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ルーティンだけでは見えてこない。
仕事もまちづくりも、話せば人が見える
【不動産会社のまちづくり推進担当・安田恵輔】

目次
  1. 仕事はルーティンだけではこなせなかった
  2. 話してみるとわかる、話さないとわからない
  3. 池袋って面白い街だねって思ってもらいたい

人はどのようにして大切にしたい価値観に気づき、人生の軸を見つけるのか。各界で活躍する方の人生ストーリーから紐解きます。今回は、池袋のサンシャインシティ(オフィス、ショッピングセンター、イベントホール、水族館、展望台、プラネタリウム他を含む複合施設)を運営している株式会社サンシャインシティの安田恵輔さんをご紹介。

入社以来、施設運営に関わる仕事をしてきた安田さん。時代の流れとともにまちづくりの重要性を感じ、地域で面白い活動をする人たちが集まるイベントに足を運ぶようになりました。池袋のまちづくりに取り組む安田さんの思いとは。お話を伺いました。

1仕事はルーティンだけではこなせなかった

大学卒業後、池袋のサンシャインシティを運営している不動産会社に入りました。
高校時代に天文部に所属していて星に興味があったのと、大学で水産学を学んだ経験を活かして海や生物に関わる仕事がしたいという考えから、水族館やプラネタリウムの運営事業に携われたらと思ったんです。

最初の配属先は経理部でした。
本音では水族館に関わる仕事がしたいと思っていたので、「あれ?」と思いましたね。
最初は仕事があまりうまくいきませんでした。
一生懸命取り組んでいるのですが、なぜか業務がうまく進まず、特にイレギュラー対応は難しかったです。
他部署の人からルーティン以外の要望が入ったとき、うまく対応できませんでした。
なんとかしようとするのですが空回り。
四苦八苦していましたね。

同僚や上司からよく「大丈夫か?」と心配されていました。
それまで業務は完全に仕組み化されていて、決まったことをこなすだけだと思っていたのですが、人と対話し、臨機応変に自分で考えて動かなきゃいけないんだと気づきましたね。
当たり前ですけど。

経理部で3年働いた後、ショッピングセンターの運営をする部署に異動になり、施設全体の販売促進、テナントとの窓口担当になりました。
テナントの売上を伸ばすために販促イベントを企画するポジションです。

販促企画などやったこともなく、アイディアが浮かばないので、最初は苦労しました。
異動後しばらくして、現場の人は何に困っていて、何に不満を感じていて、どんな思いで仕事をしているのか知るため、テナントの店長たちとコミュニケーションを取るようにしました。

わからないことはなんでも質問しましたね。
積極的に担当テナントのスタッフ全員と仲良くなろうと、一つひとつ話を聞いて回りました。
「●●してください」と一方的に指示するだけでなく、テナントスタッフと仲良くなって一緒に売上を伸ばす施策を考えたほうが、我々もテナントも気分良く仕事ができると思ったんです。

全館連動沖縄イベント中の一枚

全館連動沖縄イベント中の一枚

最初は話さなかった悩みや思いを打ち明けてくれる人も出てきました。
人間関係の悩みなど業務に直接関係ないものもありましたが、私は彼らの悩みに対し、できる限りのアドバイスをしました。
彼らのやる気を引き出すこと、それが結果的にテナントの売上につながると考えていたからです。
人をきちんと理解するには、丁寧なコミュニケーションが大切だと思いましたね。
僕は徹底的に仲良くなる戦略で売上アップを狙っていきました。

2話してみるとわかる、話さないとわからない

今、不動産業界ではまちづくり、エリアマネジメントへの関心が高まっています。
これまで主流だった大規模な投資、再開発を行いビルを建て、長期的に賃料収入を得るビジネスモデルが、将来、少子高齢化とともに成り立たなくなるのではという不安があるからです。
周辺の街の活気が失われる。
そんな状況を打破するため、ビル周辺にいる人たちを巻き込んだまちづくり、コミュニティづくりに注目が集まっています。

池袋という地域に対して、僕はほとんど興味がありませんでした。
でも世の中の流れを見て、将来的にはまちづくり・コミュニティづくりが重要になるときが来るだろうとも思っていました。
そんなとき、ふと池袋という街に興味を持ったんです。
どんな人が働いていて、どんな人が住んでいるのだろうと。
調べると、池袋エリアを含めた豊島区で面白い活動をしている人が集まる「としま会議」という地域のコミュニティトークイベントがあると知り、一人で行ってみることにしました。

イベントにはいろいろな世代の人が数十人集まっていて、大盛況でした。登壇者が次々に豊島区で行っている活動内容を紹介していきます。
中には僕と同世代の人もいて、まったく僕が聞いたこともないジャンルで楽しそうに話していて、豊島区にはこんなに面白い人がいるんだなと刺激になりましたね。

としま会議

としま会議

初めの数回はイベントに参加することに気後れもありました。
知らない人ばかりで、観察に徹していましたね。
でも、何回も足を運んでいるうちに慣れてきて、イベントの登壇者や参加者に自分から話しかけられるようになったんです。
なぜ豊島区で活動しているのか、直接話して彼らの魅力を直に知ることができました。

豊島区で面白い活動をしている彼らと、一緒に何かしたい、僕はサンシャインシティの人間であることを明かして、彼らと交流するようにしました。
新しい公園や劇場ができ、大きく変わっていく池袋で、個人としてもサンシャインシティの人間としても、一緒に盛り上げたいと思ったんです。

3池袋って面白い街だねって思ってもらいたい

としま会議に初めて足を運んでから4年近くたった2020年春、社内に新しく「まちづくり推進部」ができました。
会社として豊島区(特に池袋)のまちづくりに力を入れようという方針になったんです。
僕も配属されました。

池袋サンシャインシティは、オープンから40年以上が経ちました。
施設が古くなるなかで、新しいイベントやテナント誘致を積極的に行いつつ、情報発信して話題づくりを行ってきました。
しかし、時代は施設単体からエリア間での競争に移っていて、例えば新宿や渋谷も再開発を機にまちづくりが進んでいます。
他のエリアに負けない魅力的なまちづくりをするのは私たちに課せられた使命だと思っています。

豊島区のマンガの聖地「トキワ荘マンガミュージアム」

豊島区のマンガの聖地「トキワ荘マンガミュージアム」

まちづくりで大事なのは、さまざまな立場で街に関わっている人が同じ目線で対話をすることだと思っています。
これまでの不動産業はビルのオーナーとテナントという関係性でしたが、これからはまちづくりをするプレイヤーと同じ目線で池袋の未来を語り合うことが大切だと思っています。
たくさん話をして互いを知って関係性をつくりあげ、彼らと街を良くしていくことで、「池袋って最近面白いらしいね」と多くの人が思えるようになってくれればいいですね。
そうすればサンシャインシティに来てくれる人も増えていくでしょうし、我々のビジネスにもプラスになると思います。

就職したての20代の頃は、社会はもっとシステマチックでルーティン化されていると思っていました。
でも、年齢を重ねていくうちに、社会はもっと人間くさく、人と人との関わりがとても大切なんだと学びましたね。

これからも池袋、豊島区の面白い人とたくさん話し、一緒にもっともっと街を盛り上げていきます。

※掲載している情報は、記事執筆時点(2020年10月)のものです

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