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自分の直感にしたがって生きればいい。
ギャグ漫画で、笑いと元気を届けたい
【ウェブ漫画家/毎日家にいる代表取締役・やしろあずき】

目次
  1. ギャグ漫画に魅せられて
  2. 漫画で人を元気にしたい
  3. コンテンツと業界がずっと続くように

人はどのようにして大切にしたい価値観に気づき、人生の軸を見つけるのか。各界で活躍する方の人生ストーリーから紐解きます。今回は、ウェブ漫画家として活動するやしろあずきさんをご紹介。

引きこもって親に迷惑をかけてばかりの学生時代を送っていたというやしろさんですが、ギャグ漫画に出会い、現在はウェブ漫画家として日々たくさんの人に笑いを届けています。やしろさんがギャグ漫画を通して伝えたいこととは。お話を伺いました。

1ギャグ漫画に魅せられて

小学生のころから、漫画を描くのが好きでした。
学級新聞に4コマ漫画を載せて人に見てもらうのがうれしかったんです。

僕自身もギャグ漫画を読むのが大好きでした。
線の細い美しい絵ではないかもしれないけれど、内容がすごく笑える。
「なんでこんなに突飛なアイディアが浮かぶんだろう、面白い」と感じて繰り返し読んでいました。

会社を経営している父は、いつも海外を飛び回っていて、ほとんど家にいませんでした。
それでも、たまに話すときには「自分の力で何かをやらないと資本主義社会では生きていけないぞ」「上の世界を見るには独立するしかないんだ」と生き方を教えられました。
正直言葉の意味はよくわからなかったけれど、生きていくのは大変なんだなと漠然と思っていました。

中学、高校は学校が楽しいと思えませんでした。
インターネットゲームにハマり、自宅に引きこもっていました。
母が入院したときも、「チャンスだ」と思って学校をずる休みして部屋でゲームをしていましたが、大学に進学したところ、周りがオタクばかりで、毎日すごく楽しかったです。
友人たちが絵を描く姿を見て、しばらく絵を描いていなかった僕も「そういえば昔好きだったな」と思い出し、久しぶりに絵を描き始めることにしたんです。

友人の中に、コミックマーケットで漫画やアニメなどの同人誌を売っている人がいました。
同じ大学生でこんなことやっている人がいるんだ、と衝撃を受けて。
同級生なのに、すごく偉大な存在に感じました。
なんだかカッコいいな、僕も同人誌を作って売ってみたい、と思うようになりました。

幼いころからギャグ漫画が好きだったので、ギャグ漫画を同人誌として自費出版することにしました。
就職氷河期で世の中が暗い雰囲気だったことを逆手にとり、「就活」を揶揄したような内容のギャグ漫画を描いたんです。
すると、内容が時流にマッチしたようで、とても反応が良くて。
初めて自分の力でお金を稼いだ経験でした。

僕は絵の勉強をしていないし、人より特別絵がうまいわけではない。
それでも内容が面白ければ、多くの人に読んでもらえるんだ。

そう思った瞬間でした。

2漫画で人を元気にしたい

大学生も終わりに近づき、周りが就活を始める中、僕は特に行きたい会社もやりたいこともありませんでした。
そんなとき、偶然ゲーム会社が運営する企画コンテストの存在を知って、応募してみました。

すると、数多の社会人たちを抜いてグランプリをもらったんです。
驚きました。
その結果が噂になったのか、いくつのもゲーム会社からオファーを受け、その中の一社にプランナーとして入社しました。

大好きなゲームに携われるのは楽しかったですが、だんだん会社に行くのがきついと感じるようになりました。
毎朝同じ時間に起きて、電車に揺られて同じ時間に出社する。
社会人として当たり前の生活が、僕にとっては苦痛でしかなかったんです。

せっかく入ったゲーム会社を、半年で退社。
その後、たまたま声をかけてもらった大手ゲーム会社に転職しました。
僕は会社員が向いているタイプではないと薄々感じていたけれど、大手ってどんな感じなんだろう、と好奇心が湧いたんです。
実際入ってみると、スケールの大きい仕事や待遇の良さなど、大手企業ならではのメリットはたくさん感じました。
それでもやはり、会社に行くのがしんどかったです。

それに、大きい組織であればあるほど、自分が関わったものが世に出るまでに時間がかかることもわかったんです。
大学生のころは自分で一から考えて作った同人誌を、目の前でたくさん売ることができました。
自分が面白いと感じて生み出した作品を、すぐに世の中に出した方が楽しいのに、と思いました。

会社員として働きながら、久しぶりに漫画を描き始めました。
インターネット上に漫画を載せている人が少なかったので、自分が描いたものをSNSに載せたら多くの人に見てもらえるんじゃないかと考えたんです。

僕自身ギャグ漫画が好きだし、描くのが楽しくて仕方ありませんでした。
小さいころから毎日書いていた日記にヒントを得て、ストーリーを組み立てて描いていきました。
もともと日常のささいなことやちょっとネガティブな出来事も、できるだけポジティブに明るく捉えようとする性格で、漫画もクスっと笑える内容になるように意識していました。

そのうち、SNSに「面白い」「笑えた」と反応が来るようになりました。
誰か一人でも僕の漫画を読んで笑ってくれたらいいなとは思っていましたが、「元気が出た」「疲れが吹っ飛んだ」とコメントをたくさんもらったのは意外で、驚きました。
僕が面白いと思った作品を見て、元気になってくれた人がいる。
純粋に、すごくうれしかったです。

そのうちにSNS上でバズる回数が増えて、フォロワー数もどんどん伸びていきました。
これなら自分一人でやっていけるかもしれないと自信がつき、ゲーム会社を退社。
フリーランスになりました。

自分の力で何かをやらないと、資本主義社会では生きていけない。
幼いころ、父に言われた言葉を思い出しました。
せっかく入った大きい会社を辞めて独立したんだから、できるところまでやろう。
そう覚悟を決めました。

3コンテンツと業界がずっと続くように

現在は、ウェブ漫画家としてブログやSNSでギャグ漫画を発信しています。
他にも、オタクやインフルエンサーに特化した不動産会社「おたくのやどかり」の執行役員を務めるなど、多岐にわたって活動しています。

「心からその仕事を好きで、楽しんでやっているか」は作品にも表れるし、読んだ人にも伝わると感じています。
だからこそ僕は、自分が本当にやりたいか、面白いと思えるか、常に心に素直にしたがって仕事をするようにしています。

「僕の作品がもっともっと多くの人に届いてほしい」思いはありますが、「どんなに面白いコンテンツでも、いつかは人気がなくなって滅びていく」とどこかで達観している自分もいます。

僕一人がお金を稼いで有名になったところで、業界が永く続かないと意味がない。
だからこそ、僕は一漫画家として、この業界で頑張る漫画家たちを多くの人に知ってもらい、有名になってほしいと思っています。
漫画家を志す人が一人でも増えてほしい。
そう思って、漫画家たちのプロデュース業やメディア出演など、幅広く漫画業界全体の認知を高める活動を最近始めました。

漫画を読んで、たくさんの人に笑ってもらうのが僕の一番の幸せ。
そのためにも、僕自身が一つのところに留まり続けていては面白くないなと思っています。
これからも自分の直感にしたがって、どんどん新しいことにチャレンジしていきたいです。

※掲載している情報は、記事執筆時点(2022年2月)のものです

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