黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。
2022年11月28日(最終更新日:2024年3月26日)
キャッシュレス
スマホ決済
電子マネーをこれからつかおうと考えている人は、クレジットカードとの違いや具体的な支払い方法が気になるのではないでしょうか。電子マネーを利用することで、クレジットカードで支払いを行うよりもお得にポイントがためられるほか、決済がスムーズに行えます。
本記事では電子マネーの特徴や、電子マネーをつかうメリットについて解説していきます。
ICカードやスマートフォンでつかえる電子データ化されたお金のことを「電子マネー」といいます。一般的に電子マネーとは、前払い式のプリペイドカードのことを指しますが、おサイフケータイやQRコード(バーコード)決済も電子マネーのひとつです。代表的な電子マネーとしてはiDなどのサービスがあります。
経済産業省によると、2022年の日本のキャッシュレス決済比率は36.0%となっており、3人に1人はクレジットカードや電子マネーで支払いを行っていることがわかります。
その内訳はクレジットカードが30.4%、デビットカードが1.0%、電子マネーが2.0%、コード決済が2.6%となっています。2010年の日本のキャッシュレス決済比率が13.2%であったことを考えると、広く普及してきているといえるのではないでしょうか。
なお世界では、2021年に韓国が95.3%、中国は83.8%、オーストラリアは72.8%となっており、日本も将来的には世界最高水準の80%をめざすと発表しています。
ではなぜここまで電子マネーが普及しているのでしょうか。その理由は、消費者に下記のようなメリットがあるからです。
電子マネーは現金やクレジットカードと違って、決済がスムーズに行える特徴があります。決済端末にICカードやスマートフォンをかざす方法のほか、QRコード(バーコード)を見せるだけで決済が完了するからです。
財布から現金を取り出す手間も省け、クレジットカードの暗証番号を入力する必要もないため、決済のスピードを重視している人は、電子マネーを利用しているようです。また最近では電子マネー専用のレジを用意している店舗もあり、電子マネーの利用をはじめることで、レジに並ぶことなく会計が行える場面も出てくるかもしれません。
電子マネーは利用できる店舗が多いことも消費者にとって大きなメリットです。日本銀行の「決済動向」によると、2019年に357万台だった電子マネーの端末台数が、2021年では600万台にまで増加しています。キャッシュレス推進の流れにより利用できる店舗が増えたため、電子マネーの利便性が高くなりました。
一部の店舗では電子マネーが利用できないこともありますが、コンビニエンスストアやドラッグストアなどの多くの店舗では、電子マネーが利用できるようになっています。
電子マネーは、非接触で決済が行えることもメリットのひとつです。決済端末にかざしたり、スマートフォンの画面を見せたりするだけで決済が完了するため、クレジットカードや現金に触れることなく衛生的に決済が行えます。
コロナ禍で決済に対する消費者の意識も変化し、できるだけ衛生的な方法で決済を行いたい人が増えているのも、電子マネーが普及した理由に挙げられます。
電子マネー決済の導入は、消費者だけではなく、店舗にとってもさまざまなメリットがあります。店舗が電子マネーを導入するメリットは、下記のとおりです。
店舗が電子マネー決済を導入するメリットのひとつは、会計時の業務効率化につながることです。電子マネー決済を導入することで、現金管理の手間や、受け渡しに伴うミスが軽減されるだけではなく、会計にかかる時間が短縮されてレジの混雑緩和につながります。
会計時の業務効率化は、特に小規模な店舗にとって大きなメリットといえるでしょう。
電子マネー決済を導入することで、キャッシュレス決済をよく利用する顧客が他店舗に流れてしまうといった販売機会の損失を防ぐことができます。
2021年に実施された経済産業省の調査によると、「キャッシュレス決済利用者のうち4割強は、キャッシュレス決済に対応していない店舗の利用を避ける」というデータもあります。特に電子マネーは、少額決済によく利用されるため、日用品や食材を扱う店舗のほか、カフェやランチ営業を行っている飲食店などに向いているといえるでしょう。
電子マネーとクレジットカードの大きな違いは、審査の有無や支払い方法にあります。ここからはそれぞれの違いや特徴について、詳しく解説していきます。
電子マネーは事前に現金をチャージまたは、クレジットカードと連携させて決済を行います。支払い方法については後述しますが、利用者の要望に合った支払い方法を選択することが可能です。
電子マネーの特徴は、事前審査が不要なことや、非接触決済によりスムーズな決済が行えることです。またクレジットカードと連携させることで、ポイントの2重どり、3重どりも狙えます。
クレジットカードは利用できる場面が多いことや、利用額に応じたポイントを受け取れることが特徴です。また契約するクレジットカードによっては、用途に応じてポイント還元率がアップするものもあります。
電子マネーはポイントを2重に得られることや、非接触決済によるスムーズで衛生的な決済を行えることがメリットですが、クレジットカードと比較すると利用できる店舗が少ないというデメリットがあります。
お得にポイントをためるため、基本的には電子マネーを利用し、電子マネーが利用できない場面ではクレジットカードを利用するといったように、場面に応じたつかいわけを意識するとよいでしょう。
クレジットカードは後払いのみですが、電子マネーの場合は3種類の支払い方法から自身に合った方法を選択することができます。
選択できる支払い方法には、下記のようなものがあります。
プリペイド型とは、銀行口座やATMで事前にチャージを行う方法です。事前に入金した金額以上の決済が行えないため、つかいすぎを防止することができます。
デビット型とは、電子マネーで決済を行った金額が銀行口座から直接引き落とされる支払い方法です。事前入金の必要がないため、利便性が高い方法といえます。
ポストペイ型とは、クレジットカードや携帯会社と連携を行い、決済を行う方法です。先述した2つの方法と違って、お金をつかいすぎてしまう可能性はありますが、ほかの支払い方法よりもポイントがたまりやすいのがメリットです。
利用するサービスによっては、電子マネーから還元されるポイントとカード会社から還元されるポイントの2重どりも可能になります。
電子マネーの種類は数多くあり、発行会社や支払い方式の違いによってそれぞれ特徴が異なります。
ここでは、電子マネーの代表的な4つの種類とその特徴をご紹介します。
■電子マネーの種類と特徴
電子マネーの種類 | 特徴 |
---|---|
交通系電子マネー | ・日本各地の鉄道会社などが発行する電子マネー ・鉄道やバスの乗車のほか、自動販売機やコンビニなど利用できる場所が多い |
流通系電子マネー | ・流通系の会社が発行する電子マネー ・系列の店舗で利用するとさまざまな特典がある |
クレジットカード系電子マネー | ・クレジットカードに紐付けて決済する電子マネー ・電子マネーとクレジットカードのつかいわけができ、幅広く利用できる |
QRコード系電子マネー | ・QRコードを提示、または読み取って決済する電子マネー ・独自キャンペーンなどによるポイント還元率が高く、個人間送金の機能があるサービスもある |
交通系電子マネーは、日本各地の鉄道会社などが発行している電子マネーで、電車やバスでの利用を目的として誕生しました。
交通機関をスムーズに乗り降りできるほか、駅構内の店舗や自動販売機、コンビニ、スーパー、飲食店などでも利用できることが多く、日常的に利用しやすい電子マネーといえるでしょう。
流通系電子マネーは、流通系の会社が独自で発行している電子マネーで、スーパーやコンビニ、あるいはオンラインショップでの利用を前提としています。
発行会社によって利用できる店舗は異なりますが、多くの場合、発行会社の系列の店舗で利用するとポイント還元を受けられるなどのメリットがあります。
クレジットカード系電子マネーとは、クレジットカードやデビットカードに紐付けて決済する電子マネーです。クレジットカードが利用できない場面では電子マネーとして、電子マネーが利用できない場合はクレジットカードとして利用でき、幅広いシーンで利用できます。
クレジットカードに電子マネー機能が搭載されている一体型もありますが、必ずしもクレジットカード会社が運営しているとは限りません。ドコモが展開しているiDも、クレジットカード系電子マネーのひとつです。
iDについては、下記のページをご覧ください。
QRコード系電子マネーとは、スマートフォンに表示されるQRコードを提示、または店舗が掲示するQRコードを読み取ることで支払いができる電子マネーです。
QRコード系電子マネーを使用するには、あらかじめスマートフォンに決済アプリをダウンロードし、銀行口座やクレジットカードの設定、現金によるチャージなどを行っておく必要があります。QRコード決済会社がそれぞれ独自のキャンペーンを開催しており、高いポイント還元があるほか、個人間送金の機能があるサービスもあります。
個人間送金については、下記の記事をご覧ください。
実際に電子マネーを利用したいと考えている人は、どのサービスを利用すべきか悩んでいるのではないでしょうか。はじめて電子マネーを利用するのであれば、誰でも簡単につかえるd払いをおすすめします。ここからは、d払いの基本的なつかい方や便利機能のほか、お得にポイントを3重どりする方法について解説していきます。
d払いは、ドコモのスマホ決済サービスです。スマートフォンアプリをダウンロードして最初の設定を行うことで、誰でも簡単に決済が行えます。
d払いで支払いを行うためには、スマートフォンのバーコード(またはQRコード)を見せる、または店舗側で表示されているQRコードを読み取ることが必要です。d払いはコンビニエンスストアやドラッグストアなどの街の店舗のほか、ネットや公共料金での決済にも利用できます。
d払いは街の店舗での決済以外にも、下記のような便利機能が充実しています。
このなかで特におすすめの機能は、d払い残高の「送金」機能です。d払い残高は、街の店舗やネットでの決済にも利用できますが、d払いを利用している友人に残高を送ることも可能です。d払いの送金機能を利用することで、食事代の割り勘などがスムーズに行えます。
d払いは自身に合った支払い方法を選択できますが、ポストペイ型の選択を検討している人には、dカードの利用をおすすめします。d払いの支払い方法をdカードに設定しておくことで、ポイントが最大3重どりになるからです。
またdカードを利用していない場合でも、dポイント対応の店舗でdポイントカードを提示すれば、dポイントを2重どりすることができます。
dポイントを3重どりするための方法は、下記のとおりです。
電子マネーは、日々の決済がスムーズに行えるほか、クレジットカードよりもポイントがたまりやすいメリットがあります。ただし、クレジットカードと比較すると、利用できる場面がまだ少ないため、電子マネーとクレジットカードをつかいわけることがおすすめです。
日々の決済を電子マネーにまとめると、驚くほど財布を取り出さなくなります。それだけ電子マネーが利便性に優れていて、スムーズに決済が行えるからではないでしょうか。電子マネーを利用したことがない人は、ぜひ電子マネーをつかってみてください。
なお、電子マネー決済は、業務効率化や客単価の向上、販売機会の損失を防げるなど、店舗側にもさまざまなメリットがあります。特にQRコード系電子マネーの場合、店舗に設置したQRコードを利用者のスマートフォンで読み取る「ユーザースキャン方式」を選べば、決済端末などの初期費用は不要です。
さらに、d払いなら、9,000万人を超えるdポイントクラブ会員に店舗の存在をアピールでき、集客・売上アップを見込めるでしょう。
また、ドコモでは、d払い加盟店で利用できる「スーパー販促プログラム」を提供しています。「スーパー販促プログラム」をつかえば、お客さまに加盟店からのメッセージやキャンペーン情報を配信でき、集客や利用単価アップといった施策が可能です。
電子マネー決済を新たに導入する際には、ぜひドコモのd払いをご検討ください。
スマートフォンからでもダウンロードいただけます
よくあるご質問
電子マネーとはどういうものですか?
電子マネーとは、ICカードやスマートフォンでつかえる電子データ化されたお金のことをいいます。一般的に電子マネーとは、前払い式のプリペイドカードのことを指しますが、おサイフケータイやQRコード(バーコード)決済も電子マネーのひとつです。代表的な電子マネーとしてはiDなどのサービスがあります。
電子マネーの特徴は?
電子マネーの特徴は、事前審査が不要なことや、非接触決済によりスムーズな決済が行えることです。また、電子マネーの種類は数多くあり、発行会社や支払い方式の違いによってそれぞれ特徴が異なります。
電子マネーのメリットは?
消費者目線では、決済のスピードが速い、利用できる店舗が多い、現金に触れなくて済むため衛生的などが挙げられます。店舗目線では、会計時の業務効率化につながる、販売機会の損失を防げるなどが挙げられます。
監修者プロフィール
黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。
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