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知識よりも「聴く力」。
薬剤師になるには、杉山卓也さんに聞いてみた
【漢方薬剤師/合同会社Takuya kanpo consulting代表/一般社団法人tamari中医学養生学院オーナー兼理事長・杉山卓也】 <前編>

目次
  1. 薬剤師としての現在の仕事内容は?
  2. 薬剤師を目指したきっかけは?
  3. 薬剤師になるには、どのような勉強や資格が必要でしょうか?
  4. 薬剤師に向いている人はどのような人でしょうか?

人はどのようにして人生の道を選択し、壁を乗り越え進むのか。各界で活躍する方の人生ストーリーから紐解きます。今回は、漢方薬剤師の杉山卓也さんをご紹介。

SNSでの情報発信やオンラインサロンの経営など幅広く活動する杉山さんが薬剤師になったきっかけ、向いている人の特徴など、お話を伺いました。

1薬剤師としての現在の仕事内容は?

杉山さんのお仕事について教えてください。

神奈川にある漢方薬局で、薬剤師として働いています。
一般的な薬局では、処方箋を元にお薬を処方するのがメインの業務ですが、私の働いている薬局では、漢方相談はもちろん心身の相談に力を入れています。

他にも、東京にある漢方専門店と、漢方と中医学を学ぶスクールの経営、オンラインサロンの運営、SNSを使った情報発信なども行っています。

薬局で相談を受けていて、たくさんのお客さまに喜んでいただく中で、ならば困っている人にもっと広く解決策をお伝えしたいと思い、SNSでも心の悩みに関する発信を始めました。

媒体によってテーマを変えて発信していて、Twitterでは心の悩みに関する発信。
YouTubeでは、漢方や中医学の歴史や、生活養生法、漢方薬についての発信をしています。
フォロワーの方の年齢層は、30代から50代の方が多く、Twitter経由で知ってくださり相談をもらう機会も多いですね。

どういった相談を受けることが多いのでしょうか?

気力が湧かないとか、うつの症状があるとか、心の病気に関する相談が多いです。

オンラインサロンはどのような目的で運営されているのですか?

もともとは薬剤師として培ってきた知識や経験、とくに漢方や中医学の魅力を伝えたいという思いがベースにありました。
今は、漢方や中医学に興味のある人たちが集まり、やりたいことを実現できる場所になればと願って運営しています。

最近は、同じ思いをもっているメンバー同士が交流し、新しい部会やプロジェクトが立ち上がっています。
例えば、薬膳料理のレシピ開発や中医学絵本、中医学ゲームの制作などです。
現在700人ほどのメンバーが活動しています。

2薬剤師を目指したきっかけは?

杉山さんが薬剤師を目指したきっかけを教えてください。

父が漢方薬局を経営していたことがきっかけです。
幼い頃から、私が体調を崩すと、父が処方してくれた漢方薬を飲んでいました。
漠然と、父がいなくなったら誰が薬を用意するのか、自分自身の健康管理を自分でできるようになりたい、と考えるようになったのです。

いつか父と同じような医療に携わる仕事がしたい。
最終的には薬剤師になると決め、大学に進学しました。

杉山さんは現在、薬剤師の中でもとくに漢方をご専門にされていますよね。
その経緯を教えてください。

大学で4年間薬学について学んだあと、3年間、西洋薬を扱う調剤薬局で働いていました。
そのあと、父が経営していた漢方薬局の2代目として、家業に戻った感じです。

どうして実家に戻ることにしたのでしょうか?

漢方では、薬剤師の力で患者さまの症状を治すことができるところに魅力を感じたからです。

3年間働いていた薬局では医師から出された処方箋に基づいて薬を調剤し、患者さまに渡していました。
調剤に医師の意図はあっても薬剤師の思いはほとんど介在しません。
しかし漢方薬局では処方箋に基づく調剤ではなく、薬剤師が患者さま一人ひとりの相談に乗りながら適切な薬を選びます。
薬剤師自身の力で患者さまの回復に貢献できる。
そこに魅力を感じ、漢方薬剤師になりたいと思うようになりました。

3薬剤師になるには、どのような勉強や資格が必要でしょうか?

薬剤師になるには、どのような勉強や資格が必要でしょうか?

大学の薬学部で6年間の課程を修了し、国家資格の取得が必要です。
国家試験では、薬学に関する幅広い知識が求められるほか、法規や制度に関する問題も出題されます。

薬剤師には、どのような学歴や経歴の人が多いのでしょうか?

一度は社会人として会社で働いたあと、大学に入り直して薬剤師になる人もいます。
いろいろな経歴の人がいますが、国家資格を取得するという道は必ず通らなければなりません。

4薬剤師に向いている人はどのような人でしょうか?

薬剤師に向いている人はどのような人でしょうか?

話を聴ける人です。
薬剤師は、心身の相談を受けることが多く、いくら知識をもっていたとしても、それを前面に押し出すのではなく、まず目の前の方の話を聴くことが大切だと思っています。

私のところに相談に来てくださるお客さまも、病院では時間に制限があって話したいことを全て話せていないという方が多いです。
私は、相談時間を30分から1時間ほど余裕をもって確保し、その間は、とにかく話を聴く姿勢を意識しています。

聴くときに気を付けていることはありますか?

相手を否定しないことです。
例えば、病院でやってきた治療を意味のないものだと決めつけたり、もう手遅れだと伝えたりしてしまうことは絶対にいけません。
思わず言ってしまう人もいるのです。
自分の考えが正しいから、この処方をするべきだと言いたい気持ちもわかりますが、否定されると正しい提案も受け入れてもらえなくなることが多いので、まずは肯定することが大事です。

また、相談者の方の表情の変化にも気をつけています。
相談する前と後とで同じ表情なら、その対話はきっと失敗なのです。
窓口には無表情の人や泣き腫らしている人などいろいろな人がいます。
どんな表情の人であっても、最後には笑顔になってもらうことを大事にしています。

表情に着目することで、相談者の方が「悩みをその場に置いて帰れる」手助けができると思っています。
目の前の課題解決ももちろん大事ですが、相談者の方の話に耳を傾け悩みを共有するだけでも、悩みを手放し、心の負担を取り除くことができるのです。

<後編はこちら

※掲載している情報は、記事執筆時点(2022年7月)のものです

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