シェアする
Twitterでシェア Facebookでシェア

行動記録で心がラクに。
兼業主夫流、人生の楽しみ方
【兼業主夫、時短家事コーディネーター・片元彰】

目次
  1. うつ病をきっかけに主夫へ転身
  2. 自分の行動にムダはなかったんだ
  3. 行き当たりばったりの人生を楽しむ

人生を彩り豊かに生きている人は、どんなことを実践しているのか。マイマガジン・ライフの掲載者を再度取材し、彩り豊かに人生を送るコツを伺います。今回は、兼業主夫・時短家事コーディネーターの片元彰さん。

うつ病になったのをきっかけに仕事を辞めて主夫になった片元さん。主夫になってから自分の1日の記録を取ったことで、人生を生きるのが楽になったといいます。片元さん流の人生を楽しむ秘訣とは?

1うつ病をきっかけに主夫へ転身

僕が主夫になったのは、体調を崩してうつ病と診断され、会社を辞めたことがきっかけでした。
現在は生まれ故郷の広島で兼業主夫として、家事・育児をしながら自分のペースで仕事をしています。
兼業主夫とは、家庭の中で主に家事・育児を担当しながら収入を得る男性を指します。

また、夫婦でYouTubeチャンネルを運営したり、ブログで主夫としての日常を発信したりしています。
また、子育てパパの普及を啓発する団体の中国代表として、男性の育児参加を広める活動もしています。

夫婦で運営するYouTubeチャンネル「カタモトーク」の様子

夫婦で運営するYouTubeチャンネル「カタモトーク」の様子

子育てパパの普及の啓発を行う、NPO法人ファザーリング・ジャパンでのオンラインイベントの様子

子育てパパの普及の啓発を行う、NPO法人ファザーリング・ジャパンでのオンラインイベントの様子

主夫をする前は製薬会社で営業職として働いていて、いわゆる体育会系の社風でした。
上司や先輩の言うことは守るのが当たり前で、仕事で成果を出して会社に貢献することが成長に繋がると思っていました。

24歳で結婚して長男が生まれた後、父親向けの子育て本を読んで子育てに関心を持つようになり、次男が生まれた後は育休を取得しました。
育休から復帰した後は積極的に育児に関わろうと思い、働く時間を調整してもらいました。
早朝出勤をして、夜は子どもたちと過ごす時間を増やしていました。
しかし、社内の一部や社外の取引先からは、私の働き方に批判的な声も出ていました。

数年後に転勤となり、前の職場と同様に残業はしない働き方をしていました。
しかし、周りとは違う働き方を続けるうちに、だんだんと社内で孤立するようになりました。
次第にストレスがたまって頭痛や腹痛も起こすようになり、会社に行くのがしんどくなっていきました。

ある日の朝、ベッドから起き上がるのも億劫になり、病院に行ったところ、うつ病の診断を受けました。
このときは「会社にはもう行けないな。人生詰んだな」と思いましたね。

休職期間は1年に及びました。
その間、妻と復職のことや今後のことを話し合い、10年間勤めた会社を辞める決断をしました。
仕事が原因でうつ病になったのだから、仕事を辞めるのがベストだと思ったんです。

次の人生をどう歩んでいこうか考えていたとき、自分が加入していた子育てパパの普及啓発団体のメンバーのことを思い出しました。
団体には仕事を辞めて好きなことで活躍している人、主夫として働くパートナーを支えている人、いろいろな価値観をもって生きている人がいたんです。
「人生は自ら切り拓いていくものなんだ」と気づきました。
僕が大切にしたいのは、家族と過ごす時間を取ること。
そう考えたとき、会社で働かずに家事と育児をする「主夫」の選択肢も悪くないかもしれないと思ったんです。

主夫になって最初の頃は悩んでいた時期がありました。
妻は働いてお金を稼いでくれているのに、「僕は何もしていないのではないか」と思ったんです。
元々タスク管理が好きで興味があったので、主夫として自分の1日を記録してみることにしました。

すると、自分は1日に掃除や洗濯、買い物など多くのことをしていたんだと気づきました。
自分の行動記録を取るようになってから、価値観が変わったんです。

2自分の行動にムダはなかったんだ

僕の場合、スマートフォンのタスク管理アプリで起きてから寝るまでの行動記録をほぼ全て取っています。
朝起きてから「トイレに行く」「歯を磨く」「顔を洗う」「服を着替える」果てには「ツメを切る」など1分単位で記録を取っています。
また、そのときに何を考えていたのかも書き込んでいます。
忙しくてその場では行動の全てを記録できないときもありますが、時間ができたときに思い出せる範囲で記録しています。

実際にスマホで行っている記録

実際にスマホで行っている記録

記録を取る生活をする一方で、短期的な計画や長期的な計画も立てていました。
でも、記録を取って見返すと、計画通りにできていない。
今度はきちんとしようと、もう一度計画を立てて行動するのですが、記録を見返すと実行できていない。
計画通りにいかないことを責めたこともありました。
記録を取り続けた結果、だんだんムダな行動をしなくなっていきました。

同時に、自分の行動を愛せるようになりました。
これまでは「何か新しいことをやらなければ」という焦りがあり、それができない現状にどこか罪悪感を抱えて生きていました。
しかし今は、無駄な時間がないことは自分が一番わかっていて、着手できていないことは他と比べて優先順位が低い、無理してやらなくてもいいことなのだ、と気づけたのです。
その結果、自分のことを精一杯やれていると認められるようになり、なんとなく感じていた息苦しさはなくなりましたね。

3行き当たりばったりの人生を楽しむ

4年間主夫として記録を取ってみたらいいことばかりでした。
主夫をしている人って基本的に自分が何をやっているのかわからない人が多いと思うんです。
1日が終わった後に、「きょうの私、なにやっていたんだろう」って。
でも、記録を取っていればまったくそんなことがなく、「自分はこれだけのことをやっていたんだ」とわかるんです。

僕は会社員時代、どんどん新しいことをやって成長していかないといけないと思っていました。
でも、主夫になって自分の行動を記録して、行動にムダがないことに気づいてから「僕は充分にやれているじゃん」と思えるようになりました。
精神的な負担が減り、生きるのがとても楽になりましたね。

日本人って真面目で責任感が強いと思うので、計画を立てても実行できないことに悩んだり落ち込んだりする人も多いと思うんです。
僕もそうでした。
でも、いまの自分がすでにムダのない行動をしていて、充分に頑張っていることを受け入れると、人生を生きるのが楽になっていきます。

また、いまの自分が充分に頑張っているとわかってからは、理想の人生を歩んでいるなと考えられるようになりました。
病気になる前は「将来の自分はこうあるべきだ」とあれこれ考えて悩んでいましたし、理想の自分になれないことにギャップを感じていたんです。

でも、いまは結果オーライな、行き当たりばったりの人生を楽しく歩んでいます。
「行き当たりばったり」という言葉は良いイメージの言葉ではないけど、裏を返せば臨機応変に対応することだと思うんです。

僕は主夫を選んだことに後悔はありません。
人生を記録したことで、彩り豊かな人生を送れています。

家族揃っての一枚

家族揃っての一枚

※掲載している情報は、記事執筆時点(2021年6月)のものです

この記事は役に立ちましたか?
はい いいえ
ご協力ありがとうございました
Related Stories

関連ストーリー

この記事を読んでいる人は、こんな記事も読んでいます
シェアする
Twitterでシェア Facebookでシェア

マイマガジン

旬な情報をお届け!随時、新規ジャンル拡充中!