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多様な働き方ができる税の専門家。
税理士になるには、桑田悠子さんに聞いてみた
【税理士・桑田悠子】 <前編>

目次
  1. 税理士としての仕事内容は?
  2. 税理士を目指したきっかけは?
  3. 税理士になるには、どのような資格や条件が必要?難易度は?
  4. 税理士になる人は、どのような学歴、職歴の人が多い?
  5. 税理士に向いている人の特徴は?

人はどのようにして人生の道を選択し、壁を乗り越え進むのか。各界で活躍する方の人生ストーリーから紐解きます。今回は、税理士の桑田悠子さんをご紹介。

もともと自分で小さく事業を立ち上げていた桑田さんが税理士になったきっかけ、税理士に向いていると思う人の特徴とは。お話を伺いました。

1税理士としての仕事内容は?

桑田さんのお仕事について教えてください。

税理士の仕事は大きく5つに分類されます。
1つ目が会社や個人の顧問、2つ目が相続、3つ目が事業承継、4つ目がスタートアップに対する創業支援や資金調達、5つ目がM&Aです。
私はこのうち、相続や事業承継を専門としています。

相続の仕事では、お客様が高齢の場合も多く、分かりやすくお伝えすることが大事になります。
もちろん数字を見る力がマストですが、そこから何が読み取れ、どう考えるべきなのかを噛み砕いてご説明して、理解していただくことも不可欠な仕事です。

税理士は桑田さんのように専門特化されている方が多いのですか?

今はまだオールラウンダーが多いですが、今後は専門性に特化した人が増えていくと思います。
税金の世界はとても幅広いため、専門に特化した方がクオリティの高いサービスを提供できるからです。

この5分野のうち、特にニーズがあるのはどの分野でしょうか?

最近は、相続とM&Aのニーズが高まっています。
相続は、数年前の税制改正により、相続税を申告しなければいけない人の割合が増えました。
10人に1人は申告が必要になります。
また、相続税に関しては富裕層のみですが、税金のかからない相続に関してはどの家庭にも起こりうることです。
相続対策を希望されるお客様は非常に増えていますね。

M&Aのニーズ増加については、後継者不足が理由として挙げられます。
また、会社を売る行為自体は非常に低税率であり、企業の経営戦略として選択する場合も増えています。

2税理士を目指したきっかけは?

税理士に興味を持った原体験を教えてください。

もともと起業したいという思いがあり、学生時代に開業届を出して、化粧品やお洋服の販売をしていたのですが、それ以外にも事務所に所属してイベントコンパニオンやキャンペーンガールとして様々なイベントで仕事の裏側を見たり、カラオケ、マクドナルド、販売促進の仕事も経験しました。
学校とは違う世界で大人の人達と関わることが、とても楽しかったのです。

その中でも、数日間のイベントで電化製品を売るアルバイトが非常に印象的でした。
一生懸命売ったので、営業成績としての成果を出せたものの、どこかもやもやした思いがありました。
あくまでアルバイトであり、その製品を心の底から愛していたわけではなかったからです。
「あのお客様は、本当にこの製品を必要としていたのだろうか。無理して買わせてしまったかもしれない」とジレンマを感じていました。
それからは100%の熱量をかけられて、かつ社会貢献ができる仕事をしたいと考えながら過ごしました。

そんなとき、祖父が他界。
相続の当事者になりました。
本当に大変でしたね。
同時に、これほど大変な相続の専門家が少ない現状を知りました。
自分が当時小さくビジネスをしていたことから会社の裏側を知りたいという思いと、社会に貢献する仕事ができるというもう1つの思いを両方満たせる仕事は税理士だと気づきました。
税理士になるには資格が必要でしたが、自分の一生をかける仕事はこれだ!と思い、23歳から税理士を目指して勉強を始めました。

3税理士になるには、どのような資格や条件が必要?難易度は?

税理士になるための資格の取り方を教えてください。

税理士免許を取るためには、税理士試験に合格し、2年以上の実務経験を積む必要があります。
税理士試験の合格条件は、計5科目で合格点を取ること。
なお、大学院に進学すると試験科目が2科目免除、税務署に一定期間勤務することで科目免除などの制度もあります。
加えて、税理士試験は1年で5科目すべてに合格する必要はありません。
科目は合格すれば一生有効であり、数年かけて税理士を目指すことも可能です。
また、実務経験についても試験勉強中と並行することができるため、最短で2年での資格取得が可能です。

税理士は試験が難易度の高いイメージがあります。

そうですね。
どの科目も合格率は10~20%と難関な方だと思います。
私も予備校に通いながら勉強し、合計で7年かかりました。
とはいえ、働きながらだったので、受験していない期間もありました。
最初の3科目はすんなり受かったので、私は5科目受験を選びましたが、これから受験される方は、大学院との並行もおすすめです。

4税理士になる人は、どのような学歴、職歴の人が多い?

税理士はどのような経歴の方が多いですか?

非常に幅広いですね。
学生時代から税理士の勉強を始めている人もいれば、証券会社や保険会社でお金に関する仕事を経験した人もいます。
中には別業界で経験を積んでから税理士を目指す人もいます。
税理士試験合格者の年齢割合をみると、40歳以上が38%。
1科目ずつ積み重ねられるので、年齢が上がってからのチャレンジも多いのだと思います。
私自身も社会人になってから、はじめて、税理士を目指すことに決めました。

5税理士に向いている人の特徴は?

桑田さんが思う、税理士に向いている人の特徴は何ですか?

とくにこれといった特徴は思いつきません。
いろいろな思考を持った人、社会人としていろいろな経験を持った人が活躍できるのが税理士だと思います。

私は実務だけではなく、お客様とお話をしたり、フロントに出ることも好きなタイプですが、一方、職人タイプで、お客様対応はあまりしないけれど、裏で品質をしっかり支えるタイプの方もいます。
チームでやりたい人もいれば、1人で個人事務所を作っている人もいます。

働き方も問いません。
資格があることで、子育て中や介護中など家庭を優先したいときには時短や在宅で働くことも可能になります。
最近は女性の税理士も増えています。

さまざまなタイプの人が働けるのですね。
その中でも、絶対に必要な能力や考え方はありますか?

税理士は、サービス業です。
特に相続を扱う税理士は、お客様からご自身の資産をすべて見せて頂くことになる特殊な業界です。
普通、はじめましての人に通帳を見せることなんてありませんよね。
だからこそ、誠実で丁寧な対応や人柄は重要になると感じています。
それはフロント業務でもバックオフィス業務でも、どちらにおいても通ずるところですね。

<後編はこちら

※掲載している情報は、記事執筆時点(2022年7月)のものです

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