黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。
2023年1月20日(最終更新日:2025年4月30日)
キャッシュレス
経営ノウハウ
ECサイトを運営している事業者は、決済方法を充実させたいと考えているのではないでしょうか。
ECサイトに導入できる決済方法にはさまざまな種類がありますが、お客さまにとって利用しやすく、代金未回収リスクを防げる決済方法でなければなりません。
ここでは、ECサイトへ導入できる決済方法の種類と、それぞれのメリット・デメリットを解説するほか、未回収リスクを避けるためにおすすめの決済方法についてもご紹介します。
消費者庁が公開している調査結果によると、オンラインショップで利用されている支払い方法の大部分をキャッシュレス決済が占めています。最も多く利用されている支払い方法はクレジットカード(84.9%)で、次いでQRコード決済(47.6%)となっています。
クレジットカードを持っていない人や、カード番号を入力したくない人はキャリア決済、または後払い決済などを利用しています。後払い決済の利用率は12.2%と決して高くはありませんが、調査当時約5人に1人(19.8%)が利用していました。
上記のアンケート調査から、ECサイトなどでネットショッピングを行う場合、約5人に1人は後払い決済を利用していることがわかりました。後払い決済を導入することで、クレジットカードを利用していない人も商品を購入できるようになりますが、代金回収サービスを利用していない場合は、商品代金の未回収リスクが発生します。
自社で代金回収を行う場合はメールや電話による督促業務が発生するほか、入金確認の手間が生じるため社員の負担が大きくなります。後払い決済を導入する場合は代金回収サービスを利用するか、ECサイトでも利用できるキャッシュレス決済を導入するのがおすすめです。
ECサイトで導入できる主な決済方法は、以下の6種類です。
ここからは、それぞれの特徴について解説します。
クレジットカード決済は、お客さまが購入した商品の代金をクレジットカード会社が立て替えて支払う方法です。ECサイトでは、お客さまがクレジットカード番号などのカード情報を入力することで決済が完了します。オンライン決済のなかで最も利用されており、海外からのお客さまも利用しやすいため、できるだけ導入しておきたい決済手段といえます。
利用者の多いクレジットカード決済を導入することで、カゴ落ちや販売機会の損失などを回避できるでしょう。クレジットカードの利用代金はカード会社が立て替える形でショップに支払われるため、代金未回収リスクの軽減にもつながります。
一方で、ECサイト事業者にとってのクレジットカード決済のデメリットは、決済手数料などの費用が発生することです。また、お客さまの身に覚えのない不正利用などを理由に、クレジットカード会社から売上が取り消される「チャージバック」のリスクがある点にも注意しなければなりません。
キャリア決済とは、買物などの代金を、お客さまが契約している携帯電話の利用料金と合算して支払う方法です。ドコモやau、ソフトバンクといった各キャリアのサービスのIDとパスワードを入力することで、現金やクレジットカードなどを使わずに決済が可能です。
クレジットカードを使わずに商品を購入できるため、クレジットカードを持っていない若年層や、オンラインでのクレジットカード利用に不安を持っている層にも、利用してもらいやすいというメリットがあります。
ただし、キャリア決済には利用限度額が設けられているため、高額商品を販売するECサイトにはあまり向いていません。また一般的に、キャリア決済の手数料は、クレジットカードに比べてやや高めの設定になっています。
銀行振込は、ECサイト側が指定した銀行口座に、お客さま自身で入金する方法です。一般的に、ECサイトでは、入金を確認してから商品を発送します。
銀行振込はECサイトが普及する前から存在する決済方法であり、若い人から高齢者まで、幅広い年代の人が利用しやすいというメリットがあります。導入や運用にあたってコストもかからず、入金を確認してから商品を発送するため、代金未回収リスクの回避が可能です。
一方、銀行振込には、お客さまからの注文のたびに口座への入金を確認する作業が生じます。特に、販売する商品の数や種類が多い場合は、入金の確認と消込にかなり手間がかかってしまうでしょう。
ID決済とは、決済サービスのIDを利用して代金を支払う方法で、決済サービスのIDとパスワードを入力することで決済ができます。代表的なサービスに、Amazon PayやPayPay、楽天ペイ、d払い(ドコモのキャリア決済を利用しない場合)などが挙げられます。
ID決済を利用すると、お客さまは、会員登録やクレジットカード情報の入力などを行わなくても支払いができます。情報入力の手間が軽減されるため購入のハードルが下がり、カゴ落ちの防止にもつながるでしょう。
その一方で、ID決済はクレジットカード決済に比べて、決済手数料が割高な傾向があります。また、決済サービスによっては現金化までに時間がかかることもあるため、資金繰りに注意が必要です。
代金引換は、商品の到着時に代金を支払う方法です。お客さまは、到着した商品と引き換えに、宅配業者に料金を支払います。
代金引換は、年齢やクレジットカードの保有の有無などにかかわらず誰でも利用可能です。ECサイト事業者にとっては、代金引換を導入することで販売機会の損失を低減できるでしょう。商品と引き換えに代金を回収するため、未回収リスクを防げるメリットもあります。
ただし、代金引換は商品到着時に必ず在宅していなければならず、宅配ボックスなどが利用できないことなどから、お客さまのなかには避ける人もいます。また、宅配業者への手数料が発生することや、受け取りを拒否されるリスクがあることもデメリットといえます。
後払い決済とは、先に商品を発送し、後日お客さまが代金を支払う方法です。お客さまは、商品の到着後、同封または別送される請求書などを用いて、コンビニエンスストアや銀行、郵便局といった指定場所で支払いを行います。
後払い決済も代金引換と同様に誰でも利用しやすい上、商品到着時の在宅は必要がありません。さらに、「商品を確認してから支払いができる」というあんしん感から、お客さまの購買意欲を後押しする効果も期待できます。
一方、後払い決済のデメリットは、代金未回収リスクが発生することです。また、入金確認や未入金の督促など、事務処理にも手間がかかります。後払い決済の代金未回収リスクを回避できる「後払い決済サービス」もありますが、決済代行会社との契約が必要になり、導入費用や手数料がかかります。
ECサイトの利用者には、商品の注文から支払いまでオンラインで完結したいと考える人も多く、現金を使わないキャッシュレス決済のニーズが高い傾向があります。ECサイトで未回収リスクを回避できるキャッシュレス決済は、クレジットカード決済、キャリア決済、ID決済です。これらのキャッシュレス決済では各社が未回収リスクを負うため、代金未払いによる督促や入金確認は必要ありません。
なかでも、ECサイトが新たにキャッシュレス決済を導入するなら、キャリア決済とID決済を利用できるd払いがおすすめです。d払いを導入すれば、ドコモ回線をお持ちのお客さまなら、4桁のパスワードを入力するだけで簡単に決済が完了します。また、ドコモ回線を持っていない人でも、無料のdアカウントを作成してログインすれば、d払いでID決済を利用できます。
d払いのキャリア決済や、d払い残高からのID決済なら、オンライン上でクレジットカード情報の入力に不安を抱いているお客さまにも、あんしんしてネットショッピングを楽しんでもらうことができるでしょう。
ECサイトにd払いを導入するメリットは、以下のとおりです。
d払いを導入することで、クレジットカードの利用に不安を抱いているお客さまや、代引きやコンビニ払いを面倒に感じているお客さまの利便性の向上が見込めます。
d払いであればコンビニエンスストアや銀行口座、ATMからクレジットカードを利用せずにd払い残高にチャージできるほか、ドコモと回線契約しているお客さまであればキャリア決済(携帯電話料金合算払い)も利用できます。
d払いを導入することで、ドコモの共通キャンペーンやドコモメディアからの集客が期待できます。メールマガジンやプッシュ通知などによって、1億人以上のdポイント会員に対してアプローチできるからです。
実際にd払いを導入している店舗では、キャンペーンによって通常の約6倍の集客効果があったケースがあります。高単価商品を購入されるお客さまの利便性向上のためにd払いを導入したところ、キャンペーン実施時に新規顧客が来店するようになったそうです。集客に苦労している場合、dポイントによる集客が見込める点は大きなメリットといえるでしょう。
d払いでは「立替払いモデル」を採用しており、代金未回収リスクは原則としてドコモが負担します。後払い決済で発生していた代金未回収リスクがなくなるため、従業員の負担を軽減できます。立替払いモデルの利用に伴う手数料は発生しないためECサイトの負担はなく、あんしんして導入できます。
ECサイトで利用できる決済方法にはさまざまな種類がありますが、オンラインショッピングで利用されている支払方法の大半がキャッシュレス決済です。ECサイトで売上アップを図るなら、キャッシュレス決済の導入は不可欠といえるでしょう。
ECサイトにキャッシュレス決済を導入するなら、代金未回収リスクを回避できるd払いがおすすめです。d払いを導入することでECサイトの利便性が向上するだけでなく、dポイントによる集客・売上アップも見込めます。d払い導入の効果を試してみてはいかがでしょうか。
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よくあるご質問
ECサイトで利用できる決済方法は?
ECサイトで利用できる決済方法は、クレジットカード決済、キャリア決済、銀行振込、ID決済、代金引換、後払い決済などが利用できます。それぞれに特徴があるため、理解した上で使い分けることが大切です。詳しくはこちらをご確認ください。
後払い決済の未回収リスクとは何ですか?
後払い決済を導入することで、クレジットカードを利用していない人も商品を購入できるようになりますが、代金回収サービスを利用していない場合は、商品代金の未回収リスクが発生します。自社で代金回収を行う場合はメールや電話による督促業務が発生するほか、入金確認の手間が生じるため社員の負担が大きくなります。
ECサイトの決済手段の利用状況は?
オンラインショップで利用されている支払い方法の大部分をキャッシュレス決済が占めています。最も多く利用されている支払い方法はクレジットカード(84.9%)で、次いでQRコード決済(47.6%)となっています。クレジットカードを持っていない人や、カード番号を入力したくない人はキャリア決済、または後払い決済などを利用しています。
監修者プロフィール
黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。
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