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絵のスキル以上に必要な力とは?
イラストレーターになるには、YAGIさんに聞いてみた
【イラストレーター・YAGI】 <前編>

目次
  1. イラストレーターとしての現在の仕事内容は?
  2. イラストレーターを目指したきっかけは?
  3. イラストレーターになるには、どのような経験やスキルが必要でしょうか?
  4. 仕事の依頼はどのような形でくることが多いですか?
  5. イラストレーターに向いている人はどのような人だと思いますか?

人はどのようにして人生の道を選択し、壁を乗り越え進むのか。各界で活躍する方の人生ストーリーから紐解きます。今回は、イラストレーターのYAGIさんをご紹介。

デザイナーから独立し、フリーイラストレーターとしての道を歩み始めたYAGIさん。仕事の依頼を得るノウハウや経験についてお話を伺いました。

1イラストレーターとしての現在の仕事内容は?

YAGIさんのお仕事について教えてください。

フリーのイラストレーターとして、雑誌、ウェブ、テレビ、広告等に使われるキャラクターや挿絵を描いています。
裏方に近い立場です。

どのようなテイストのイラストが多いのでしょうか。

シュール系ですかね。
Twitterアカウントでアップしているような、ちょっとクスッと笑えるようなものが多いです。
依頼される仕事でも、「YAGIさんらしいものを」と言われるケースが多いんですよ。

2イラストレーターを目指したきっかけは?

YAGIさんはなぜイラストレーターになろうと思ったのでしょうか。
キャリアのスタートからイラストレーターだったんですか?

いえ、最初は広告代理店でグラフィックデザイナーとして働いていました。
グラフィックデザインの学校で学び、就職したんです。
イラストレーターになったのは、デザイナーの仕事に疑問を抱いたのがきっかけでした。

メーカーの下請けとしてポスターやキャラクター商品のデザインをしていたのですが、与えられた素材を並べてレイアウトを作り、文字を載せる仕事をしているように感じ「これってデザインなのかな?」という感覚になってしまって。

また、広告代理店のデザイナーは完全に裏方の仕事で、名前が出るわけでもなかったことも気になりました。
クリエイターは自分の名前で食べていく仕事だというイメージを持っていたので、ギャップがあったんです。
別会社で働く友達の仕事も似たようなものだったので、転職ではなく独立を考えるようになりました。

最初はデザインの仕事を検討していたのですが、自分が食べていけそうなものを考えていったときに、イラストかな、と。

イラストも元からお好きだった?

絵は描いていましたが、きちんとした絵というより落書きでしたね。
イラストレーターや漫画家さんは子どものころから絵や漫画をしっかり描き続けてきた人が多いのかなと思うのですが、私は黒板に先生やクラスメイトの似顔絵を描いて笑いを取ったり、机を落書きだらけにしたりといった感じで。
そんな背景から、オフィシャルサイトの経歴には「落書きの美学を学んだ」と書いています。

でも、当時イラストの道には進まなかったのですね。

絵を仕事にする方法や職種に対する知識があまりなかったんです。
絵で絶対食べていきたいという感じでもなく、漫画を描いていたわけでもなかったので、ざっくり「デザインだろうな」と思って進学しました。

学校ではデザインに疑問や違和感を持つことはなかったのでしょうか。

なかったです。
与えられたお題で自由に発表するような授業だったので、とても楽しかったですね。
自分のイラストを載せるサイトをプライベートで作ったりもしていました。

卒業後には広告代理店に就職する方が多かったのでしょうか。

はい。
それが当たり前だったので、流れるままに就職しました。

学生時代は好きなものしかやっていなかったのですが、会社ではPhotoshopやIllustratorなどのソフトが使えなければ仕事にならなくて。
最初は使い方を覚えるのに必死でした。

そうして仕事のやり方がわかって慣れてきたころに、「あれ、これってデザインなのかな?」と考えるようになり、入社後1年ほどで退職。
独立したという流れです。

3イラストレーターになるには、どのような経験やスキルが必要でしょうか?

学校でデザインについて学び、会社でソフトの使い方を身に付けたものの、イラストレーターとしては経験のないまま独立されたわけですね。
いきなりフリーランスになることに不安はなかったのでしょうか。

あまりなかったです。
若かったこともあって、謎の勢いみたいなものがあったのでしょうね。
今ならおっかないですけど。

ご自身を振り返ってみて、イラストレーターとして食べていくために必要な経験やスキルは何だと思われますか?

意外だと思われるかもしれませんが、営業経験は役立つでしょうね。
あとは私も独学で学んだSEOの知識。
イラストレーターを目指す人は、とにかく絵の技術を上げようと努力されるケースが多いと思うのですが、絵の世界は美大を出たからといって食べていけるわけではないんですよ。

「ヘタウマ系」など、絵にはいろいろなジャンルがあり、クライアントのニーズに合致しさえすれば仕事になります。
むしろ、今は絵がうまい人がプロアマ問わずあふれているので、うまい人より少し崩した個性のある絵の方が目立てるんじゃないかとも思います。

ですから、イラストレーターとして独立したいのであれば、ある意味、絵の力量は二の次といってもいい。
むしろ、どうやって仕事に繋げるのかを考えられる方が重要でしょう。

4仕事の依頼はどのような形でくることが多いですか?

仕事の依頼はどういった形でくることが多いのでしょうか。

オフィシャルサイトなどを見て先方から依頼がくるケースがほとんどです。

独立した当初はいかがでしたか?

最初はアルバイトをしながら、ウェブ上でどうすれば自分の作品が人の目に触れるのかを調べ、SEOの勉強をしてウェブサイトに活用したり、当時メジャーだったSNSで作品をアップしたりしていました。

今でこそウェブ業界でSEOはよく聞く言葉になりましたが、当時はまだ珍しかったですね。
イラストレーターのなり方を調べても、「足を使って出版社に行くべし」という時代でした。

足を使った営業活動もされたのですか?

ほぼしていないです。
ちょこちょこサイトをいじっていくうちに、依頼が確実に増えてきたんですよ。
ですから、この方法をずっとやっていればいいんじゃない?と。
依頼主に頼まれたときに作品ファイルを送るくらいで、持ち込みはあまりしないままやってきました。

仕事の依頼がくるように、イラストの部分で工夫されたことはありますか?

それはかなり考えました。
「イラストで食べていく」ことを意識し、世の中でイラストが使われているものについて考えたところ、雑誌やウェブの記事の挿絵が多いと思ったんです。

私がもともと好きなのはヒップホップやストリート系の絵なのですが、挿絵ではあまり使われないだろうと思ったんですよね。
ですから、求められるテイスト作りに取り組みました。

依頼がき始めたころには今のテイストに固めています。
「YAGIといえばこれ」と認識していただきたくて。
ありがたいことに、独立して1、2年ほどで仕事を軌道に乗せることができました。

5イラストレーターに向いている人はどのような人だと思いますか?

YAGIさんが思うイラストレーターに向いている人についてお聞かせください。

例えるなら、夏休みの宿題を計画的に進められていた人。
というのも、雑誌やテレビ番組からの仕事では、「2、3日以内にください」と言われることもざらなんです。

常に余白を作りながら動かないと、突発的な依頼に対応できませんから、納期までに計画的に進め、ギリギリにまとめて間に合わせようとしない姿勢が求められます。

YAGIさんは計画的にできるタイプだったんですか?

いや、ドリルなんかは全然ダメでしたね。
大人になってから計画的にできる力を身に付けました。
ですから、子どものころから計画的なタイプだったらもっと楽だったかなと。

自分の納得感を最優先にして納期を守れなくなるイラストレーターもいるのですが、依頼を受ける以上、何よりも重要なのは納期。
自分のこだわりのためにクライアントに迷惑をかけることは、仕事人としてあってはならないことだと思っています。

<後編はこちら

※掲載している情報は、記事執筆時点(2022年7月)のものです

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