NFCとは、近距離での無線通信ができる技術・規格
NFCとは、対応する機器同士を近づけるだけで無線通信を可能にする技術・規格のことです。非接触の通信に利用する周波数は13.56MHzで、この規格はISO(国際標準化機構)で2003年に国際標準規格に承認されました。NFCはNear field communicationの略称で、日本語にすると「近距離無線通信」と訳されます。
NFCは、決済機能のあるスマートフォンや、改札にタッチするだけで電車やバスに乗れる交通系ICカードなど、さまざまな機器に活用されています。近年ではNFCを搭載したクレジットカードも普及しており、決済端末にカードをかざすだけで支払いが可能です。
また、スマートフォンで操作ができる、NFCタグを搭載した家電なども登場しています。
NFCの機能
NFCには、主に下記のような機能があります。ひとつずつ、詳しく見ていきましょう、
カードエミュレーション機能
カードエミュレーション機能とは、ICカードやICタグの代わりになる機能のことです。たとえば、NFC搭載のデバイスを利用することで、クレジットカードや交通系ICカードの代わりに決済をすることができます。
また、スマートフォンがコンサートなどのチケット代わりになるのも、このカードエミュレーション機能によるものです。
リーダーライター機能
リーダーライター機能は、NFCを搭載したICカードやICタグから、データの読み書きができる機能のこと。たとえば、ポスターなどに埋め込まれたタグのデータを、スマートフォンをかざして読み取り、クーポンやキャンペーン情報を表示することが可能です。
また、NFC搭載のスマートフォンを交通系ICカードに近づけて、残高や履歴などを読み取ることもできます。
端末間通信機能
端末間通信機能とは、NFC対応のデバイス同士を近づけるだけで、データの送受信ができる機能です。スマートフォン同士の写真や音声データのやりとりは、その代表例といえます。
そのほかにも、NFC搭載のスマートフォンをテレビやパソコン、デジタルカメラに近づけて、写真や動画などのデータを転送することも可能です。
NFCの種類
NFCの規格には、種類があります。世界的に活用されている代表的な規格は、「Type-F」「Type-A」「Type-B」の3つです。規格ごとに、どのような特徴があるのか見ていきましょう。
Type-F(FeliCa)
Type-Fは、ソニー株式会社が開発したNFCの規格で、「FeliCa*1」という名称で知られています。主な特徴は、処理速度が約0.1秒と非常に速く、セキュリティ面でも優れていることです。
日本国内で広く普及しており、交通系ICカードのほか、電子マネーなどでも利用されています。
※1 「FeliCa」は、ソニーグループ株式会社またはその関連会社の登録商標または商標です。
Type-A
Type-Aは、オランダで開発されたNFCの規格で、海外で広く普及しています。特徴としては、ほかの規格に比べて安価で利用できること。国内では、たばこを自動販売機で購入するときに必要な成人識別カード(taspo)に使用されており、以前はICテレホンカードにも利用されていました。
Type-B
Type-Bは、アメリカで開発されたNFCの規格です。Type-Aと同様に、海外で広く利用されています。Type-Bの特徴は、CPUが内蔵されているため処理が速く、セキュリティレベルが高いこと。国内では、パスポートや運転免許証、住民基本台帳カード、マイナンバーカードなどに利用されています。
NFCとFeliCa、おサイフケータイの違い
NFCと混同されやすいものに、FeliCaやおサイフケータイ*2があります。結論としては、FeliCaもおサイフケータイも、NFCの一種です。FeliCaは前述のとおり、ソニー株式会社が開発したNFC規格で、ほかの規格に比べて処理速度やセキュリティ面でも優れています。
おサイフケータイは、FeliCaを搭載したスマートフォンや携帯電話、およびその端末を利用したキャッシュレス決済サービスの総称です。FeliCaはNFCの一規格で、おサイフケータイはFeliCaの一部ということになります。
おサイフケータイに対応したスマートフォンや携帯電話とクレジットカードを連携させておくと、決済端末にデバイスをかざすだけで支払いが完了します。
※2 「おサイフケータイ」は、株式会社NTTドコモの登録商標です。
スマートフォンに搭載されたNFCの利用シーン
NFC対応のスマートフォンは、生活のさまざまなシーンで活用することができます。スマートフォンの普及に伴い、NFCの利用シーンも広がってきました。主な活用シーンは、下記のとおりです。
キャッシュレス決済
スマートフォンに搭載されたNFCの活用例としてよく知られているのが、キャッシュレス決済です。クレジットカードや電子マネーをスマートフォンアプリと連携させることによって、現金やカード類をつかわず、スマートフォンひとつで決済ができるようになります。
電子チケット
NFCは、電車やバスなどの切符、航空券、電子チケット、ポイントカードなどにも利用されています。最近では、コンサートや舞台、イベントなどのチケットも、スマートフォンをつかったデジタルチケットが主流になりつつあります。
また、交通系ICカードをスマホアプリと紐付けることで、スマートフォンを改札にタッチするだけで電車やバスに乗ることも可能です。
デバイス同士のデータ送受信
NFCを搭載したスマートフォンをつかえば、デバイス同士を近づけるだけで簡単にデータをやりとりすることもできます。画像データやアドレス、スケジュールなどの情報も、わざわざメールなどで送ることなく、NFCをつかって簡単に共有できます。
周辺機器とのパスワードなしでのペアリング
NFC搭載のスマートフォンは、対応する周辺機器と、パスワードなしでのペアリングが可能です。
たとえば、Wi-Fiやワイヤレススピーカー、ワイヤレスヘッドセットなどを使用する際も、NFC対応の機器同士なら、わざわざパスワードを入力することなくスムーズに接続できます。
NFC決済に対応するメリット
近年では、小売店や飲食店をはじめ、NFCを活用したキャッシュレス決済に対応する店舗が増えてきています。NFC決済に対応すると、店舗にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。
顧客獲得や売上拡大が見込める
国内でのキャッシュレス化推進の動きとともに、消費者の支払い方法も多様化しています。購入する商品やライフスタイルに合わせて、複数の決済手段をつかい分ける消費者も増えてきました。
また、海外では、日本よりもさらにキャッシュレス決済が浸透しています。NFC決済に対応することで、訪日観光客を含めた新規顧客の獲得や、売上機会の損失を防ぐ効果が期待できます。
レジ作業を効率化できる
NFC決済を導入すると、レジでの会計の際には、顧客にクレジットカードやNFC搭載端末をかざしてもらうだけで決済が完了します。現金を受け取って確認したり、釣銭の小銭を数えて手渡したりといった作業が発生しません。
決済時の顧客対応がスピーディーになり、レジの混雑緩和に役立つと同時に、業務効率化を実現することができます。
衛生面で安心できる
現金で支払いをする場合、顧客側も店舗側も、不特定多数の人がふれた紙幣や硬貨を直接さわることになります。NFC決済なら、顧客が自分のクレジットカードやスマートフォンをかざすだけなので、現金のやりとりがありません。支払いをする側、支払いを受ける側のどちらにとっても衛生的であり、手が汚れる心配が減るでしょう。
セキュリティが高い
NFC決済では、クレジットカードなどの情報を暗号化した上で送受信を行います。そのため、店舗のシステムから顧客のカード情報が漏洩してしまうリスクは、極めて低いといえます。スマートフォンをつかった決済なら、支払いに関する情報は顧客自身の端末の画面にのみ表示されるので、第三者に盗み見られる心配もないでしょう。セキュリティ面から考えても、安心して利用できる決済方法です。
NFC決済の導入方法
店舗がNFC決済を導入するには、決済サービスを提供する事業者と直接契約する方法と、決済代行事業者に依頼する方法があります。それぞれのメリットとデメリットを解説します。
事業者と直接契約
直接契約では、自店舗で導入したいNFC決済サービスの提供事業者へ問い合わせて、個別に申込み手続きを行います。後述する決済代行事業者に比べると手数料を抑えることができますが、導入したい決済サービスが複数ある場合は、別々に申込みをしなければいけないため手間がかかります。
また、入金サイクルなどもNFC決済サービス会社によって異なるため、売上管理などが煩雑になりがちです。
決済代行事業者に依頼
決済代行事業者に依頼すると、複数の決済サービスをまとめて一度に申込みができます。決済サービス会社との契約に必要な手続きは代行事業者が取りまとめてくれるため、店舗の手間がかかりません。
ただし、各事業者と直接契約をするのに比べると、手数料などのコストが高くなる点に注意が必要です。
NFC決済を導入する際の注意点
店舗にNFC決済を導入する際には、下記の点に注意が必要です。導入してから「こんなはずではなかった」と慌てないためにも、あらかじめしっかり確認しておきましょう。
費用
NFC決済の種類によっては、導入時に決済端末などの初期費用が必要です。導入後も、決済手数料や月額料金などの費用がかかることがあります。
導入費用とランニングコストがそれぞれどれくらいになるのか、事前に確認しておくことが大切です。
スタッフの教育研修
NFC決済の導入にあたっては、自店舗のスタッフの教育研修も必要です。それまで現金払いにしか対応していなかったなら、決済端末の操作やトラブル時の対応について、スタッフにしっかり研修を行わなければなりません。スタッフ教育にかかる時間やコストについても、考慮しておく必要があります。
端末の確認
前述したように、NFC決済には複数の規格があります。また、キャッシュレス決済にも、クレジットカードやICカード(電子マネー)、QRコード決済など、さまざまな種類があります。
決済端末によっては、特定の決済方法にしか対応していないこともあるので、事前に確認しておきましょう。
キャッシュレス決済のニーズに対応するならd払いがおすすめ
クレジットカードや電子マネー、スマホ決済など、キャッシュレス決済の方法は多様化しています。そのなかでも近年注目を集めているのが、スマートフォンをつかったQRコード決済です。NFC決済を導入するなら、併せてQRコード決済も検討してみてはいかがでしょうか。
店舗にQRコード決済を導入するなら、d払いがおすすめです。d払いは、スマートフォンのアプリをつかって行うキャッシュレス決済のこと。d払いなら9,000万人を超えるdポイントクラブ会員に店舗の存在をアピールでき、集客・売上アップを見込めます。
また、ドコモでは、d払い加盟店で利用できる「スーパー販促プログラム」を提供しています。「スーパー販促プログラム」をつかえば、お客さまに加盟店からのメッセージやキャンペーン情報を配信でき、集客や利用単価アップといった施策ができるようになります。キャッシュレス決済を新たに導入する際は、ぜひドコモのd払いをご検討してみてください。
※QRコードは、株式会社デンソーウェーブの登録商標です。