吉田雷(ライター)
90年代よりWebシステム開発に携わり、大規模システム構築や決済システム、スマホ向けアプリ開発などを手がける。経験を活かしシステムやApple製品などに関する記事を雑誌などに執筆しつつプログラムやSNSに関係する著書も出版。一般消費者向けから大手企業までさまざまな分野のITに精通する。
2022年12月22日
キャッシュレス
スマホ決済
キャッシュレス決済サービスによっては、スマホによる個人間送金が可能です。個人間送金とは銀行振込のように相手にお金を送れる機能のことですが、なぜ個人間送金を行えるのでしょうか。また個人間送金ができることで、どのような場面で便利になるのでしょうか。ここでは個人間送金を行える理由や、具体的な利用シーンを例にメリットをご紹介します。
スマホによる個人間送金とは、キャッシュレス決済において同じアプリやサービスを利用しているユーザー同士で、銀行振込のような感覚で送金できる仕組みのことです。キャッシュレス決済として多くの人が利用しているクレジットカードにはない機能であり、ちょっとした送金などに利用できるため非常に便利です。
すべてのキャッシュレス決済サービスで、個人間送金を行えるわけではありません。個人間送金の実現可否は、そのキャッシュレス決済サービスがどのように提供されているかによるからです。
では、どのようなサービスで個人間送金を行えるのでしょうか。キャッシュレス決済サービスが個人間送金を実現するためには、資金決済法などにのっとり、送金が可能な業者として登録する必要があります。そのような業者は「前払式支払手段事業者」「賃金移動業者」「電子決済等代行業者」に分類されます。
資金決済法における前払式支払手段事業者として登録されている業者のサービスは、利用者の本人確認が不要です。事前にチャージしたアプリ内の電子マネーなどを相手に送ることができます。受取った相手は電子マネーなどとして支払いに利用できますが、厳密にいえば送金ではないため、ATMなどでの出金はできません。
資金決済法における賃金移動業者の場合は本人確認が必要ですが、事前にチャージしたお金を相手に送ることができます。こちらは1回につき100万円(法律での上限でサービスによって異なります)という制限がありますが実際に送金を行うため、受取った相手は支払いに利用できるほか、ATMなどで出金することもできます。
電子決済等代行業は銀行法により定められている事業で、銀行と利用者の仲介を行い、チャージなどの作業を必要とせず相手に送金できます。ただし、電子決済等代行業は銀行口座への振り込みを代行する業者であるため、キャッシュレス決済における個人間送金とは少し異なります。
d払いなどの賃金移動業者は、キャッシュレス決済サービスでの個人間送金において実際に送金が行われ、ATMでの出金が可能であるため、利用者にとって最も便利なサービスといえるでしょう。
スマホによる個人間送金は仕送りや会計の割り勘、お小遣いの送金など、多くの場面で便利に利用できます。ここでは具体的にどのような場面で便利に使えるのか、そのメリットをご紹介します。
たとえば遠方に子どもが住んでいて、仕送りが急に必要になった場合、銀行が閉まっていると送ることができません。また夜間に銀行振込を行うと、着金は翌営業日となり、緊急時には対応することができません。スマホによる個人間送金であれば、基本的に24時間365日送金が可能であり、即時に着金します。また銀行振込などと異なり、ほとんど手数料がかからないことも大きなメリットです。
複数人で食事や飲み会をした際の会計は、少し面倒です。会計を取りまとめる人にお金を渡す際に小銭がないと、後で改めて精算しなければなりませんし、一人ずつ会計を行うとお店側は迷惑でしょう。そのようなときにも、スマホによる個人間送金は役に立ちます。
会計を取りまとめる人に、スマホで送金するだけで完了し、小銭の有無やお釣りの心配もいりません。個人間送金なら、会食や飲み会の負担が軽くなるだけでなく、お店側にも迷惑をかけることなくスマートに支払うことができます。
お小遣いを現金で渡すと保管や持ち歩きに不安がありますが、スマホによる個人間送金でお小遣いを渡せばそのような心配がいりません。しかし、お小遣いをもらった子どもは買物をするお店で利用しているキャッシュレス決済を使えないと、がっかりしてしまうでしょう。そのようなことがないように、d払いのように利用できる店舗が多いキャッシュレス決済サービスを導入することをおすすめします。
スマホによる個人間送金は誰かに対して何かお礼をしたい場合や、自分の代わりに何かを買ってきてもらった場合の代金の支払いにも使えます。d払いであれば送金時にメッセージを添えて送れるため、心のこもったお礼ができます。
スマホによる個人間送金を行おうとしても、選んだキャッシュレス決済サービスが送金に対応していないことがあります。また、すべてのキャッシュレス決済サービスがATMで出金できるわけではないことにも注意が必要です。
ATMで出金できないサービスの場合、チャージ分を現金として利用するにはサービスを解約しなければならないこともあるため、出金する可能性がある場合は出金可能なサービスを選びましょう。前述のとおり、d払いはATMでの出金が可能です(別途手数料がかかります)。
また個人間送金を行うためには、自分と相手が同じキャッシュレス決済サービスを利用している必要があります。そのため個人間送金を目的としてキャッシュレス決済サービスを選ぶ場合は、利用者数が多いサービスを選ぶとあんしんです。
送金や出金の限度額にも注意してください。多くのサービスでは1か月あたりの送金限度額が決まっており、受取りに関しても限度額が設定されていることがあります。また、出金についても1日あたりの限度額が決まっています。
d払いを利用した個人間送金は、どのように行えばよいのでしょうか。d払いではさまざまな方法で送金でき、ドコモ以外の携帯電話を利用していても送金が可能です。ここではすでにd払いの設定が済んでいて、スマホにd払いアプリがインストールされていることを前提に解説します。
使い方の詳細は、以下のページで詳しく解説しています。
参考ページ:d払いアプリで送金する|d払い - かんたん、便利なスマホ決済
まず、アプリのホーム画面から「送金」を選びます。送金する相手がドコモユーザーの場合は、電話番号を用いた送金が可能です。相手がドコモユーザーでない場合は「d払い番号」を選びます。その際、送金履歴から送金相手を選択することも可能です。
次に電話番号やd払い番号とともに送金額を入力し、「次へ」をタップして自分の名前やメッセージを入力します。入力したら「送金内容を確認」をタップして表示された送金相手の名前や金額を確認し、問題がなければ「送金する」をタップして完了です。
d払いでは、QRコードを使った送金も可能です。送金する側のスマホでアプリを開き、ホーム画面から「送金」を選び、「QRコードを読み取る」をタップします。受取る側もアプリを開き、ホーム画面から「受取る」を選びます。すると画面に送金受取りQRコードが表示され、受取る金額を入力できます。金額を入力し、送金相手に画面を見せ、送金相手のスマホでQRコードを読み取ります。送金する側の画面には送金相手と金額が表示されるので、問題がなければ「送金する」をタップします。以上で送金は完了です。そのほか、URLを作成して相手に送ることで送金することもできます。
個人間送金を行う際は、賃金移動業者として登録されたキャッシュレス決済サービスを選ぶことをおすすめします。個人間送金は24時間365日、即時に相手に送金できるため、会食などの会計の割り勘や仕送り、お小遣いなど、さまざまな場面で便利に利用できます。
しかし、お店の会計時に個人間送金で参加者からお金を集めても、お店がそのキャッシュレス決済に対応していないと別の方法で支払うことになり、それが理由で別のお店が選ばれることもあります。利用者を多く持つd払いなら、お客さまがお店を選ぶ際の候補に入りやすくなるので、事業者側にもd払いはおすすめといえるでしょう。
※QRコードは、株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
執筆者プロフィール
吉田雷(ライター)
90年代よりWebシステム開発に携わり、大規模システム構築や決済システム、スマホ向けアプリ開発などを手がける。経験を活かしシステムやApple製品などに関する記事を雑誌などに執筆しつつプログラムやSNSに関係する著書も出版。一般消費者向けから大手企業までさまざまな分野のITに精通する。