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感想をもらえることが、一番の喜び。
日本の漫画を世界に広めていく
【漫画家・安達智】 <後編>

目次
  1. 漫画家になってから一番苦労した経験と乗り越え方は?
  2. 漫画家になってから一番嬉しかった瞬間は?
  3. 今後の展望やご自身の将来のビジョンは?

人はどのようにして人生の道を選択し、壁を乗り越え進むのか。各界で活躍する方の人生ストーリーから紐解きます。今回は、紙・電子の累計部数30万部を突破した『あおのたつき』や、Twitterで人気の『丁寧な暮らしをする餓鬼』の漫画家である安達智さん(別名義・塵芥居士)をご紹介。

前回は、漫画家になった経緯や必要な素質について伺いました。後編となる今回は、安達さんが漫画家になって一番嬉しかった瞬間や今後の展望についてお話を伺いました。

1漫画家になってから一番苦労した経験と乗り越え方は?

安達さんが漫画家になってから、苦労したことについてお聞かせください。

子育てとの両立です。
子どもが3人いて、緊急で保育園や学校から呼び出しを受けることもあります。
時間の使い方は難しいですね。
周りには既婚の漫画家さんは少なく、ましてや3人の子どもを育てている母親はめったにおらず、相談できる相手もいませんでした。
特に子どもが小さかったときは、夜になかなか寝てくれず「この時間があったら、原稿何ページ描けただろうか」と思ったことが何度もありました。

大変だったのが伝わります。
今も子育ての真っ最中とのことですが、どのように乗り越えているのでしょうか。

コツは思い浮かばないですね。
一つ一つ仕事をして、なんとか納期に間に合わせていくうちに、気づいたら時間が過ぎていた感じです。
もちろん、仕事が終わらずに夜更かしをしたことも何度もありました。
当時はその時間が永遠に続いていく気がしていたけれど、いつしか子どもも成長し、ピークは乗り越えたと思います。

子育てが落ち着いてからは犬と暮らすようになって毎日の散歩で体力を保っています。

2漫画家になってから一番嬉しかった瞬間は?

漫画家になってから、一番嬉しかった瞬間はいつですか?

原稿を納品した瞬間も達成感がありますし、漫画家さんたちの知り合いが増えて、一緒にごはんに行ったりするのもすごく楽しいです。

でもやっぱり一番嬉しいのは、読者さんから面白かったという感想をもらえるときです。
ある回では、個人的にずっと描きたかった「江戸時代、多くの遊女は子どもがほしくても持てなかったこと」を題材に漫画を描いたところ、多くの読者さんから「感動した」と反応をもらえて。
非常に嬉しかったです。
そのコメントをいただいてからは、より一層、読者さんにこの話を読んでどう感じてもらいたいかを意識するようになりました。

コメントがモチベーションになるのですね。
ちなみに、逆にアンチコメントをもらうこともあるのでしょうか。

ありますよ。
やっぱり悲しくなります。
たくさんのコメントの中で読まないだろうと思うかもしれませんが、一つ一つ刺さっています。
私のまわりの漫画家さんも悩んでいる方が多いです。

しかしながら、批判の中にこそヒントがあったりしますので読むようにしています。
心を落ち着かせる漢方は手放せないですが、やっぱり面白いなと振り向いてもらえるように努力したいです。

3今後の展望やご自身の将来のビジョンは?

今後の展望を教えてください。

漫画を描き続けることが第一です。
現在は日本文化がテーマの作品を描いていますが、一番私が関心を持っているのは「心」です。
これからも「心」について、描き続けていきたいですね。

ほかにもたくさん挑戦できればと思います。
たとえば海外に向けた発信にも興味があります。
あるメキシコ人の知り合いは、バッグに漫画のキャラクターのバッジをつけて、「同人誌即売会に参加するために日本に来た」と話していました。
海外の方にも日本の漫画を楽しんでもらえるんだなと知って、嬉しくなりましたね。
日本の感性を知ってもらえるような漫画を描いて、世界中の方に読んでいただきたいです。

また、塵芥居士名義で活動している『丁寧な暮らしをする餓鬼』では、漫画以外にも、地方の職人さんとタッグを組んでグッズを出すなど、地域創生のための活動を進めてきました。
これからも、イベントを開催したり、神社や寺院を借りてカフェをしたり、活動の幅を広げていきたいです。

※掲載している情報は、記事執筆時点(2022年8月)のものです

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ご協力ありがとうございました
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