黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPをめざして活動中。
2022年12月22日(最終更新日:2025年9月3日)
キャッシュレス
近年、オンライン決済のサービスが増え、お客さまの利便性も向上しています。オンライン決済にはさまざまな種類があり、これからオンライン決済を導入する際にどのように選んだらいいのか迷う人もいるかもしれません。
ここでは、オンライン決済の種類や導入のメリット・デメリットについて説明します。
オンライン決済(Web決済)とは、インターネットを通じて商品やサービスの代金を支払う方法のことです。
ECサイトやWebサービスを利用するお客さまが、パソコンやスマートフォンから注文・支払いまでを完結できるのが特徴です。
クレジットカード決済が主流ですが、ID決済やキャリア決済、コンビニ決済、銀行振込など、さまざまな決済手段があり、お客さまのニーズに合わせた選択が可能になっています。
店舗にとっては、決済情報や売上の管理がしやすく、経理処理の負担軽減にも役立つため、インターネットを活用したビジネスには欠かせない決済手段といえるでしょう。
キャッシュレス決済には、オンライン決済とオフライン決済があります。オンライン決済は主にECサイトやWebサービスで利用される決済方法で、オフライン決済は実店舗で利用される決済方法です。
それぞれの違いについて、くわしく説明します。
オンライン決済は、お客さまの支払いから店舗への代金受取りまでをインターネット経由で行います。通信により即時に手続きが完了するため、遠隔地間の非対面取引でもリアルタイムで決済が可能です。
オンライン決済はECサイトなどのインターネット上のサービスだけでなく、実店舗でも活用されています。
たとえば、飲食店ではセルフオーダーシステムとオンライン決済を連携させることで、お客さまが注文から支払いまでを自身のスマートフォンで完了できる仕組みを導入している店舗もあります。
オフライン決済は、インターネットを経由せず、実店舗で支払いを行う従来型の決済方法です。店頭での直接のやりとりにもとづき、現金やチャージ済みの交通系ICカード、商品券などをつかって支払いが行われます。
専用の決済端末をつかう場合でも、通信環境に依存しない仕組みであればオフライン決済に含まれます。
インターネット回線が不要なため、通信障害の影響を受けにくく、安定した運用が可能です。
オンライン決済にはいくつかの種類があります。ここからは、ECサイトで主につかわれる下記の6種類のオンライン決済について説明します。
<6種類のオンライン決済>
1. クレジットカード決済
2. オンライン銀行決済
3. キャリア決済
4. ID決済
5. 電子マネー決済
6. コンビニ決済
クレジットカード決済は、クレジットカードを利用して支払いを行う決済方法です。オンライン決済手段のなかで最もよく利用されています。
ECサイトでクレジットカード決済をする場合、お客さまはインターネット上の決済画面でクレジットカード情報を入力し、送信します。
クレジットカード決済は、カード会社がお客さまの利用金額を立て替えて、店舗へ支払う仕組みです。お客さまは毎月指定された日に、口座引落しによりカード会社へ代金を支払います。
なお、カード会社から店舗に支払われる際には、カード会社の決済手数料が差し引かれます。
クレジットカード決済については、下記の記事をご覧ください。
オンライン銀行決済は、インターネットバンキングを利用して、お客さまの銀行口座からECサイトの利用金額を直接引落す方法です。オンライン銀行決済を利用するためには、お客さまはECサイトが契約している銀行の口座開設とインターネットバンキングの申込みをする必要があります。
オンライン銀行決済での決済処理は、ECサイトの決済画面から銀行のWebサイトに自動的に遷移する仕組みです。
お客さまはIDやパスワードを入力してインターネットバンキングにログインし、指示に従って支払手続きを完了させます。
キャリア決済は、携帯電話の利用料金と合算し、ECサイトの利用金額を支払う方法です。キャリア決済を希望するお客さまは、ECサイトで携帯キャリアのIDとパスワードを入力してログインし、そのまま決済手続きを行います。
キャリア決済を利用すれば、お客さまはECサイトでの代金を携帯電話料金とまとめて、後払いできます。
キャリア決済については、下記の記事をご覧ください。
ID決済は、外部の大手ECサイトや大手キャッシュレス決済サービスに登録してある支払情報と連携して決済を行う方法です。
お客さまはECサイトで購入する際、連携サービスのIDやパスワードを入力して認証を受け、支払手続きを行います。代金は、連携サービスに登録されているクレジットカードやチャージ残高から支払われます。
連携サービスのポイントを保有している場合は、ポイントで支払うことも可能です。
電子マネー決済とは、電子化した現金で支払う決済方法です。電子マネーには、「プリペイド方式」と「ポストペイ方式」があります。
プリペイド方式とは、あらかじめスマートフォンのアプリやカードに現金をチャージしておき、チャージ残高から決済する方法です。ポストペイ方式とは、銀行口座やクレジットカードと連携し、つかった分だけ後で支払う方法です。
電子マネーは主に実店舗での決済につかわれますが、一部の電子マネーはオンライン決済にも対応しています。
電子マネーをオンライン決済につかう際は、ECサイトで電子マネーの番号を入力・送信する方法や、決済時にアプリを起動して手続きをする方法などがあります。
電子マネー決済については、下記の記事をご覧ください。
コンビニ決済とは、お客さまがインターネットで注文手続きを行った後、指定のコンビニエンスストアで支払いを完了させる方法です。
オンラインで決済手続きが完了するわけではありませんが、利用者が多く、ECサイトの支払方法として広く定着しています。
コンビニ決済には、前払い方式と後払い方式があります。
前払い方式では、注文後商品が発送される前に、お客さまがコンビニエンスストアで支払いを済ませ、店舗が入金を確認した後に、商品を発送する仕組みです。
一方、後払い方式では、商品が届いた後にお客さまが払込票をつかってコンビニエンスストアで支払います。
オンライン決済の導入は、下記のようにさまざまなメリット・デメリットがあります。まずは、オンライン決済を導入する店舗側の具体的なメリットを見てみましょう。
■オンライン決済を導入するメリット・デメリット一覧
オンライン決済を導入するメリットのひとつに、お客さまの利便性の向上が挙げられます。
インターネット上の取引でオンライン決済が利用できない場合は、振り込みで決済しなければなりません。お客さまにとって、振り込みは手間がかかる方法といえます。
また、振り込みの場合、タイミングによっては店舗への着金が遅れ、お客さまへの商品到着が遅くなってしまうかもしれません。
オンライン決済を導入すれば、お客さまは注文と同時に支払手続きを行い、決済を完了できます。オンライン決済では利用履歴が残るので、お客さまはお金の管理もしやすくなるでしょう。
売上増加につながることも、オンライン決済の導入メリットです。
ECサイトを利用するお客さまは、希望のログイン機能や決済手段がない場合に購入をあきらめることもあります。
オンライン決済を導入すれば、ログインと決済の簡便化が可能で、お客さまの離脱率を減らすことが期待できます。
また、オンライン決済の場合、お客さまのクレジットカード情報などがECサイトに登録されるため、定期購入やサブスクリプションなどで継続課金する場合でも入金を確保しやすくなるでしょう。
さらに、オンライン決済では、売上データをマーケティングに活用できるため、販売戦略の検討に役立ちます。
オンライン決済を導入すれば、売上管理の負担が小さくなることもメリットです。入金をコンピューターで自動的に管理できるので、入金処理に時間をかける必要がなくなり、経理処理の効率化を図れます。
代金の未回収リスクを低減できることも、オンライン決済導入のメリットのひとつです。
たとえば、クレジットカード決済を導入する場合、代金はカード会社が立て替えてくれるため、店舗にとっては代金の未回収のリスクを減らすことができます。
オンライン決済は、メリットばかりではありません。オンライン決済の導入にあたって、注意しておきたい点を確認しておきましょう。
オンライン決済のデメリットのひとつは、セキュリティ対策が必要になることです。オンライン決済を導入すると、お客さまのクレジットカード情報などを取扱うことになります。そのため、セキュリティ面を強化しておかなければ個人情報の漏洩を引き起こし、トラブルに発展するおそれがあります。
初期費用や決済手数料がかかることも、オンライン決済導入のデメリットです。オンライン決済は導入時に初期費用がかかるほか、月額料金が発生することもあります。決済代行会社を利用する場合は、決済手数料も支払わなければなりません。コストが増加することは、店舗にとってデメリットといえるでしょう。
すぐに現金化できない点も、オンライン決済導入のデメリットといえるでしょう。
オンライン決済では、各決済手段の入金サイクルによって、店舗の口座に入金されるまでに時間がかかることもあります。
現金払いに比べると、入金に時間がかかることに注意が必要です。
オンライン決済導入のデメリットは、代金を回収できないおそれがあることです。クレジットカード決済は代金を回収しやすい方法ですが、代金の回収に失敗することもあります。カード決済時に行われるのが、お客さまの与信情報を照会して決済可否を判断する「オーソリゼーション」(オーソリ)です。オーソリの際にカードの有効性に問題があった場合、クレジットカードの使用を止めることで代金の未回収を防ぎます。
しかし、クレジットカードが不正利用された場合や商品が届かない場合は、お客さまが返金を要求する「チャージバック」が行われることもあります。チャージバックが発生すると、店舗にとっては損失になりかねません。
お客さまがオンライン決済を利用すると、次のようなメリットを得られます。詳しく見ていきましょう。
<お客さま側のオンライン決済のメリット>
事業者がオンライン決済を導入すると、お客さまは国内外の商品を手軽かつスピーディーに購入できます。スマートフォンやパソコンを利用すれば、時間や場所を問わず、いつでもお買物ができます。
オンライン決済を利用すれば、取引履歴をアプリやWebページ上で簡単に確認できるため、支払内容の管理がしやすくなります。
領収書の電子保存も可能なため、紙のレシートを保管する手間が省ける点も、大きなメリットといえるでしょう。
多くのオンライン決済サービスでは、ポイント還元やキャッシュバックなどの特典が用意されており、お得にお買物ができるのも魅力です。
こうした特典があることも、オンライン決済を利用する大きなメリットといえるでしょう。
お客さまがオンライン決済を利用する際のデメリットは、下記のとおりです。
<お客さま側のオンライン決済のデメリット>
事業者がオンライン決済を導入することで、情報漏洩のおそれがあることもお客さまのデメリットといえます。
インターネット上での取引は、不正アクセスやハッキングによるデータ漏洩のリスクがあり、個人情報や決済データが不正に利用される可能性があります。
事業者がオンライン決済を導入する際は、セキュリティ対策が必要です。
オンライン決済はインターネットを利用して行うため、安定したネットワーク環境が必要です。
通信環境が不安定だったり、システム障害が発生したりすると、決済が完了できず、利用できない場合があります。
オンライン決済システムには、下記のように、実店舗とECサイトの両方で活用できるもの、ECサイト向けのもの、Webサービスやアプリ向けのものの3種類があります。
それぞれの特徴を見てみましょう。
<オンライン決済システムの種類>
実店舗+ECサイトの両方に対応したシステムは、実店舗での決済とオンライン決済それぞれの顧客データを一元管理できます。
個別に売上の集計や管理をする必要がなくなるため、複数の販路で支払方法を統一したい場合におすすめです。
ECサイト向け決済システムは、ECサイトやWeb上での取引が可能なサービスです。
SMSやメールに決済用URLを送るサービスや、クレジットカード不要でスマートフォンを利用した後払いタイプの決済サービスなど、事業者に合わせてシステム構築が可能です。
Webサービス・アプリ向けのオンライン決済システムは、SaaSのようなWebサービスやアプリケーションでサブスクリプションビジネスを行う企業に適したシステムです。
多くの場合、サービス利用中のプラン変更や日割り計算、利用人数の増減における料金計算など、柔軟に対応できることが特徴です。
オンライン決済サービスはさまざまな種類があります。オンライン決済サービスを選ぶ際のポイントについて見てみましょう。
オンライン決済サービスを選ぶ際は、まず導入目的を明確にすることが大切です。
売上拡大、利便性向上、国際取引の促進など、目的によって適した決済サービスは異なります。目的を明確にした上で、合致する決済サービスを選択しましょう。
オンライン決済サービス導入の際は、サービス会社が提供する機能や内容をしっかり確認することも重要です。
決済サービスが提供する機能には、多様な決済方法への対応、セキュリティ対策、請求代行、自動継続課金などがあります。必要な機能がそろっているかどうかを確認して検討しましょう。
インターネットを活用した販路拡大が求められる今、オンライン決済の導入はお客さまの利便性を高め、売上アップを実現するための重要な手段です。注文から支払いまでをスムーズに完結できる環境を整えることで、販売機会損失を防ぐことができます。
ただし、セキュリティ対策や未回収リスクへの備えも、導入時の重要な検討ポイントになります。
そこでおすすめなのが、ドコモのd払いです。d払いでは2段階認証や24時間365日体制で不正モニタリングを実施しており、セキュリティ面でもあんしんです。
さらに、d払い加盟店では、ドコモが代金を立て替えてお客さまに請求する仕組みのため*1、未回収リスクを回避できます。
集客や売上アップをめざすなら、オンライン決済手段として「d払い」の導入をご検討ください。
*1 3Dセキュアの必須化が前提です。
d払い(ネット決済)の導入については、下記のページをご確認ください。
d払いの導入事例については、下記のページをご覧ください。
※ QRコードは、株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
スマートフォンからでもダウンロードいただけます
よくあるご質問
オンライン決済とオフライン決済の違いとは?
オンライン決済は主にECサイトやWebサービスで利用される方法で、オフライン決済は実店舗で利用される方法です。オンライン決済は通信により即時に手続きが完了するため、遠隔地間の非対面取引でもリアルタイムで決済ができます。詳しくはこちらをご確認ください。
オンライン決済の種類は?
オンライン決済には、クレジットカード決済、オンライン銀行決済、キャリア決済、ID決済、電子マネー決済、コンビニ決済などがあります。オンライン決済手段のなかで最もよく利用されているのが、クレジットカード決済です。詳しくはこちらをご確認ください。
オンライン決済を導入するメリットは何ですか?
オンライン決済を導入すれば、ユーザーは注文と同時に支払手続きを行い、送金が完了するためユーザーの利便性が向上します。また、売上データをマーケティングに活用しやすくなるほか、代金の未回収リスクの低減、売上管理の負担が小さくなるなどのメリットがあります。詳しくはこちらをご確認ください。
監修者プロフィール
黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPをめざして活動中。
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