浅井のぞみ
メーカーで海外マーケティング・営業を5年半担当。現在はSEOライターとして、マーケティングのお役立ち情報やMAツールの紹介など企業のオウンドメディアに掲載するBtoB系の記事を数多く手掛けている。
2022年11月28日
キャッシュレス
POSレジ(POSシステム)のPOSは「Point of Sale(販売時点情報管理)」の略で、店舗経営のあらゆる情報をデジタルデータとして記録できるのが特徴です。来店客の性別や年齢といった個別の情報や、購入した商品、時間、その日の天気などのデータの蓄積・分析ができるだけでなく、POSレジの導入によって店舗経営のDX(デジタルトランスフォーメーション)や業務効率化にもつながるでしょう。本記事では、POSレジの機能やメリット・デメリット、選び方まで徹底解説します。店舗経営のデジタル化に興味がある方は、ぜひお読みください。
POSレジとは、商品に付いているバーコードなどを読み取り、販売情報を記録・集計するシステムを搭載したレジのことです。店舗経営のあらゆるデータをPOSレジで管理・分析できるのが特徴です。
売上のデータが自動で蓄積されるため、リアルタイムで「いつ・どのような顧客に・何が売れたのか」がわかり、1日の終わりに行う売上集計作業も効率化できます。複数の店舗を運営する企業なら、本部で各店舗の売上状況を集約できるのも大きなメリットといえるでしょう。
また、POSレジには顧客管理機能や在庫管理機能も付いており、データを蓄積することでリピーターの育成やマーケティング施策に役立てることも可能です。
POSレジに似た言葉に、「POSシステム」があります。POSシステムは、「POS = (販売時点情報管理)」を実施する仕組み全体のことを指し、POSレジは、「POS機能が付いた端末(レジ)のこと」です。つまり、POSレジはPOSシステムの一部ということになります。
ここからは、POSレジの主な機能を6つご紹介します。
POSレジには、商品のデータベースが登録されています。バーコードを読み込むか、ボタンを押すだけで簡単に会計処理が可能で、会計にかかる時間を短縮します。その結果、作業の効率化だけでなく、来店客の待ち時間を減らせるメリットもあります。
自動釣銭機(精算機)に対応しているPOSレジなら、さらなる会計時間の短縮が可能になります。現金の受け渡しミスも低減できるでしょう。
POSレジには売上分析機能が付いており、「いつ・どのような顧客に・何が売れたのか」が記録されます。天気や曜日、時間帯などによる売上の違いも分析可能で、販売戦略に活かせます。データを蓄積していくことで、より正確な傾向がつかめるようになり、在庫切れによる機会損失や過剰在庫の防止にもつながるでしょう。
POSレジで分析できるのは、売上の情報だけではありません。顧客の性別や年齢層、購入履歴といった情報も記録可能で、さまざまな切り口でデータ分析が可能です。さらに、売上データと顧客データを掛け合わせれば、顧客のニーズに合わせたマーケティング施策の立案に役立てられます。
また、POSレジには「電子レシート」を発行する機能が付いているタイプもあります。顧客はレジでQRコードなどを読み取り、スマートフォンやパソコンでレシートのデータを閲覧できます。
電子レシートは紙の削減になるだけでなく、商品を販売した後も顧客との接点を持つプラットフォームとしても活用できます。POSレジで取得した顧客データから生み出されたクーポン企画などを電子レシートのアプリ上で実行すれば、より効率的なアプローチが実現可能です。
在庫管理は手間がかかり、通常業務に追われることが多い店舗にとって大きな負担になります。場合によっては発注が間に合わず、機会損失につながってしまうケースもあるでしょう。
その点、POSレジの在庫管理なら、販売状況がリアルタイムで反映されるので正確な在庫状況が把握できます。適切なタイミングで追加発注ができるため機会損失の防止になり、ECサイトとの連携も可能になるなど、さまざまなメリットがあります。
店舗によっては、すでに導入している基幹システムとPOSレジを連携したい場合もあるでしょう。POSレジによっては、本社の販売管理システムなどの基幹システムとの連携が可能なタイプもあります。本社は、各店舗の状況をリアルタイムで把握しながら、基幹システムとの連携で、さらなる業務効率化を図れます。
基幹システムとの連携は個別開発になる場合もあるので、詳細はPOSレジの販売会社に確認が必要です。
POSレジは、スタッフの勤怠管理にも活用できます。出退勤の時刻をPOSレジに記録できるのでタイムカードや出勤簿を用意する必要がなくなり、残業時間などの自動計算も可能です。複数の店舗を経営している企業であれば、本部で各店舗の勤怠状況を見ながら、人員配置の調整もできるでしょう。
POSレジの導入には、次のようなメリットがあります。
店舗経営の効率化はもちろんのこと、レジ待ちの時間が減ることで顧客満足度の向上も実現できます。さらに、レジ打ち作業が短縮できるため、従業員が顧客とのコミュニケーションなど、ほかの重要な業務に時間を使えるのも大きなメリットです。POSレジの導入は、事業者・顧客・従業員の全てにメリットがあるといえるでしょう。
POSレジを導入するデメリットには、次のようなものがあります。
POSレジは導入のための初期費用が設定されており、その後は月額利用料を支払うケースが一般的です。また、従来のレジに比べて機能が多いため、操作方法に慣れるまで時間がかかる可能性もあります。最初に商品を登録する作業も必要です。
インターネット通信が途切れると会計ができなくなるため、停電時に備えてほかの会計方法も用意しておく必要がある点もPOSレジのデメリットといえます。
ここでは、POSレジの主な種類と特徴を見ていきましょう。
既存のパソコンにPOSソフトウェアをインストールするタイプのPOSレジです。タブレットなどの端末を購入する必要がないので初期費用を抑えられ、使い慣れたパソコンで操作できるのがメリットです。一方で、レシートプリンタなどの周辺機器をそろえる必要があるのがデメリットといえます。
また、システム自体は既存の端末になるため、サポートが十分に受けられない場合がある点にも注意が必要です。
スーパーやコンビニエンスストアでよく見かける据え置き型のPOSレジです。自動釣銭機などの機能が付いており、高機能なものが一般的ですが、その分、50万円以上の初期費用がかかるなど、ほかのPOSレジに比べて予算が高くなるのがデメリットです。
システムのアップデートがあった場合は、入れ替えも必要になります。
タブレットやスマートフォンにPOSアプリをインストールするタイプです。3つのタイプの中で最も導入コストが安くて持ち運びも可能なのがメリットで、テーブル会計もできます。
直感的な操作が可能でコストも抑えられることから、導入のメリットが大きい一方で、POSレジを提供する企業によってサービス内容が異なる点に注意が必要です。
POSレジによって得意な業種が異なるため、導入の目的に合うかどうかよく確認しましょう。ホームページなどに同業他社の導入事例があるかどうか確認することをおすすめします。
POSレジは中長期的な目線で運用するものなので、目的に合っているか、現場のスタッフが使いやすいかどうかなど、さまざまな視点で検討することが大切です。ここでは、POSレジを選ぶ際のポイントをご紹介します。
POSレジはメーカーによって機能が異なるため、目的に合ったものを選ぶことが大切です。導入してから「必要な機能が備わっていなかった」と後悔することがないように、予算だけでなく目的も明確にしておきましょう。
飲食店や美容室なら予約管理機能があると便利です。また、クリーニング店なら預かり証の発行などのカスタマイズが可能なPOSレジを選ぶとよいでしょう。ECサイトを併用している店舗なら、在庫管理機能が充実したものがおすすめです。
このように、目的をいくつか洗い出して優先順位を決めることで、店舗の実態に合ったPOSレジの導入が可能になります。
POSレジは、一度導入すると長期的に同じものを使い続けることになります。初期費用を抑えることも大切ですが、システム利用料や更新料などのランニングコストもしっかりチェックしましょう。少しの金額の違いでも、中長期的には大きな差になります。
POSレジは一般的に、機能が多いものほど初期費用や月額利用料が高くなる傾向にあります。必要な機能と価格のバランスを見ながら、複数のPOSレジを比較検討してみましょう。
POSレジの操作は日々行うことになるため、操作性も重要です。POSレジのサービスを提供している会社の中には、期間限定で無料体験を実施しているところもあるので、実際にPOSレジを操作した上で判断すると失敗を防げます。
また、POSレジは複数の従業員が操作するので、マニュアルがわかりやすいかどうかもポイントです。従業員にも操作性を確認してもらい、意見を聞いてみましょう。
POSレジは、売上や顧客、在庫に関する情報など、従来は個別に管理していたものを一括管理できるのが魅力です。また、POSレジなら、従来のレジでは対応できなかったキャッシュレス決済との併用も可能です。
キャッシュレス決済との併用によって、より詳細なデータが取得できるだけでなく、会計処理スピードも大幅にアップします。非接触のやりとりも可能になり、時代に合った接客スタイルが実現できるのもデジタル化の大きなメリットといえるでしょう。
キャッシュレス決済をまだ導入していない店舗であれば、POSレジの導入に合わせてキャッシュレス決済の導入も検討してみましょう。
ドコモが提供する「d払い」なら、QRコードを設置するだけでキャッシュレス決済が可能になり、初期費用も無料です。「dポイントクラブ」の会員は約8,908万人(2022年3月末時点)となっており、圧倒的な規模の会員基盤を活用できるのもd払いがおすすめの理由の一つです。
参考ページ:スマホ決済をご検討の店舗オーナーさまへ キャッシュレスならd払い
さらに、dポイント・d払いを利用した顧客への販促をサポートする「d払い集客・販促プログラム」をPOSレジと併用することで、データの取得から、集客・分析・利用単価アップの施策まで実施できるようになります。詳しくはこちらのページをご覧ください。
POSレジには、据え置き型からタブレット型まで、さまざまな種類があり、機能や価格もサービスを提供する会社によって大きく異なります。
まずは店舗の課題を洗い出し、それをPOSレジでどのように解決できるか、具体的に検討してみましょう。POSレジの導入を目的とするのではなく、店舗の課題解決につながるPOSレジを選ぶことが何よりも大切です。
さらに、POSレジとキャッシュレス決済を併用することで、顧客体験の向上も見込めます。キャッシュレスに取り組みたいとお考えの事業者の方は、この機会にぜひPOSレジとキャッシュレス決済の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
※QRコードは、株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
執筆者プロフィール
浅井のぞみ
メーカーで海外マーケティング・営業を5年半担当。現在はSEOライターとして、マーケティングのお役立ち情報やMAツールの紹介など企業のオウンドメディアに掲載するBtoB系の記事を数多く手掛けている。