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個人の実力を評価する環境を探して。
複業で見つけた自分の価値を表現する場所
【外資系企業のマネージャー/PRを軸にした人材育成・キャリア支援の企業経営者・山崎春奈】

目次
  1. 個人の実力で評価して欲しい
  2. 普段の仕事の姿勢が私の強みだった
  3. 数値化できない価値を表現するのが複業

人はどのようにして大切にしたい価値観に気づき、人生の軸を見つけるのか。各界で活躍する方の人生ストーリーから紐解きます。今回は、外資系企業で働きながら、複業で株式会社itty selectionの執行役員としてPRプランナー・PRライターの活動をした後、株式会社Cannpassを設立した山崎春奈さんをご紹介。

個人の実力が評価される環境で働きたいと、2回の転職を経験した山崎さん。会社の仕事が終わった後参加した「PRライター入門セミナー」をきっかけに複業でPRライターを始めました。複業を通して山崎さんが見つけた居場所とは。お話を伺いました。

1個人の実力で評価して欲しい

中学生のときから海外への憧れがあり、外国語大学に進学しました。
就職活動の時期になり志したのは、万人に必要とされ、発展途上国に関わる仕事。
両方をかなえるのは、なんとなくインフラづくりなのではと、海外にも展開する大手エネルギー企業に就職しました。

最初は岡山にある物流の部署に配属されました。
チームの中で誰よりも多くの業務をこなし、同僚や上司にも「よくやっているね」と評価していただいていました。
しかし、2年目の勤務評価のとき、上司からの評価は思ったより低かったんです。
「本当はもっと評価してあげたいんだけど、2年目だからこのくらいの評価しかできない。申しわけない」と言われました。
年齢や社歴に関係なく、個人の成果や貢献度を見てもらいたいと思いましたね。

もっと個人としての実力が評価される環境で働いてみたい。
私は2年半で退職し、東京の大手人材会社へ転職しました。
職種にはこだわらず、個人の成果が尊重される環境を選びました。

転職してカルチャーショックを受けました。
同僚や先輩は、年齢や経歴関係なく、みんなそれぞれの目標に向かって全力疾走していたんです。
私も必死になって仕事についていきました。
悩んでいる暇もないぐらいでしたね。

初めて人材開発の仕事に関わるうちに、人の人生に関わる仕事って面白いなと感じました。
徐々に成果も出て、会社から評価されるようになりました。
ちゃんと数字を残して会社に貢献すれば認めてもらえる。
わかりやすくていいなと思いましたね。

ただ、アポを取って営業先に行っても、「●●の山崎さん」と見られるのに違和感がありました。
「会社の看板がなかったら会ってもらえないかもしれない。私個人としての価値ってなんだろう」と思いましたね。
同僚たちはみんな独立志向が高く、定年まで勤めるという考えの人は少ないので、私も次のキャリアをぼんやりと考え始めました。

ある日、取引先の外資系部品メーカーの方から「もしよかったら、うちの会社で働いてみませんか?」とお誘いを受けました。
私の海外や仕事への想いを知って、声をかけてくれたんです。
英語を使った仕事の経験があまりなかったので、普通に転職活動をしたら外資系企業への就職は難しい。
このチャンスを逃すと外資系企業では働けない。
私は1年働いた人材会社を辞め、転職しました。

2普段の仕事の姿勢が私の強みだった

転職して2年ほど経つと仕事にも慣れて余裕が出てきましたが、個人としての力を身につけたい思いは消えませんでした。
ヒントを得ようと、仕事の後、ビジネススキルを身につける勉強会や異業種交流会に足を運びました。
たくさんの人の話を聞いて、いろいろな働き方を知り、勉強にはなりましたが、今すぐ自分の実力を伸ばすためにできることは見つかりませんでした。

28歳のとき、PR会社itty selectionが運営するPRライター入門セミナーに参加しました。
ライターにはそれまで興味がなかったのですが、初心者からでも始められて、個人のスキルを身につけられるのに魅力を感じ、気軽な気持ちで参加しました。

その後、同社でPRライターとしての複業を始めました。
記事を書き、フィードバックをいただく中で、itty selectionの代表が「春奈ちゃんはPRライターに向いていると思うよ」と言ってくれました。
理由を聞くと、原稿の納期をきちんと守る、メールの返信も早く文面も丁寧に書くといった、当たり前のことを一つひとつ誠実に対応している姿勢が、PRライターとして大切だから、ということでした。

私は今まで会社に属し仕事をしてきて、「仕事への姿勢」のような数値化できない、人としての価値を評価いただく機会はあまり多くありませんでした。
だから、それが強みになると思いもしなかったんです。

これが私の強みなのかもと感じ、PRライターをもっと本格的に勉強してみようと思いました。

PRという仕事を知れば知るほど、私が大事にしている価値観に似ているなと思いました。
PRは「アピールする」というイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、PRとは、関わる全ての人や社会との信頼関係を築いてビジネスを成長させる仕事です。
私も丁寧さや誠実さを大切にして人間関係を築いています。
PRライターに向いていると言われた意味が理解できましたね。

PRライターの経験を積んでいくと、外資系部品メーカーでの仕事にも良い影響が出てきました。
PRライターは、どうすれば届けたい人に届く文章になるのか、クライアントさんや読者の方に喜んでいただけるのかを考えて執筆します。
この姿勢を他の仕事にも活かせるようになったんです。
決まった仕事をするだけでなく、仕事で関わる方々がどうすれば喜んでくれるのか考えて仕事をするようになりました。

職場への不満もなくなりましたね。
この会社で働く以外にも選択肢はあるし、違う仕事を選びたくなれば、選べばいいと思えるようになったんです。
気持ちが楽になったからか、率直に上司に対して意見や提案を言えるようになりました。

その姿勢が評価されたのか、31歳のときに「チームのマネジメントをしてみないか」と昇進を持ちかけられました。
私は出世したかったわけではないので、引き受けるか悩みました。
itty selectionの代表に相談すると「会社員を経験したことがない人から見たら、マネジメントの経験ができるのはすごいことだよ。将来必ずその経験が活きるときが来ると思うよ」と言ってくれました。
確かにそうだなと、私は昇進の辞令を受けました。

3数値化できない価値を表現するのが複業

今の会社は勤めて7年になります。
PRライターとしては4年活動していて、2019年にitty selectionの執行役員に就任、2020年にはPRを軸とした事業を展開する株式会社Cannpassを設立しました。

今後は会社員として一つのキャリアを続けている方に、私のような働き方を伝える活動もしていきたいです。
例えば、大きな企業で働く女性は、傍から見れば順調に見えても、将来のキャリアに悩んでいる人は多いと思うんです。
その人たちに複業という選択肢を知ってもらい、キャリアの幅を広げてほしいと思っています。
会社員がダメだから複業をするのではなく、会社員として結果を出した上で、複業でも結果を出して価値を残す。
そんな女性のロールモデルになりたいです。

どんな環境でも、目の前の仕事を一回全力でやってみることを大事にしています。
私はキャリアに迷っても、目の前の仕事には全力で取り組んできました。
全力でやれば、見てくれる人が現れると思うんです。
せっかく自分の時間を使うなら、中途半端にやるのはもったいないですし、全力でやると自分の価値も見つけやすいです。

もちろん試してみて、合わなかったら、やめるという選択をしてもいいと思います。

私が4年も複業を続けてきたのは、お金ではなく、自分個人としての価値を磨き、社会に貢献できる力を身につけるためでした。
そのために、目の前の仕事に当事者意識をもって取り組んできました。
お金じゃない価値観で始めた複業ですが、結果的にお金につながっています。

私にとって複業とは「数値化できない自分の価値を表現する場所で、人生の選択肢を広げてくれるもの」です。
私が複業で自分の価値に気づけたように、もっと多くの人に複業の価値やすばらしさを広めていきたいです。

※掲載している情報は、記事執筆時点(2020年10月)のものです

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ご協力ありがとうございました
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