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いくつになってもチャレンジしていい。
自信を持って内側から輝く人を増やす
【トータルビジュアルプロデューサー・MANAMI】

目次
  1. 本物を学び、裏方へ
  2. 自問自答し見つけた強み
  3. 輝く人を増やす

人はどのようにして大切にしたい価値観に気づき、人生の軸を見つけるのか。各界で活躍する方の人生ストーリーから紐解きます。今回は、トータルビジュアルプロデューサーとしてヘアメイク、ファッション、ウォーキングなどの「見た目全てに関わるプロデュース」を行うMANAMIさんをご紹介。

海外でモデル活動をしていたMANAMIさんですが、その後裏方へ回り、人の見た目や内面を美しくする仕事を始めました。MANAMIさんが人生を通して伝えたいこととは。お話を伺いました。

1本物を学び、裏方へ

真面目で正義感が強く、規則を守らない人が許せない性格の子どもでした。
なんでも指摘してしまうので、面倒なやつだと思われたのか、学校ではいじめられていました。

15歳のときモデル事務所にスカウトされたんです。
身長が高く目立ったのかもしれませんが、「なんで私が?」と驚きました。
モデル業界では、身長によってショーモデルをするか雑誌などのスチールの仕事をするかが分かれるらしく、高身長の私はランウェイを歩くモデル向きだと言われました。

人前で目立つのは好きではなく、むしろ身長がコンプレックスでした。
でも、自分に向いているのなら、と考えてモデル活動を始めました。

モデル活動を始めてすぐ、事務所に勧められて海外に行きました。
まわりは身のこなしもウォーキングも完璧な超一流のモデルばかり。
貧しい国から自分の家族を養うためにここに来た、と並々ならぬ覚悟で仕事をしている人もいました。

モデル時代のMANAMIさん

モデル時代のMANAMIさん

ウォーキングもままならない私とは、モデルという職業に対する向きあい方がまったく違う。
なんだか恥ずかしくなりました。
「プロ」とは、もともと持ちあわせている素養だけでなく、相当な努力を積んだ人を指すんだと学びました。

今後の進路を考えたとき、頑張ってきたモデルを続けようと、大学には進学しないと決めました。
ずっと海外でモデル活動をしてきて、私の需要があるのは日本ではないだろうと思っていたのと、今後中華圏が伸びていくと感じたので、親日のイメージがある台湾を拠点に選びました。

高校3年のとき、単身台湾へ渡りました。
知り合いもいないし、中国語もわからない。
事務所にいきなり押しかけて直談判する形で事務所を探し、なんとか雇ってくれるところが見つかりました。
「目の前にレールがなくても、自分の手で道は切り拓けるんだ」と思いました。

台湾での仕事が順調になってくると、ある程度生活には困らないくらいお金を稼げるようになりました。
人前に出るのが嫌だった私も、気づけば自分に自信がついてきました。

20代半ばに差し掛かり、これからの身の振り方を考えました。
自分にはモデルとしてもっと上を目指すような野心もなく、表に出続けるタイプではないな、と感じていて。
10代からモデルとして駆け抜けてきましたが、他の何かをやってみたいと思うようになりました。

そんなある日、台湾で友人のモデルにメイクをしてあげたんです。
自己流のメイクでしたが、「MANAMIはセンスがいいね」「とても可愛い」とすごく喜んでくれました。
噂が広がっていろいろな人にメイクをしているうちに、私がしたメイクで歌謡祭に出る人も出てきました。

私のメイクで舞台に立つ友人を見て、「私は人が輝く瞬間を見るのが好きなんだ」と気づいたんです。
同時に、「プロとしてきちんと勉強したい」とも思いました。

27歳でモデルを引退し、ヘアメイクなどの裏方に回る決意をしました。
日本に帰国してからは、これまでの経歴を活かし、メイクやウォーキングの指導など、頼まれたことはなんでも引き受けていました。

2自問自答し見つけた強み

ヘアメイクなどの仕事も軌道に乗り、メイク本も出版しました。
34歳のときに、2冊目の本を出そうと出版社に企画書を持っていったんです。
自分でも「これは売れる」と自信のある内容でした。

ビューティキャンプトレーナーとして参加した世界五大ミスコンテスト「Miss Supranational Japan 2019」の関東大会での一枚。著書を用いたメイク指導をファイナリストへ行なった

ビューティキャンプトレーナーとして参加した世界五大ミスコンテスト「Miss Supranational Japan 2019」の関東大会での一枚。著書を用いたメイク指導をファイナリストへ行なった

でも、言われたのは「この内容は、MANAMIさんでなくても書ける。あなただからできることはなに?」という言葉。
企画書を突き返されて、すごく悔しくて。
私にはプロのモデルとしての実績もあるし、ヘアメイクの仕事も順調で、とても自信があった。
なのに突然、自分の築き上げてきたアイデンティティを否定された気がしました。

家に帰った後、どうしてそんな風に言われたのか、何度も反芻してみました。
そして、自分自身の強みを深く考えてみようと思い直しました。
考えているうち、次第に自分自身がわからなくなってきたんです。
私は何者なんだろう。
私にしかできないことって何なのか。

頭の中を整理したくて、「自分がこれまでやってきたこと」や「人から褒められたこと」「これからやっていきたいこと」を紙に一気に書き出しました。
紙を眺めているうち、私は「表現者」としてパフォーマンスするのではなく、人に何かを伝えたり、教えたりするのが得意なんだと気づいたんです。

私は何事も理屈がわからないと動けない性格です。
だからこそ、「なぜかわからないけれど可愛くなる」魔法のようなメイクではなく、「どうしてその仕上がりになるのか」を言語化し、誰でも再現可能なメイクアップ術を教えたい。
そして「プロ」として振る舞うからには、感覚で教えるのではなく、理論を学び自分のものにする。
それが私の強みであり、これからやっていきたいことだとわかりました。

もう一度練り直した企画書を持っていくと、見事採用。
出版されてからはベストセラーになりました。
そこから肩書きを「トータルビジュアルプロデューサー」に変え、見た目を総合的にアップデートしていく活動を本格的に始めました。

3輝く人を増やす

現在は、「トータルビジュアルプロデューサー」として、ヘアメイクやファッション、ウォーキングなど総合的に見た目を作りあげる活動をしています。

着物を着てのメイクイベントの様子

着物を着てのメイクイベントの様子

私自身がコロナ禍でメンタルの不調を感じた経験をきっかけに、外見だけでなくその方自身のお肌や体型、内面を整える必要もあると思うようになりました。
最近はメイクアップやファッションで見た目をより良くすることに加えて、スキンケアやダイエットコーチングなど、元の状態を底上げするお手伝いも増えました。

「プロがやったから美しくなる」のは当たり前です。
真似ができないようなものではなく、誰でも同じように再現できるよう、知識や理論をお伝えしていくようにしています。
もちろん「誰が言うのか」は大切だと思っているので、人に教えるからには資格を取るなど、自分自身が常に「プロ」でいられるよう努力を重ねています。
10代から一流の世界で学んだ「プロ」としての流儀や哲学が染み込んでいるなと感じます。

また、モデルやプロデューサーとして仕事をしていく中で、法律知識がないせいで不利益を被ったり、反対に自分が誰かの権利を侵害したりしてしまう場面が多いなと感じていました。
発信力を活かして、自分の身を守るための法律知識も伝えていきたいと、37歳で大学の法学部の通信課程に入学、40歳で通学課程に編入。
将来的には弁護士資格も取れたらと思っています。

私は「トータルビジュアルプロデューサー」の仕事を通して、自分に自信を持って生きられる人を増やしたいと考えています。
たとえ他人に認められなくても、自分自身を肯定してあげられるようになってもらいたいんです。

「見た目を美しくする」には、まずは内面からアプローチするようにしています。
「美しくなりたい」「外見に自信が持てない」という言葉の裏には、過去に傷ついたトラウマやコンプレックスが解消されていない場合が多いからです。
私は相談に来てくれた方がどんな人生を歩んできて、どんな人なのか、徹底的にヒアリングします。
その上で、なりたい理想の姿を一緒に考えていきます。

「私なんて」と自信が持てず、なかなか自分を好きになれない人にも、その人にしかない特別な経験は必ずある。
話を聞きながら一緒に見つけたり、時にはお客さま自身で自分と向き合ってもらう時間を作ったりします。

内面に自信がついた人は、前向きになり、見違えるように表情がぱっと明るくなるんです。
私のプロデュースを通して自分を肯定できるようになった人が輝いている姿を見るのが何よりの喜びです。

最近では小中学校のキャリア教育にも携わっています。
小中学生だと、学校と家庭が全ての世界になりがちですから、自分の見える範囲だけで人生を選択し、夢を諦めてしまう人も多いと思っています。
私のこれまでのキャリアを伝えることで、将来の選択肢や可能性が広がってくれたらうれしいです。

何かを挑戦しようとすると、「今さらやっても遅い」とか「どうせ無理に決まってる」と反対する人はきっといます。
それでも自分ならできる、という自信さえあれば、何にでも、何歳からでも挑戦できる。
それは、これまでの人生で私が実感してきたことです。

失敗してもいいから、まずは一歩踏み出してほしい。
そのためにも、自分と誠実に向きあうことから逃げず、私自身がチャレンジする姿勢を見せていきたいです。

※掲載している情報は、記事執筆時点(2022年2月)のものです

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