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人生100年時代を生き抜くために。
自分の「レア度」を磨く4つのポイント
【スタディサプリ教育AI研究所所長/大学院准教授・小宮山利恵子】

目次
  1. これからのレアはジャンルの掛け合わせ
  2. レアな人間になるためのポイント4つ
  3. やりたいことをやって後悔しない人生を

人生を彩り豊かに生きている人は、どんなことを実践しているのか。マイマガジン・ライフの掲載者を再度取材し、彩り豊かに人生を送るコツを伺います。今回は、スタディサプリ教育AI研究所所長と東京学芸大学大学院・教育学研究科准教授を務める小宮山利恵子さん。

多様性の時代を生き抜く上で、組織の力ではなく個人の「レア力」が大切になってくると考えている小宮山さん。レアな人間になるために大切なこととは?

1これからのレアはジャンルの掛け合わせ

私は現在、次世代教育の在り方を考える「スタディサプリ教育AI研究所」所長と東京学芸大学大学院・教育学研究科准教授として働いています。
これまで、国会議員の秘書を経て教育系の会社で働き、その後はソーシャルゲームの会社でテクノロジーと教育関連の仕事に関わりました。

私が今のレアなキャリアを歩めているのは、一重に自分の「好き」を追求してきたからだと思っています。

自分のことをレアだと最初に思ったのは、民間企業の内定を蹴って国会議員の秘書になったことです。
教育の世界で仕事をする上で日本の政治や歴史をもっと知ったほうがいいと思い、この道を選びました。
しかし、「なぜ民間企業じゃなく、永田町に行くんだ?」と周りの人にずいぶんと反対されたんです。
多くの人に反対されるということは、自分は変な選択をしているんだという意識が芽生えました。

周囲の反対を押し切ってまで秘書になったのは、その道が自分にとってワクワクする道だったからです。
「ワクワクしないけど無難な道」と「ワクワクするけど難しい道」があったら、私は常に「ワクワクするけど難しい道」を選んできました。
その結果、自然とレアな人材になれたのだと思っています。

その後も、ワクワクする人生を歩み、私のレア度は上がり続けています。
例えば、2020年までほぼペーパードライバーだったのですが、サーキットで車を思い切り走らせてみたいと思い、2021年に車の国内A級ライセンスを取得しました。

取得してからは、車業界のことをさらに調べました。
車の歴史や構造、車の未来予想図などを調べていくうちに車業界の人との新たな出会いも生まれました。
調べるほど、「車」のジャンルが私のレア力として深まっていました。

好きなことを学び続けてレア人材になると、仕事の幅が広がります。
教育分野だけ学んだ人間だったら、その分野の仕事はできると思いますが、「教育×AI」や「教育×車」と強みを持っていれば、AI業界や車業界からお声がかかるかもしれません。

かつての「レア」の王道は専門家、つまり1つの分野で深い知識を持っている人が重宝されました。
これからは専門性を持ちつつもいろいろな分野を幅広く繋げられ、新しい視点や価値を提供できる人が重宝される時代になると思います。
いろいろなジャンルを勉強して、掛け合わせの種類が増えた人がよりレアな存在になっていくと思います。

2レアな人間になるためのポイント4つ

レア力を身につけるには、自分の持っている能力に新しい学びを組みあわせていくことです。
これを繰り返していけば、レア力が身につきます。
そのために必要なポイントは4つです。

1つ目は自分の「好き」を理解すること。
学ぶ上で大切なのは好きかどうか。
私はそれがどう自分の将来と繋がるかは考えず、自分の好きなことしか勉強していません。

だから1年後の自分がどうなっているかわからないんです。
ある分野の勉強がきっかけで別のジャンルに興味を持って、その分野を勉強しているかもしれないからです。

「学びたいけど、自分の持っている能力や好きなことがわからない」という質問を受けることがあります。
そんな人に私は「まずは自分の好きなものを20個挙げてほしい」と伝えています。
自分が楽しいと思うとき、自分が幸せと思うとき、など好きなことを20個書き出してみてください。
反対に、自分が嫌だなと思う瞬間、自分のエネルギーを消費してしまうことを20個書き出してみてください。

すると、自分の好きなこと、嫌いなことが可視化され、客観的に自分の好きなことと嫌いなことがわかります。
何かを学びたいけど何を学べばいいかわからない人の多くは、自分の好きなものがわかってない状態なんです。
だから、まずは自分の好きと嫌いを棚卸ししてみるといいと思います。

2つ目は「好きなことを周りに発信する」です。
ソーシャルゲームの会社にいたとき、教育分野でテクノロジーのことを発信している人がほとんどいなかったことに気づき、「発信したら皆の役に立てるかもしれない」とSNSで発信を始めたんです。
すると、ICT教育に詳しい人材として認識されるようになり、各所から声がかかるようになったんです。

発信をしないと、自分が何に興味があって何が好きなのか、周りにわかってもらえません。
発信しないのは知られていないのと同じです。
レアな人になるためには発信し続けることが大切です。

人生100年時代と言われ、健康寿命が70歳から80歳まで延びると、働ける期間も延びることになります。
一方、企業の平均寿命は約23年とも言われ短く、終身雇用制も崩壊しつつあるので、今後は多くの人がフリーランスや複業、起業を選択することになります。
実際、そんな人も増えています。

そんな社会になれば、自分がどういう能力を持っているか、何が好きなのか、常に発信し続けないと存在しないのと同じになってしまいます。
だからこそ、発信は大切だと思います。

3つ目は「出会いの数と幅を増やす」です。
まず、自分の人間関係の幅を確認してみてください。
例えばお茶する相手、相談相手、遊びに行く相手、全て同じだったら、かなり狭い世界に生きているので、レアな人になるのは難しいと思います。

狭い世界から抜け出すには、自分には一見関係ない・関心がない分野にも飛び込んでいくことが大切です。
自分にとって関係のない「雑なもの」を見つけにいく感覚を持って飛び込んでみると、自分の潜在的な好き・関心に結びつくことがあるかもしれません。
自分からワクワクしに行く仕掛けをつくるのが重要だと思います。

4つ目は「ワクワクの沸点を低く設定する」です。
人間は基本的に同じことをしたがる生き物です。
その方が脳に負荷がかからない仕組みになっているからです。
新しいことを始めるときに大きな目標を掲げる人がいますが、ワクワクの沸点を低く設定することが新しい学びをする上で大切です。

例えばキャンプを始める場合、「テントを設営する」を目標に立てるよりも、まず「どんなテントがあるのか店に行って見てみる」と実行ポイントを小さくして達成感を得やすくすれば学びも長続きします。
最初のうちは小さな目標を立ててコツコツとクリアしていくことが、モチベーションを維持する上で重要だと思います。

3やりたいことをやって後悔しない人生を

レアな人になるためには4つのポイントが重要ですが、人は本能的に変化を嫌う生き物なので、理由をつけてやりたがりません。
主に「知識がない」「お金がない」「時間がない」の3つの理由を掲げて行動に移さないんです。
知識がなくても始めればいいし、お金がなくても無料でいろいろ学べるし、チャレンジする時間は自分でつくるものです。

私は大学院のとき、留学したいという思いを持っていました。
でも、ひとり親家庭で育ったので経済的に難しいと思っていたんです。
でも諦める前に、奨学金制度を見つけ、思い切ってチャレンジしました。
その結果、合格でき、韓国に留学できました。
「知識やお金がないから」と諦めていたら、留学はできませんでした。
やらないのは結局、言いわけにすぎないと思います。

ある調査で、看護師さんが亡くなる間際の人に「人生で一番後悔したことは何ですか?」と聞いたところ、一番多い答えが「もっと自分らしく生きればよかった」だったそうです。
死ぬ前に後悔するくらいなら、いまから好きなこと、やりたいことをやればいいと思うんです。
その積み重ねが、結果的にレア力の向上に繋がると思います。

※掲載している情報は、記事執筆時点(2021年5月)のものです

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