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大学時代、人間不信で人生に絶望。
「好き」の分析で唯一無二の自分に

作曲家/トラックメイカー KOTONOHOUSE

2どん底まで落ちた大学時代

高校卒業後は大学に進学しました。
高校の延長線上で学生生活を楽しみたかったのと、まだ働きたくなかったのが理由です。
しかし、19歳頃に人間関係で嫌なことがあり、家にこもってオンラインゲームをするようになりました。
人間不信に陥り、信頼できる友人にしか連絡を取らなくなってしまったんです。

ある日、大学の漫画研究会に所属している友人がDJを始めました。
彼がいろいろとやりたいことを実行に移している一方で、僕は今オンラインゲームしかやってない。
僕はいったい何がしたいんだと家の中で悶々とするようになりましたね。

そんな中、新しいオンラインゲームが登場しました。
せっかくだからどっぷりハマってみようと、1日の睡眠時間を4時間と決め、猛烈にやりこみました。
必死で取り組んだ結果、21歳の夏、このゲームで日本人1位にまで上り詰めました。

でも1位になった突端、急激な虚無感に襲われました。
1位になったけど僕の生活は何も変わらない。何も残らない。僕は何者なんだろう。
しばらくこの状態が続いたので、病院で診断を受けたところ、うつ病と診断されました。

ある日、深夜3時にオンラインゲームをしながら友人とスカイプでやり取りをしていました。
たわいもない話の途中、ふと僕は「人生暇なんだけど、何かやることないかな?」と話しました。
すると、友人は「音楽とか作ってみたら?DTM(デスクトップミュージック)ってのがはやっているらしいよ」と軽いノリで答えてくれたんです。

音楽は好きだけど、作ろうという発想はありませんでした。
面白そう、と思いましたね。
せっかく友人が勧めてくれたんだし、どうせやるならどっぷりハマってみようと、僕は2週間かけて音楽機材一式をそろえて作曲をしてみることに。

作曲経験はまったくありませんでしたが、教科書通りの作曲の勉強をしてもつまらないと思ったので、アニメ音楽をはじめとした自分の好きな音楽ジャンルを分析し、そこから好きなエッセンスを取り入れ、曲を作ることにしました。
好きな曲のどの部分が好きなのか、テンポ、コード、音色、一つひとつを分析していきました。
分析するうちにどんどん、作曲の面白さにハマっていきましたね。

音楽活動を始めてしばらくすると、失恋や神経系の指定難病の発覚など、立て続けに不幸な出来事が続きました。
服用していた薬を過剰摂取するようになり、意識が飛び飛びになることも。
自暴自棄になり、酒を飲んで夜の街を徘徊し、もう死んでも悔いはないと思っていましたね。
そんな姿を見て、高校時代の友人たちが「音楽があるじゃん」と全力で僕を励ましてくれました。

失恋で空っぽになった気持ちを音楽で埋めたい。
僕はさらに音楽に力を入れるべく、この頃から「KOTONOHOUSE」と名乗り、本格的に音楽活動を始めました。
配信活動にも力を入れ、少しずつ反響も広がっていきました。
知らない人に僕の音楽を受け入れてもらえるのはうれしかったですね。

分析好きが高じて大学院では統計学を専攻。
卒業後は学んだことをビジネスに活かすため広告代理店に就職しました。
しかし、仕事が忙しくなると音楽を作る時間が取れなくなりました。
しばらく僕はいったい何をしているんだろうと悩む日々が続きました。

ある日、お世話になっている先輩の音楽家から「仕事の両立ではなく、本格的に音楽活動をやってみたらどうだい」と言われました。
その言葉を聞いて、僕が本当は音楽の道に進みたいのに、仕事を言いわけにためらっているのを見透かされた感じがしました。
道を踏み外して失敗してもなんとかなるだろう。
挑戦のタイミングは今しかない。
僕は仕事を辞めて、25歳のとき、音楽一本で活動する決意をしました。

次は
3. 僕を見てくれる仲間に感謝の気持ちを忘れず
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