森本 由紀
ファイナンシャルプランナー(AFP)/行政書士
法律事務所の事務職員として10年以上勤務した後、2012年に行政書士ゆらこ事務所(Yurako Office)を設立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。法律・マネー系サイトを中心に記事の執筆・監修も幅広く担当。
2022年12月22日
キャッシュレス
インターネットを利用して商品やサービスを販売する場合は、オンライン決済を導入するのがおすすめです。オンライン決済とは、ユーザーがインターネット上で料金の支払い手続きをし、インターネット上で決済処理が完了する方法のことです。オンライン決済なら振り込みによるタイムラグが発生せず、実店舗と同様のリアルタイム決済が可能になります。本記事では、オンライン決済の種類や導入のメリット・デメリットについて説明します。
キャッシュレス決済には、オンライン決済(Web決済)とオフライン決済(対面決済)があります。オンライン決済は主にECサイトやWebサービスで利用される方法で、オフライン決済は実店舗で利用される方法です。まずは、オンライン決済とオフライン決済の概要と両者の違いについて説明します。
オンライン決済は、ユーザーの代金支払いと店舗の代金受取りをインターネット経由で行う決済方法です。通信により即時に手続きが完了するため、遠隔地間の非対面取引でもリアルタイムで決済ができます。
近年、インターネットを利用した取引は急激に増えています。また、直接現金の受渡しをしないキャッシュレス決済も拡大しています。ECサイトやWebサービスを運営する店舗は、代金決済もオンラインで行う方が効率的です。今後インターネットで商品などの販売を行うなら、オンライン決済の導入は欠かせないでしょう。
オンライン決済手段で代表的なものは、クレジットカード決済です。クレジットカードでオンライン決済をする場合は、Webサイトでカード番号、カード名義人、有効期限、セキュリティコードなどのクレジットカード情報を入力します。このように、オンライン決済の場合はカードそのものを読み取るのではなく、カード情報だけで決済するのが特徴です。
オンライン決済はインターネット上のサービスだけでなく、実店舗でも活用されています。たとえば、飲食店ではセルフオーダーシステムとオンライン決済を連携させる試みも行われています。これにより、お客さまは注文から支払いまでをご自身のスマートフォンで完了できます。
オフライン決済は、インターネットを利用しない従来型の決済方法です。実店舗で対面取引を行う際、通常はオフライン決済をします。オフライン決済をするためには、専用の端末などが必要です。たとえば、クレジットカードをオフライン決済に利用する場合は専用端末にカードを差し込み、ユーザーが暗証番号を入力またはサインをして決済します。
オンライン決済にはいくつかの種類があります。ここからは、ECサイトで主に使われる6種類のオンライン決済について説明します。
オンライン決済手段のなかで最もよく利用されているのが、クレジットカード決済です。ECサイトでクレジットカード決済をする場合、ユーザーはインターネット上の決済画面でクレジットカード情報を入力し、送信します。
クレジットカード決済では、カード会社がユーザーの利用代金を立て替えて、店舗へ支払います。ユーザーは毎月指定された日に、口座引落しによりカード会社へ代金を支払う仕組みです。なお、カード会社から店舗に代金が支払われる際には、カード会社の決済手数料が差し引かれます。
インターネットバンキングを利用して、ユーザーの銀行口座からECサイトの利用代金を直接引落す方法です。オンライン銀行決済を利用するためには、ユーザーはECサイトが契約している銀行の口座開設とインターネットバンキングの申込みを済ませている必要があります。
オンライン銀行決済での決済処理は、ECサイトの決済画面から銀行のWebサイトに自動的に遷移する仕組みになっています。ユーザーはIDやパスワードを入力してインターネットバンキングにログインし、指示に従って支払い手続きを完了させます。
携帯電話の利用料金と合算し、ECサイトの利用代金を支払う方法です。キャリア決済を希望するユーザーは、ECサイトで携帯キャリアのIDとパスワードを入力してログインし、そのまま決済手続きを行います。キャリア決済を利用すれば、ユーザーはECサイトの利用代金を携帯電話料金と一緒に、後払いでまとめて支払うことができます。
大手サービスに登録してある支払い情報と連携して決済を行う方法です。ユーザーはECサイトで対象サービスのIDやパスワードを入力して認証を受け、支払い手続きを行います。代金は、対象サービスに登録されているクレジットカードやチャージ残高から支払われます。対象サービスのポイントを保有している場合は、ポイントで支払うこともできます。
電子マネー決済とはお金の価値をデータ化したものです。電子マネーには、「プリペイド方式」と「ポストペイ方式」があります。プリペイド方式とは、あらかじめスマートフォンのアプリやカードに現金をチャージしておき、チャージ残高から決済する方法です。ポストペイ方式とは、銀行口座やクレジットカードと連携し、使った分だけ後で支払う方法です。
電子マネーは主に実店舗での決済に使われますが、一部の電子マネーはオンライン決済にも対応しています。電子マネーをオンライン決済に使う際は、ECサイトで電子マネーの番号を入力・送信する方法や、決済時にアプリを起動して支払い手続きをする方法などがあります。
ユーザーがインターネットで注文手続きを行った後、指定のコンビニエンスストアで支払いを完了させる方法です。コンビニ決済はオンラインで決済手続きが完了するものではありませんが利用者は多く、ECサイトの支払い方法として定着しています。
コンビニ決済には、前払い方式と後払い方式があります。前払い方式の場合は、注文後商品が発送される前に、ユーザーがコンビニエンスストアで支払い手続きをします。店舗はユーザーの入金を確認した後で、商品の発送手続きを行います。後払い方式の場合は、ユーザーは商品が届いた後で、払込票を使ってコンビニエンスストアで支払います。
オンライン決済を導入すると、さまざまなメリットを得られます。オンライン決済の具体的なメリットを見てみましょう。
インターネット上の取引でオンライン決済が利用できない場合は、振り込みで決済しなければなりません。ユーザーにとって、振り込みは手間がかかる方法といえます。振り込みの場合、タイミングによっては店舗への着金が遅れ、ユーザーへの商品到着が遅くなってしまいます。
オンライン決済を導入すれば、ユーザーは注文と同時に支払い手続きを行い、送金を完了できます。オンライン決済では利用履歴が残るので、ユーザーはお金の管理もしやすくなるでしょう。オンライン決済の導入により、ユーザーの利便性や満足度は向上します。
ECサイトを利用するユーザーは、希望のログイン機能や決済手段がない場合に購入をやめることもあります。オンライン決済を導入すれば、ログインと決済の簡便化が可能です。離脱するユーザーが減って売上がアップするでしょう。オンライン決済では、売上データをマーケティングに活用しやすいこともメリットです。
オンライン決済の場合、ユーザーのクレジットカード情報などがECサイトに登録されます。店舗にとっては、定期購入やサブスクリプションなどで継続課金する場合でも入金を確保しやすくなります。
オンライン決済を導入すれば、店舗は振り込みの照合をする手間を省けます。入金をコンピューターで自動的に管理することができるので、入金処理に時間をかける必要がなくなり、経理処理の効率化を図れます。
クレジットカード決済を導入する場合、代金はカード会社が立て替えてくれます。従って店舗にとっては、代金の未回収のリスクを減らせることもメリットです。
オンライン決済は、メリットばかりではありません。オンライン決済の導入にあたって、注意しておきたい点を確認しておきましょう。
オンライン決済を導入すると、ユーザーのクレジットカード情報などを取扱うことになります。そのため、セキュリティ面を強化しておかなければ個人情報の漏洩を引起こし、トラブルに発展する恐れがあります。
オンライン決済は導入時に初期費用がかかるほか、月額料金が発生することもあります。決済代行会社を利用する場合は、決済手数料も支払わなければなりません。コストが増加することは、店舗にとってデメリットといえるでしょう。
オンライン決済では、各決済手段の入金サイクルによっては、店舗の口座に入金されるまで時間がかかることがあります。オフラインの現金払いに比べると、入金に時間がかかることもデメリットです。
クレジットカードは代金を回収しやすい方法ですが、代金の回収に失敗することもあります。カード決済時には、ユーザーの与信情報を照会して決済可否を判断する「オーソリゼーション(オーソリ)」が行われます。オーソリの際にカードの有効性に問題があった場合、代金を回収できなくなってしまう可能性があります。
また、クレジットカードが不正利用された場合や商品が届かない場合は、ユーザーが返金を要求する「チャージバック」が行われることもあります。チャージバックが発生すると、店舗にとっては損失になってしまいます。
d払いは、ネットショッピングの支払いにも使えます。d払いを導入すれば、ユーザーにとっては支払いの利便性が高くなり、新規顧客を呼び込む効果も期待できます。
スマートフォンを使って決済を行うd払いは、実店舗でQRコード決済として利用する方法もありますが、ECサイトでのオンライン決済手段としても利用できます。ドコモ回線をお持ちの方がECサイトでd払いによる支払いを行う場合は、4桁のパスワードを入力するだけで済みます。
ドコモ回線をお持ちの方の場合、d払いの利用代金を携帯電話料金と合算して後払いにすることもできます。ドコモ回線をお持ちでない方も、クレジットカードやd払い残高で決済が可能です。買物の際にかかる手間や時間を省きたいユーザーにとっては、非常に利便性の高い決済手段といえるでしょう。
d払いで決済する際、ユーザーはクレジットカード番号を入力する必要がありません。d払いでは2段階認証を採用しているほか、24時間365日不正モニタリングシステムもあるため、不正利用のリスクも低いといえます。セキュリティに力を入れているd払いは、ユーザーにとっても店舗にとっても、安心して利用できる決済手段です。
d払いの加盟店となった場合は、ドコモが代金を立て替えた上で、ドコモからユーザーへ請求を行います。未回収リスクはドコモが負ってくれるので、店舗にとっては安心して利用できる決済手段*1です。
*1 3Dセキュアの必須化が前提です。
現在、インターネットを利用した販路拡大は不可欠です。インターネットでの取引にオンライン決済を導入すればユーザーの利便性が向上し、新規顧客獲得や売上増加につながります。
オンライン決済の導入にあたっては、セキュリティ面の問題や代金回収不能のリスクに備えることが大切です。セキュリティ対策も用意されており立て替え払い方式のd払いなら、安心して導入できます。多くのユーザーが利用しているd払いをぜひ集客に役立ててください。
※QRコードは、株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
執筆者プロフィール
森本 由紀
ファイナンシャルプランナー(AFP)/行政書士
法律事務所の事務職員として10年以上勤務した後、2012年に行政書士ゆらこ事務所(Yurako Office)を設立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。法律・マネー系サイトを中心に記事の執筆・監修も幅広く担当。