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2022年12月22日

個人事業主とは?法人化との違いやメリット・デメリットなどを解説

個人事業主

独立して自分で仕事をしたい場合、個人事業主としてはじめるか、法人としてはじめるかを選択することになります。個人事業主になるのは簡単なので、すぐにでも事業を開始したい場合はこちらを選択することになりますが、その前に個人事業主について詳しく知っておくと安心です。今回は個人事業主の基礎知識や、法人を設立して事業をはじめる場合との違いについて解説します。

個人事業主とは

個人事業主は法人を設立せず、個人で事業を営んでいる人を指す言葉です。税務署に開業届を提出するだけで、個人事業主になることができます。開業届を提出する前に事業をはじめることも可能で、その場合は事業の開始から1か月以内に開業届を提出する必要があります。

開業届を提出しなくても罰則はありませんが、個人で行っている事業の収入、すなわち事業所得が年間48万円を超える場合は確定申告の義務が生じます。そのため、事業所得について確定申告を行うとその旨が都道府県に通知され、開業届を提出しなくても個人事業主となります。

個人事業主とフリーランスの違い

個人事業主と似ている言葉にフリーランスがありますが、どのような違いがあるのでしょうか。前述のとおり個人事業主は事業を行う個人を指し、開業届を税務署に提出することで個人事業主となることが所得税法第229条で定められています。開業届を提出することで、その個人は税法上個人事業主に分類され、税務署から納税関係の書類が届くようになります。また銀行に開業届を提出すると、口座開設時に屋号(お店の名前など)を口座名とすることが可能になります。

一方でフリーランスは、働き方を表す言葉です。単発の仕事を請け負い、継続的に仕事を行うような働き方を指し、多くのフリーランスは1人で事業を行っています。そのため1人で事業行う個人事業主もフリーランスといえ、反対にフリーランスとして働く人が開業届を提出したり事業所得について確定申告を行ったりすると、フリーランスかつ個人事業主となります。

個人事業主と法人の違い

では、個人事業主と法人の違いは何でしょうか。どちらも自身で事業を行うという意味で自営業とも呼ばれますが、両者にはさまざまな違いがあります。

設立方法

前述のとおり、開業届を提出するだけで個人事業主になることができます。一方で法人を設立するためには、多くの手続きが必要です。法人には株式会社や合同会社などがありますが、ここでは株式会社の設立について解説します。

まず会社概要を決定し、会社の基本的なルールとなる定款を作成します。次に、作成した定款を公証役場で認証してもらいます。その後資本金を払い込み、登記申請書類を作成します。このときに印鑑の登録も行うため、法人印や銀行印、角印などをあらかじめ用意しておきましょう。作成した登記申請書類を法務局に提出し、登記を行います。この時点で株式会社の設立は完了しますが、続いて法人の銀行口座を開設します。税務署などに法人設立届出書を提出すると、法人登記に関する一連の手続きが完了します。

廃業方法

事業を終了することを廃業といい、個人事業主、法人ともに廃業が可能です。個人事業主の場合は開業届と同じように、税務署に廃業届を提出することで廃業できます。

法人の場合は、廃業までにさまざまな手続きを行う必要があります。株式会社を廃業する場合は、株主総会で廃業を決議します。多くの場合、その際に廃業に伴う清算という職務を担う清算人の選任も行います。決議されたら社員などに対して廃業する旨を告知し、その後法務局で解散登記と清算人選任登記を行います。

その後税務署などに解散を届け出て、給与支払事務所の廃止届出書を提出し、年金事務所へ適用事業者全喪失届を提出します。債務がある場合は、債権者に向けて官報で株式会社の廃業を公告します。続いて株式会社解散時の決算書類を作成し、解散確定申告を行います。

その後債権の回収や残余財産の分配を行い、株主総会によって決算報告書の承認を行います。続いて、法務局において清算結了登記を行います。最後に清算確定申告を行い、税務署に清算結了届を提出すると、株式会社の廃業手続きが完了します。

税金

個人事業主も会社員と同じように所得税と住民税を納めますが、消費税と個人事業税も納めなければなりません。個人事業税は業種によって課される税で、確定申告の際に記載して申告します。

法人の場合、個人事業の所得税にあたる税は法人税と呼ばれ、所得税に比べると税率は低めです。そのほか、法人が納める税金には法人住民税や法人事業税、消費税などがあります。両者に共通するのは消費税のほか、償却資産税や源泉所得税などがあります。

申告

個人事業主・法人を問わず、税務申告は確定申告によって行います。個人の場合は確定申告書Bと収支内訳表が必要で、税制優遇措置のある青色申告の場合は青色申告決算書も必要です。定められた期日までに、これらすべてを税務署に提出します。

法人の場合は5種類の書類を税務署に提出するとともに、都道府県民事務所へ1つの書類を提出します。税務署へ提出するのは総勘定元帳、領収書、決算報告書、法人事業概況説明書、法人税の申告書で、都道府県民事務所に提出するのは地方法人税の申告書です。どちらも上記に加えて消費税の申告書が必要ですが、免税事業者の場合は不要です。

社会保険関連

個人事業主となり1人で事業を行う場合は、国民健康保険と国民年金に加入することになりますが、法人化している場合や個人事業主であっても条件を満たす場合は、社会保険への加入が義務付けられています。

社会保険は健康保険、厚生年金保険、労働保険(労災保険と雇用保険)などの総称で、前述のとおり法人化した場合は社会保険への加入が求められます。その会社などが適用事業所となるためです。

個人事業主の場合、社会保険へ加入しなければならない条件はいくつかあります。健康保険と厚生年金保険への加入義務は、従業員を5人以上雇っている場合で、その業種が法律で定められている適用業種(16種類)に該当する場合です。適用外の業種であっても、従業員数が5人以上で、従業員の半数以上の同意があった場合は、任意で社会保険への加入が可能です。対象となる従業員は、雇用期間や1週間の労働時間数、月額賃金などで判断されます。

労災保険は個人事業主・法人を問わず、従業員を1人でも雇っていれば加入義務があり、原則として個人事業主本人は加入できません。雇用保険も同様で、従業員を雇っていれば加入義務があり、こちらも個人事業主本人は加入できません。

社会保険関連の支払いのうち、健康保険と厚生年金保険については雇用主側(個人事業主や法人)と従業員が50%ずつ負担します。労災保険は雇用主が全額を支払い、雇用保険は雇用主と従業員がそれぞれ負担します。

このように、個人事業主であっても従業員を雇う場合は社会保険に加入しなければならない場合があるため、注意が必要です。特に健康保険料と厚生年金保険料は雇用主の負担が大きいため、従業員を雇う前に綿密な資金計画を立てるべきです。

個人事業主と法人、どちらを選ぶか

これから独立して自営業として事業をはじめる場合、個人事業主と法人のどちらを選べばよいのでしょうか。一概にどちらがよいとはいえませんが、いくつかの違いがあるため、それらをよく理解した上で決めるとよいでしょう。

個人事業主のメリット・デメリット

個人事業主のメリットは、比較的気軽に事業をはじめられることです。一方で、事業収入が増えるにつれて所得税の負担が大きくなり、国民健康保険料や住民税もそれに比例して高くなるというデメリットがあります。また、個人事業主の信用は比較的低いため、取引先などと契約を行う際に過小評価されることがあります

法人のメリット・デメリット

法人の最大のメリットは、取引先などに対する信用力が高いことです。また、事業が成長して収益が大きくなった場合でも、個人事業主の所得税に比べて法人税率は低めなので、税負担を抑えられます。そのため、ある程度の事業規模になることを想定している場合は、最初から法人を設立することを検討するとよいでしょう。

デメリットは登記と廃業に手間がかかることと、社会保険料などの負担があることです。社会保険料に関しては、1人で事業を行っている場合は国民健康保険と比べて負担が低くなることもありますが、従業員を雇う場合は負担が大きくなります。起業直後の法人にとっては負担が大きく、また継続的な支出となるため注意が必要です。

両者のデメリット

個人事業主と法人に共通するデメリットは、代表者個人の信用が低いことです。たとえば住宅ローンを組む際、自営業者は審査に通りにくいといわれています。これは、その自営業においてクレジットカード決済やキャッシュレス決済を導入する際も同様です。ただし、信用力は事業を長く続けることによって高まります。

個人事業主になるための開業届の出し方と準備

個人事業主として自営業をはじめる場合は、前述のとおり自宅の住所を管轄する税務署に開業届を提出するだけではじめられます。

事業を開始してから1か月以内に提出する必要があり、開業届のフォーマットは国税庁のホームページからダウンロードできます。節税効果が高い青色申告を行う場合は、事業を開始してから2か月以内に青色申告承認申請書を提出する必要があるため、開業届と同時に提出するとよいでしょう。

これだけで個人事業主としてスタートできますが、これ以外に準備しておきたいものがあります。それは印鑑と銀行口座です。個人事業主として利用する印鑑は、これまで個人として使っていた印鑑を流用することもできますが、紛失のリスクや従業員に貸し出す場合を考えると、事業用として別途用意しておく方がよいでしょう。

銀行口座についても、開業届を銀行に提出することで屋号を口座名義にできる銀行もあるため、顧客からの信用を高めるためにも、これまで個人として使っていた口座とわけるためにも、事業用の口座を新たに開設することをおすすめします。

個人事業主としてはじめるならこの職業

これから個人事業主として事業をはじめたいと思っているが、どのような職業がよいかわからないという人もいるでしょう。そこで、どのような職業が個人事業としてはじめやすいか、いくつかの例をご紹介します。

税理士や社労士

税理士や社労士を事業として行うためには、国家資格が必要です。言い換えれば、資格を持っていれば、今すぐ自宅ではじめられる職業ともいえます。もちろん、これから資格取得をめざすのもよいでしょう。リモート環境を駆使すれば、自宅からほとんど出ずに仕事を行うことも可能です。

ネットショッピングでの販売

アクセサリーや小物などの製作が得意な人は、作品をネットショップで販売するのもよいでしょう。決済方法や配送方法を考慮する必要がありますが、趣味を仕事にしやすい職業といえます。ネットショップは自身で構築することもできますが、ネットショップサービスを利用することもできます。

カメラマン

写真撮影が得意な人は、カメラマンとして独立するのもよいでしょう。現地に出張して撮影する場合や、商品や人物などをスタジオで撮影する場合などがあり、撮影後の写真データの加工なども行います。

飲食店

飲食店はさまざまな許認可が必要で、店舗も用意しなければならないため、はじめやすい職業とはいえないでしょう。しかし、自身の料理をお客さまに提供するという職業には、ほかの職業にはない喜びがあるはずです。

駐車場経営

使っていない土地がある場合は、駐車場として貸し出すのもよいでしょう。月極駐車場として貸し出す方法や、コインパーキングとして不特定多数の人に貸し出す方法などがありますが、条件によっては届け出が必要になる場合もあるため、注意が必要です。

まとめ

個人事業主は税制法上の区分であり、税務署に開業届を提出することで個人事業主になることができます。自身で事業を興して仕事をするという意味では、個人事業主のほかに法人を設立するという方法もあります。事業を個人事業として行うか法人として行うかは、それぞれのメリット・デメリットを正しく理解した上で、慎重に検討しましょう。

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よくあるご質問

  • 「個人事業主」と「フリーランス」の違いは?

    個人事業主は事業を行う個人を指し、開業届を税務署に提出することで個人事業主となることが所得税法第229条で定められています。一方でフリーランスは、働き方を表す言葉です。単発の仕事を請け負い、継続的に仕事を行うような働き方を指し、多くのフリーランスは1人で事業を行っています。詳しくはこちらをご確認ください。

  • 自営業として事業をはじめる場合、個人事業主と法人のどちらを選べばよいですか?

    一概にどちらがよいとはいえませんがいくつかの違いを理解した上で決めるとよいでしょう。個人事業主のメリットは比較的気軽に事業をはじめられることです。法人のメリットは取引先に対する信用力が高く、事業が成長して収益が大きくなった場合でも個人事業主の所得税に比べて法人税率は低めなので、税負担を抑えられます。詳しくはこちらをご確認ください。

  • 個人事業主になるためにはどうしたらいいですか?

    個人事業主として自営業をはじめる場合は、自宅の住所を管轄する税務署に「開業届」を提出するだけではじめられます。事業を開始してから1か月以内に提出する必要があり、開業届のフォーマットは国税庁のホームページからダウンロードできます。詳しくはこちらをご確認ください。

執筆者プロフィール

吉田雷さん

吉田雷(ライター)

90年代よりWebシステム開発に携わり、大規模システム構築や決済システム、スマートフォン向けのアプリ開発などを手がける。経験を活かしシステムやApple製品などに関する記事を雑誌などに執筆しつつプログラムやSNSに関係する著書も出版。一般消費者向けから大手企業までさまざまな分野のITに精通する。

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