュレス決済のニーズは、近年ますます高まっています。なかでも、財布を持たずにスマートフォン1つで外出できる手軽さから、スマホ決済タイプの電子マネーを利用する人が増えています。電子マネー決済を導入することで、そのようなお客さまのニーズに対応でき、販売機会の損失を防げるでしょう。
電子マネー決済を導入すると、1日の売上が現金払いと電子マネー決済に分散され、レジに置く現金が少なくなります。釣銭のために大量の小銭を用意したり、レジ締めで多額の現金を数えたりする手間も軽減されるでしょう。現金管理業務が大幅に効率化され、精算ミスや集計ミスのリスクも抑えることができます。
電子マネー決済の導入にあたっては、メリットだけではなく、デメリットについても把握しておくことが大切です。電子マネー決済の導入には、次のようなデメリットがあることも知っておきましょう。
電子マネー決済を導入するには、専用の決済端末が必要なため、初期費用がかかるケースが多くあります。また、お客さまが電子マネー決済をすると、所定の決済手数料が発生します。電子マネー決済を導入する際には、初期費用や運用コストをふまえて検討する必要があるでしょう。
電子マネーを含むキャッシュレス決済は、通信障害やシステムトラブル、停電などが起こると利用できなくなってしまいます。電子マネー決済の導入にあたっては、万が一のトラブル時にどのような対応が必要か、あらかじめしっかり確認しておきましょう。
ここからは、電子マネーに関して一般的によく聞かれることのある質問を紹介します。導入する店舗にとっても知っておくとよい内容もありますので、参考にしてください。
電子マネーのリスクとしては、ICカードやスマートフォンの紛失・盗難による不正利用や、他人の電子マネーへの不正送金などが挙げられます。不正利用の被害を防ぐために、スマートフォンやICカードはしっかりと管理しましょう。
まず大切なのは、ICカードやスマートフォンを紛失しないように心掛けることです。さらに、スマートフォンの場合は、パスワードロックや生体認証などでセキュリティを強化することをおすすめします。不審なメールのURLをクリックしないなどの注意も必要です。電子マネーを不正利用された場合、サービスによっては補償を受けられる可能性があるため、規約などを事前に確認しておきましょう。
電子マネーとクレジットカードは、どちらか一方だけではなく、賢くつかいわけたり連携したりすると便利です。たとえば、少額のお買物や、支払いをスピーディーに済ませたいときは電子マネーで、高額な商品を購入するときはクレジットカードで、というように、シーンに応じてつかいわけるとよいでしょう。
電子マネーにはたくさんの種類があるため、自分に合ったものを選ぶことが大切です。例えば、普段よく利用する店舗で導入している電子マネーや、利用できる場所が多い電子マネーを選ぶとよいでしょう。スマートフォンに複数の電子マネーのアプリをダウンロードして登録しておけば、利用シーンによってつかいわけも可能です。
電子マネーにはさまざまな種類があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。最近では、ライフスタイルに合わせて、複数の電子マネーをつかいわけている人も少なくありません。店舗側も、複数の種類の電子マネー決済に対応することで、幅広い層のお客さまのニーズに応えることができます。
電子マネー決済を新たに導入するなら、おすすめなのがd払いです。d払いは、スマートフォンのアプリをつかって行うキャッシュレス決済です。d払いなら、9,000万人を超えるdポイントクラブ会員に店舗の存在をアピールでき、集客・売上アップが見込めるでしょう。
また、ドコモでは、d払いの加盟店を対象とした「スーパー販促プログラム」を提供しています。スーパー販促プログラムとはdポイント会員基盤を活用した法人向けプログラムのことで、集客や分析、利用単価アップといった施策ができるようになります。
電子マネー決済の導入をお考えの場合は、ぜひ、ドコモのd払いをご検討ください。
スマートフォンからでもダウンロードいただけます
よくあるご質問
電子マネーのメリットはなんですか?
電子マネーを使うメリットとしては、以下のことがあげられます。
①現金を持ち歩かなくてもよい
②衛生面でもあんしん館がある
③ポイントがためられる
④個人間送金の機能がある
⑤支払履歴を確認しやすい
電子マネーのデメリットはなんですか?
電子マネーにはデメリットもあります。電子マネーによっては利用できる場面が限られることです。多くの種類があり、店舗によって、自分がつかいたい電子マネーに対応していない場合があります。また、チャージ限度額や1回あたりの利用限度額が定められており、高額なお買物にはつかいづらい傾向があります。
どの種類の電子マネーを選ぶのがいいですか?
電子マネーにはたくさんの種類があるため、自分に合ったものを選ぶことが大切です。よく利用する店舗で導入しているものや、利用できる場所が多い電子マネーを選ぶとよいでしょう。複数の電子マネーのアプリをダウンロードして登録しておけば、利用シーンによってつかいわけも可能です。
監修者プロフィール
黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。
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