1警察官になってから一番苦労した経験と乗り越え方は?
やまよしさんが警察官になってから、苦労したことについてお聞かせください。
正直なところ、全然思いつきません。
仕事にやりがいがあったし、興味を持って取り組んでいたため、思い浮かばないですね。
強いて言えば、警察官を辞めるときが一番苦しかったです。
私が退職した理由は、家庭の事情で仕事を続けられなくなったから。
やりがいを感じて仕事をしていた分、辛かったですね。
同僚にも恵まれていたため、周りの人たちからも「どうにかして続けられないのか」と説得されました。
事件や事故の対応以上に、気持ちの切り替えが難しかったですね。
やりがいを持って仕事をされていたのが伝わります。
折り合いの付け方としては、警察官の経験を必ずこれからの人生に役立てようと決意することで、心を切り替えました。
現在YouTubeで情報発信をし、警察官志望の若者向けに採用試験対策を指導しているのは、このときの決意からです。
2警察官になってから一番嬉しかった瞬間は?
警察官になってから、一番嬉しかった瞬間はいつですか?
刑事になれたときですね。
警察官を志望したのも刑事になるためだったので、本当に嬉しかったです。
配属されてからも、すごく楽しかったですね。
テレビドラマで見ていた光景が実際に広がっていて。
普通に生活していれば体験できないことばかりで、ワクワクしたのを覚えています。
刑事の仕事では、やっぱり逮捕の瞬間が嬉しいのでしょうか?
そうとは言えません。
逮捕しただけでは事件は終わらず、その後も取り調べをしたり、裏付け捜査をしたり、書類を作成したりして、最終的に検察官に送って警察官の手から離れて、その後裁判になります。
もしも裁判で無罪判決が出ると、逆に警察側が冤罪で逮捕したということに批判が集まってしまいます。
だから有罪が確定したときには、ホッとしますね。
嬉しいとは、少し違う感情かもしれません。
業務内容の中で嬉しいと感じる瞬間はあまりないのでしょうか?
刑事の仕事ではほとんどないですね。
刑事が直接的に感謝されることはほとんどありませんから。
交番の業務なら市民に感謝されて喜びを感じる場面が多少ありますが、一方で交通違反の取り締まりなどで反感を買う場面も多いです。
嬉しい瞬間があるからではなく、平和を守っていることをモチベーションに、やりがいを感じて仕事をしていました。
3今後の展望やご自身の将来のビジョンは?
警察官を辞めてから、どのような仕事をしているのでしょうか?
現在は正社員として病院で勤務しています。
病院では、支払トラブルや医療過誤など、さまざまなトラブルが発生します。
しかし看護師さんやお医者さんはトラブル対応の専門家ではありません。
警察官だった頃の知識やスキルを活かしながら、トラブルの解決を行っています。
また、警察官に関する情報発信のYouTubeと、警察官志望者のための採用試験対策を指導しています。
情報発信については、テレビ番組では流れていないような警察官の裏側を発信することで、「怖い」「冷たい」といった警察官のイメージを刷新できればと考えています。
採用試験対策については、全国的に予備校があるものの受験生目線でのカリキュラムになっていないように思います。
特に面接対策がしっかりできていないケースが少なくありません。
面接対策自体はあっても、警察官経験者ではないため、的外れな場合もあります。
実際に警察官を経験した目線から指導することで、警察官志望者の役に立てると考えています。
現在は、面接対策を中心に、筆記試験対策や論作文試験対策など、オンラインとオフラインを融合させながら、総合的に指導・サポートできる仕組みを構築して警察官志望者の対応をしています。
今後の展望を教えてください。
採用試験対策においては、リアルな目線を伝え、自己変革まで支援したいと思っています。
警察官の同僚を見ていても、前向きだったり、切り替えが早かったり、どことなく似た性質の人たちが多いです。
ただ、面接時だけその姿を偽っても、今後のためになりません。
面接官は警察官ですし、すぐに見破られてしまいます(笑)。
中長期的な視野で警察官志望者に関わることで、警察官として必要な素養を身に付けるお手伝いをしたいと思います。
YouTubeについては、一般人と警察官との距離感を縮めることも目的にしています。
極端な話、みんなが警察官を身近に感じてくれれば、絶対に治安がよくなると思うのです。
なぜなら、困ったことがあればすぐに警察官を呼んでくれるから。
たとえば振り込め詐欺のときも、すぐに相談してくれる距離感になれば、犯人の逮捕が加速し、治安がよくなるはずです。
テレビでは警察官の仕事の刺激的な部分ばかり映しますが、案外、人間味のある面白い部分もあります。
そういった部分を発信することで、社会をもっと安心安全にしていきたいです。
これらは副業が禁止されている公務員である警察官ではできなかった仕事です。
今の自分にしかできない仕事をすることで、警察官のイメージ刷新および社会の平和に貢献していきたいです。
※掲載している情報は、記事執筆時点(2022年8月)のものです