1介護福祉士としての仕事内容は?
しろねこさんの今のお仕事について教えてください。
介護福祉士として、今は「有料老人ホーム」と呼ばれる施設で働いています。
入浴介助や食事介助といった一般的な介助業務をすべてやっている形です。
また、有料老人ホームは高齢者の方が暮らす住まいですので、夜勤にも対応しています。
「今は」とのことですが、過去には有料老人ホーム以外の施設でも働いていたことがあるのでしょうか?
はい。
最初に務めたのは「特別養護老人ホーム(特養)」と呼ばれる施設でした。
特養は常に介護が必要ですが、ご家庭では対応が難しい高齢者の方が入居する施設です。
介護福祉士の職場には、デイサービスやグループホームなどさまざまな業態があります。
なかでも特養は求められる仕事が多いです。
特に私が務めていた特養は割と大規模な施設だったので、なおのこと大変でしたね。
今では最初に大変な環境を経験できてよかったなと感じています。
2介護福祉士を目指したきっかけは?
しろねこさんが介護福祉士になろうと思ったきっかけは何ですか?
介護業界で働いている友達の紹介です。
前職は介護とはまったく異なる業界で、そこをやめたときに声をかけてもらったんですよ。
最初に特養に入ったのは、友達がそこで働いていたからです。
何にせよ生活のために働かなければならなかったので、「とりあえずやってみるか」と軽い気持ちで入りました。
正直、高い志はなく、ずっとこの仕事で生きていくぞといった気持ちもなかったです。
おじいちゃんおばあちゃんっ子だったなど、高齢者の方と接するのが好きだったのでしょうか?
いえ、特にそういうわけではありません。
働いていくうちに高齢者の方と接するのがどんどん好きになっていった感じです。
当時のしろねこさんは、介護の仕事にどのようなイメージを抱いていましたか?
紹介してくれた友達がやさしい人だったので、ほわほわしたやさしいイメージがありました。
排泄介助やおむつ替えのイメージから「汚い」イメージもあり、嫌かもしれないなとも思っていました。
ただ、やってみないとわからないので、とりあえず働いてみようと飛び込んだんです。
3資格の取得など、介護福祉士になるまでに苦労した経験は?
実際に介護業界に入ってみて感じたこと、ギャップはありましたか?
まずは特養の大変さを痛感しました。
イメージになかったのは、看取りがあること。
基本的に高齢者の方は病院でお亡くなりになるので、介護の現場で看取る機会はそうないんです。
しかし、特養ではある。
人の死を目の前で見る経験なんてなかなかありませんから、最初は衝撃的でした。
看取りにより考えさせられることもあるなと思いましたね。
気になっていた排泄介助に関してはいかがでしたか?
それは特に問題ありませんでした。
入って3ヶ月から半年ほどで慣れましたよ。
すごく潔癖な人は抵抗感が消えないなど、人によって向き不向きはあると思います。
人それぞれなんじゃないかな。
私は本当にすぐ慣れました。
生活のために始められたお仕事ですが、その後、介護福祉士の資格を取得されています。
仕事に対する向き合い方はどのように変化していったのでしょうか。
やっていくうちに楽しいと思える場面があり、だんだんと考え方が変わっていった感じです。
最初の2年ほどは単に仕事としてきちんとやるべきことをやる程度の気持ちの入れようだったのですが、介護福祉士の資格試験を受けるための実務経験を満たすころには、「この仕事でしっかりやっていこう」と気持ちに変わっていました。
それは何かきっかけがあって?
明確なきっかけがあったというよりは、高齢者の方と日々やり取りする中で変化していった感じです。
気難しい利用者さんが、誠実に接するうちに心を開いてくれるのはうれしい。
ありきたりかもしれませんが、やっぱり「ありがとう」と言われるのもうれしいです。
ダイレクトに人の役に立てているのだと感じられることはやりがいに繋がります。
そこから資格を取得。
受験での苦労はありましたか?
仕事をしながらコツコツ勉強しなければならないことが大変でした。
ただ、日々やっている仕事を言語化し、あらためて見直していく感じなので、難しすぎて苦労するといった大変さは少なかったです。
4未経験や社会人でも介護福祉士を目指せますか?
しろねこさん自身が未経験の社会人から介護福祉士になった当事者です。
実際に経験してみて、未経験や社会人からでも介護福祉士を目指せると思いますか?
思います。
介護業界は人手不足ですし、むしろ未経験でも喜ばれるんじゃないでしょうか。
実際に、私が最初に勤めた特養は未経験の中途入社者が大半でした。
「一緒にがんばっていこうね」といった雰囲気で、不安や孤独感もなかったです。
ただ、誰にでもできる仕事だとは思いません。
門戸は広いので、未経験可の施設なら雇ってはもらえるかもしれませんが、そこから全員がプロフェッショナルになれるわけではない。
知識も経験もいりますし、仕事への向き合い方、性格や気質が介護職に向くのかどうかも人それぞれです。
アンガーマネジメントなど、感情コントロールを学べる研修はありますが、それらはテクニックであり、持って生まれた気質はどうしても大きいです。
介護職は人の命を扱う仕事ですから、簡単な仕事ではありません。
短気で感情が表に出てしまう人は、介護職に向いているとはいえないでしょう。
あとは自分の体との付き合い方も重要です。
介護職が好きでも、腰を痛めて仕事ができなくなってしまった人もいるので。
私も新人のころに2度腰を痛めて歩けなくなってしまい、「これはまずい」と体の使い方を覚えていきました。
定期的にメンテナンスをし、痛みを感じたら早めに整体に行くようにしています。
自分の体も年々老いていくわけですし、長く続けるために体を労わらなければならないのですね。
しろねこさんは異業種から転職されていますが、どのような経験をしている人が介護職に向いていると感じますか?
私は経験していませんが、強いと思うのは営業経験です。
お客さんと接する経験が豊富なだけあって、利用者さんへの接し方「接遇」が一流だなと。
利用者さんも人間ですから、自分と合う合わないがありますし、いい人ばかりでもありません。
しかし、プロとしてどのような方にも笑顔で接するのが私たちの仕事です。
そうしたスキルが営業経験者の方には最初から備わっていると感じます。
5介護福祉士として今後どのようなキャリアをお考えでしょうか?
しろねこさんの今後のキャリアについてのお考えをお聞かせください。
事務職や管理職に移っていく道もありますが、私はできるだけ現場で働き続けたいと思っています。
そのためにも、なるべく自分の体をメンテナンスしていきたいです。
とはいえ、どうしても年齢的に身体介助が難しくなってくるときはやってくるでしょう。
ですから、歳を重ねたあとでも働きやすいケアマネージャーの資格取得も検討しています。
今後の自分の体次第でキャリアを選んでいきたいです。
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※掲載している情報は、記事執筆時点(2022年6月)のものです