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妊娠・出産のスペシャリスト。
助産師になるには、田中まゆさんに聞いてみた
【助産師・田中まゆ】 <前編>

目次
  1. 助産師としての仕事内容は?
  2. 助産師を目指したきっかけは?
  3. 助産師になるには、どのような資格が必要?
  4. 助産師になる人は、どのような学歴、職歴の人が多い?
  5. 助産師に向いている人の特徴は?

人はどのようにして人生の道を選択し、壁を乗り越え進むのか。各界で活躍する方の人生ストーリーから紐解きます。今回は、助産師の田中まゆさんをご紹介。

赤ちゃんの頃に大きな病気を経験したという田中さんが助産師になったきっかけ、助産師に向いていると思う人の特徴とは。お話を伺いました。

1助産師としての仕事内容は?

田中さんのお仕事について教えてください。

産婦人科に勤めていて、妊産婦さんやその赤ちゃんのお世話をすることが仕事です。
分娩介助をはじめ、妊婦さんへの指導や、産後の母乳ケア、新生児へのケア、育児方法の指導を担当しています。

このうち、助産師免許が必要なのは、分娩介助のみ。
そのほかの業務は、産婦人科に勤務する看護師さんと協力して進めています。

業務内容が非常に幅広いんですね。

私が勤めている病院では、外来と病棟とがある中で、お産担当、産後ケア担当、妊婦さんの担当など、スタッフがその日その日で役割分担をして働いています。
どの助産師も、たくさんある業務の中で、得意なものや、特に関心の高い分野が少しずつ分かれているようです。
私も助産師として働くうちに、徐々に自分の専門性が見つかっていきました。
私の場合は、性教育に関心があり、外部での性教育講演などを開催しています。

勤務形態を教えてください。

出産を扱っている病院は、24時間稼働する必要があります。
そのため、シフト制で日勤と夜勤が交代しながら勤務をしています。
一部の病院では出産時に助産師を呼び出す形をとっている所もありますが、シフト制である程度のスタッフ人数を毎日確保している場合は、よほどの時でない限り勤務時間以外の呼び出しはありません。
私も、勤務時間外については次の担当者にお任せしています。

産婦人科に勤める以外に、助産師として活躍する道はありますか?

医療行為を目的としない助産院を開業している助産師さんもいます。
また、私のように助産師としての知識や経験を活かして性教育を広めていくなど、病院の中に留まらない活動を行う助産師さんもいます。

2助産師を目指したきっかけは?

助産師に興味を持った原体験を教えてください。

赤ちゃんのときに大きな病気をしたことがきっかけです。

小学生のとき、授業で「自分が生まれたときのことについて、親に聞いてくる」という宿題が出されました。
そのとき、私は生まれつき心臓の病気を持って生まれてきて、0歳で手術をしていたことを知りました。
そうすると決まって私の生い立ちは学校でクラスのみんなに一例として発表されることが多く、その宿題は何かと毎年出されて、何度も自分が赤ちゃんだった頃の話をしました。
そのうち、なぜ私は病気の状態で生まれて、友達は健康に生まれてきたのだろうと疑問を感じ、医療や妊娠、出産に興味を持つようになりました。

助産師になりたいと思ったのは、何歳のときですか?

中学2年生のときです。
友達が「助産師になりたい」と話していて、それをきっかけに助産師という職業を知りました。
それまでは、医療に興味があるし、漠然と看護師さんになりたいと思っていたのですが、妊娠・出産に特化した仕事があると知り、助産師を目指すようになりました。

ちなみに、産婦人科医の道は考えなかったのでしょうか?

私は岐阜県の田舎の出身で周りに進学校は少なく、医師を目指す人も身近におらず、家族も医療関係ではありません。
自分が医者になるなんて想像もしなかったんです。
だから助産師一本で考えていましたね。

3助産師になるには、どのような資格が必要?

助産師になるための資格の取り方を教えてください。

助産師免許を取るためには、まず看護師免許を取得する必要があります。
大学や専門学校で看護師の勉強をして、国家試験を通過して看護師免許を取得。
それから1年間の助産師養成学校もしくは大学の専攻科で1〜2年間の大学院を経て、助産師の国家試験に合格し、晴れて助産師を名乗ることができます。

もしくは、四年制大学の「助産師養成課程」に進み、卒業見込みの最終年に看護師と助産師の国家資格を同時に獲得する道もあります。
最短で4年間で助産師資格の取得が可能です。

試験は難関でしょうか?

国家試験については、看護師も助産師も合格率が高く、しっかり勉強すれば大丈夫です。
ただ、助産師課程に入学するのは狭き門と言えます。
私の肌感では、看護学生が100人いたとしたら、助産師の道に進むのは2~3人程度。
定員が少ないため、倍率も非常に高いです。
理由としては、学生の間に分娩介助を10人経験する必要があること。
あまりに定員を増やしても、ノルマを達成できないため、助産師養成課程の人数を増やすことができないのだと思います。

男性も助産師を目指すことはできますか?

現在の法制では、受験資格が女性に限られているため、男性の助産師はいません。
たまに、差別ではないかと話題に上がることがありますね。
ただ、私としてはやはり妊婦さんに受け入れられるかが大事だと考えています。
男性でもできる産婦人科医は診察や処置がメインですが、助産師は助産業務だけでなく看護師として生活上のお世話をする場面がたくさんあります。
母乳のあげ方をつきっきりでみたり、帝王切開の術後に陰部に当てているナプキンを交換したり、尿管の管理をしたりなど。
そのため、男性助産師が受け入れられるにはハードルが高いのかなと思います。

4助産師になる人は、どのような学歴、職歴の人が多い?

助産師養成課程は狭き門とのことですが、助産師の方々はどのような経歴の方が多いのでしょうか?

私は運良く、看護学校に併設された助産学科に内部進学でそのまま入学することができました。
私のようにストレートで助産師を目指す人もいますし、看護師として働きながら、助産師に挑戦する人もいます。

また、中には30~40歳になってから、助産師に挑戦する人もいます。
自分が出産を経験して、助産師を目指す方も多いですね。
中には、全く別の職種から助産師を目指す人もいます。
私の同級生も最年長が48歳でした。

5助産師に向いている人の特徴は?

田中さんが思う、助産師に向いている人の特徴は何ですか?

人を相手にする仕事なので、相手の気持ちを考えて、寄り添える力が大事だと思います。
助産師の仕事は、お産の現場をはじめとして、妊婦さんのケアや赤ちゃんの世話など、さまざまです。
必要なケアを滞りなく提供するには、患者さんとの関係性を構築する力が重要だと思います。

また、予測できないことが起こるのがお産の現場です。
よく医療ドラマでバタバタして、チームとして一丸となってがんばる様子が映し出されますが、それが日常的にありますね。
単調なことが好きだったり、計画的にコツコツ進めたい人には、ちょっと苦手に感じるかもしれません。
臨機応変に対応できる人が向いていると思います。

ただ、実は私自身も急なトラブル対応が得意ではないんです。
だからできることは、早すぎるといわれるほど早めに準備をして、極力余裕を作っておいたり、まわりに現状を報告し相談したりして、急に何か起こったときにできるだけ焦らず対応できるようにしています。
自分の向き不向きを理解して、仕事に合わせて自分なりのやり方を身につけることが大切です。

<後編はこちら

※掲載している情報は、記事執筆時点(2022年6月)のものです

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