黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。
2022年12月22日(最終更新日:2024年6月27日)
キャッシュレス
QRコード決済
スマホ決済
キャッシュレス決済の普及に伴い、ドコモの「d払い」をこれから店舗に導入しようと考えている人も多いかもしれません。新たな決済方法を導入するとき、まず気になるのが、導入費用や手数料といったコストではないでしょうか。
ここでは、d払いの特徴や手数料のほか、d払い導入による店舗のメリットやd払い利用者のメリットについて解説します。
d払いとは、ドコモが運営するキャッシュレス決済サービスです。ネットショッピングのほか、街でのお買物もスマートフォンひとつで支払いできます。街でのお買物の場合は、お客さまがスマートフォン画面に提示したコードを店舗が決済端末で読み取るストアスキャン方式か、店頭に掲示したQRコードをお客さまがスマートフォンで読み取るユーザースキャン方式か、いずれかの方法で支払いが完了します。
d払いの利用代金を支払うには、クレジットカード払い、預金口座またはセブン銀行ATMからのチャージのほか、ドコモの回線契約があれば電話料金合算払いも選択することが可能です。なお、ドコモの回線契約がなくても、dアカウントを作成すればd払いを利用できます。
d払いをはじめとするQRコード決済は、スマートフォンひとつで支払いができるという手軽さと利便性から、近年急速に利用者が伸びています。総務省の「令和3年 情報通信白書」によると、約2人に1人(約51.1%)がQRコード決済を利用しています。年代別に見ると、特に20代および30代がQRコード決済を多く利用しているため、20代・30代をターゲットとしている店舗がQRコード決済を導入すれば、集客・売上の向上が期待できるでしょう。
■クレジットカード決済・デビットカード決済およびQRコード決済の利用状況
参照:総務省「令和3年 情報通信白書」
2020年9月から、ドコモが提供するd払いと、メルカリが提供する「メルペイ」のQRコードが統一され、共通QRコードでの利用が開始されました。これにより、導入する店舗は、ひとつのQRコードでd払いとメルペイの2種類の決済に対応することができます。d払いとメルペイの両方の利用者の来店を見込めることに加え、ユーザースキャン方式ならレジ周りに複数のQRコードを掲示しなくて済むため、スペースの効率化にもつながるでしょう。
なお、d払いとメルペイの共通QRコードでの加盟店の決済手数料は2.6%です。
d払いを導入することによってかかる手数料は、「決済手数料」と「振込手数料」に分けられます。それぞれの手数料について、詳しく見ていきましょう。
決済手数料とは、お客さまがd払いを利用した際に、加盟店が支払う手数料のことです。d払いの決済手数料は、メルペイとの共通QRコードの場合は、2.6%です。たとえば、売上が10万円なら決済手数料は2,600円となり、消費税相当額を加えた2,860円が売上から差し引かれて、9万7,140円が店舗指定の口座へ入金されます。
振込手数料は、d払いおよびメルペイによる売上が、店舗の口座に振り込まれる際にかかる手数料のことを指します。振込手数料は、原則として無料です。なお、入金額が1万円未満の場合は、入金額が1万円以上になるまで翌月以降に繰り越されますが、200円(税込)の振込手数料を支払うことで設定した入金サイクルでの入金も可能です。
また、d払いの入金サイクルは、月1回または2回から選べます。入金サイクルを月2回にしても、入金額が1万円以上であれば振込手数料はかかりません。
入金サイクルについては、下記の記事をご覧ください。
お客さまがd払いを利用した場合に店舗が受取る金額は、売上から各種手数料を差し引いた金額です。メルペイとの共通QRコードの場合、d払いの利用にかかる手数料は下記のとおりです。
<d払いの利用にかかる手数料(メルペイとの共通QRコードの場合)>
つまり、d払いの利用にかかる手数料は、入金が1万円以上であれば2.6%の決済手数料のみ※1、入金が1万円未満の場合は、2.6%の決済手数料と200円の振込手数料の合計額になります。
以上の内容をもとに、最終的な口座入金額を計算してみましょう。
10万円(売上)−2,600円(決済手数料)−260円(決済手数料消費税相当額)=9万7,140円(口座入金額)
5,000円(売上)−130円(決済手数料)−13円(決済手数料消費税相当額)−200円(振込手数料)=4,657円(口座入金額)
ただし、前述したとおり、売上が1万円未満の場合は、翌月以降に売上が1万円以上に達するまで入金を繰り越すことも可能です。
d払いを導入する店舗にはどのようなメリットがあるのでしょうか。店舗の主なメリットをご紹介します。
d払いを導入することで、9,000万人を超えるdポイントクラブ会員へアピールができます。dポイントは日本最大級の共通ポイントのひとつです。d払いアプリには、クーポンやオーダー、メッセージといった会員向けの独自の販促プログラムが用意されているため、効率良く来店を促すことができます。dポイントクラブ会員を集客できれば、「たまったdポイントを上手に活用したい」というポイント消費を目的とした単価アップも見込めるでしょう。
さらに、メルペイとの共通QRコードであれば、d払いの導入によってメルペイユーザーの集客も期待できます。フリマアプリ「メルカリ」の月間利用者数は2,000万人以上にのぼるため、メルペイでの支払いに対応することで、メルカリユーザーにとっても利用しやすい環境を提供でき、売上拡大をめざせます。
会計業務を効率化できる点も、d払いを導入するメリットのひとつです。d払いは、キャッシュレス決済なので、会計が非常にスムーズになります。現金や小銭のやりとりが不要になり、レジの混雑緩和につながるほか、釣銭の渡し忘れや精算ミスといったヒューマンエラーも防げます。現金の取扱いが減ることで、現金管理の手間や盗難リスクを軽減することも期待できます。
また、不特定多数の人が利用する小売店や飲食店、ECサイトなどは、売上管理をするのも大変です。d払いの決済データは自動的に記録され、必要に応じて簡単にダウンロードができるため、売上管理の手間も軽減できるでしょう。
d払いでは、不定期で、加盟店を対象としたさまざまなキャンペーンを打ち出しています。たとえば、2024年 5月現在では、通常なら2.6%かかる決済手数料が、申込み月から最大6か月間無料になるといった、d払いを導入する店舗向けのキャンペーンを実施しています。このようなキャンペーンをうまく活用すれば、手数料負担を抑えながらd払いを利用することが可能です。
なお、各種キャンペーンは変更・終了の可能性もあるため、ドコモの最新情報を確認しましょう。
d払いは、利用するお客さまにとっても多くのメリットがあります。d払い導入によるお客さまの主なメリットは、下記のとおりです。
店舗での支払いやネットショッピングなどでd払いをつかうと、利用金額に応じてdポイントがたまります(※1 ※2 ※3)。たまったポイントはお金の代わりにお買物などに利用できるので、お客さまにとってはd払いを利用すればするほどお得です。
また、d払いの支払い方法に、ドコモのクレジットカード「dカード」を設定すれば、d払いに「dカード支払い特典」でポイントが加算され、ポイントの二重どりができます。さらに、dポイント対応のお店でdポイントカードを提示の上、d払いで支払いをすると、ポイントの三重どりも可能です。
d払いとdカードの活用法については、下記のページをご覧ください。
お客さまの中には、「QRコード決済はセキュリティ面が不安」と感じる人もいるかもしれません。しかしd払いでは、お客さまがあんしんして利用できるよう、さまざまなセキュリティ対策を行っています。
たとえば、初期設定では、ドコモユーザーなら回線認証が、またドコモ回線契約がない人ならdアカウントの認証が必要です。加えて、d払いの支払い方法にクレジットカードを登録する場合は、3Dセキュアによる本人認証を実施しています。
さらに、d払いを利用しているときも24時間365日体制で不正モニタリングを行い、不正利用されてしまった場合は補償制度があるため、万が一のときにもあんしんです。
d払いは、クレジットカード払いのほか、預金口座やセブン銀行ATMから現金をチャージしてつかうこともできます。また、ドコモユーザーなら、月々の携帯電話料金と合算して支払う方法も選べます。クレジットカードを作れない学生や、クレジットカードを持っていない人でも利用できるのは、d払いの大きなメリットといえるでしょう。
d払いを利用する際には、店舗もお客さまもインターネット環境が必要です。もし店舗でインターネットをつかえない場合は、d払いの導入前にインターネット環境を整備しておかなければなりません。
また、d払いで実施されているキャンペーンは、内容変更や終了の可能性がある点にも注意しましょう。たとえば、不定期で実施されている決済手数料無料のキャンペーンは、対象期間が終了すると、サービスの利用に応じた決済手数料が発生します。
d払いを導入する場合、メルペイとの共通コードであるユーザースキャン方式なら、初期費用がかからずスムーズに利用を開始できます。
d払いをユーザースキャン方式(d払い・メルペイの共通コード)で導入する際の流れは、下記のとおりです。
d払いはWebサイトでの申込みが可能です。加盟店申込みフォームに事業情報などを入力し、5~10分程度で申込みが終わります。
申込みから数日後、メールで審査結果が届きます。申込み内容が不十分だった場合は、メールで追加情報を求められることがあります。審査結果のメールは、ドコモではなく株式会社メルペイから届くので注意しましょう。
加盟店審査が完了したら、スタートキットが届きます。スタートキットの内容は、QRコードのほか、店舗用ガイドやポスター、POP、ステッカーなどです。届いたQRコードと掲示物を店頭に設置すれば、すぐにd払いの利用を開始できます。
なお、d払いをストアスキャン方式で導入する場合は、ドコモの導入パートナーと契約を結ぶ必要があります。具体的な導入手続きや必要書類などは、パートナー企業によって異なります。
d払いの導入については、下記のページをご覧ください。
d払いは、近年利用者が急増しているQRコード決済のひとつです。ユーザースキャン方式でd払いを導入すれば、初期費用がかからずコスト面で大きなメリットになります。さらに、d払いなら月額利用料がかからない上、振込手数料も原則無料です。d払いを導入することで9,000万人を超えるdポイントクラブ会員に効率良くアピールできるため、集客・売上アップも見込めるでしょう。
また、ドコモでは、d払い加盟店で利用できる「スーパー販促プログラム」を提供しています。「スーパー販促プログラム」をつかえば、お客さまに加盟店からのメッセージやキャンペーン情報を配信でき、集客や利用単価アップといった施策ができるようになります。
新たにキャッシュレス決済の導入をお考えの場合は、ぜひ、ドコモのd払いをご検討ください。
スマートフォンからでもダウンロードいただけます
よくあるご質問
d払いの手数料は無料ですか?
d払いでは「決済手数料」と「振込手数料」が発生します。決済手数料は2.6%ですが、加盟店向けキャンペーンを利用することで手数料負担を抑えながら利用することが可能です。振込手数料は、原則無料です。
d払いの導入に費用はかかりますか?
d払いを導入する場合、メルペイとの共通コードであるユーザースキャン方式なら、初期費用がかからずスムーズに利用を開始できます。さらに、d払いなら月額利用料もかからず、振込手数料も原則無料です。
d払いを導入するメリットは何ですか?
d払いの導入するメリットとして、以下があげられます。
①集客アップ
②dポイント消費による購入単価アップ
③会計業務の効率化
④加盟店向けキャンペーンの利用によるコスト削減
監修者プロフィール
黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。
関連記事
2024年3月26日
キャッシュレス決済導入に活用できる補助金・助成金を解説
2023年10月4日
後払い決済(BNPL)とは?仕組みや導入のメリット・デメリットを解説
2023年9月8日
キャリア決済とは?限度額や支払い方法、メリット・デメリットを解説
2023年10月4日
個人事業主が電子決済を導入するメリット・デメリットや種類を解説
2023年1月20日
キャッシュレス決済の種類とは?前払い・後払い(ポストペイ)・即時払い
2022年11月28日
キャッシュレス決済サービスはどれがいい?おすすめを比較して解説
新着記事