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「イケてる」を求め繰り返した転職。
転職14回で気づいた仕事の原動力とは
【複数の会社でコミュニティマネージャー・南雲よしえ】

目次
  1. とにかく「イケてる」環境で仕事をしたい
  2. 理想の会社で見つけた仕事の面白さ
  3. 「他人からの感謝や期待」が原動力

人はどのようにして大切にしたい価値観に気づき、人生の軸を見つけるのか。各界で活躍する方の人生ストーリーから紐解きます。今回は、コミュニティマネージャーを主な活動とするフリーランスの南雲よしえさんをご紹介。

保育の短大を中退後、IT業界でキャリアをスタートし、転職を14回経験した南雲さん。仕事の面白さはわかったけれど、まだやりたいことは見つかっていないと話します。そんな南雲さんの仕事の原動力とは。お話を伺いました。

1とにかく「イケてる」環境で仕事をしたい

高校2年生になると始まる進路調査の時間にまったく興味が持てませんでした。
毎日部活に明け暮れていて、将来就きたい仕事を考えることもなかったんです。
高校卒業後は保育の短大に進学しました。
「子どもが好きだから苦にならず、なんとなく保育士に向いていそう」と思ったんです。

大学2年生のとき、体調不良が重なり、年に一度しかない保育実習を履修できず、1年間の留年が決まりました。
このとき、将来を初めて考えました。
保育士になるべきか、他の仕事をするべきか、考え抜いた末、留年してまでなりたい職業ではないと思い、短大を中退しました。

半年ほどアルバイトをした後、職探しを始めました。
条件は、私が社名を知っていて、パソコンを使った仕事ができる会社かどうか。
テレビドラマやコマーシャルを見ていて、イケてるカッコいい仕事をしている女性といえば、パソコンを使いこなし、大きなガラス張りのビルで働いているイメージだったからです。
この条件に当てはまる未経験OKの大手IT企業が見つかり、21歳で社会人デビューしました。

パソコンを触る習慣もなく入社したので、キーボードのタイピングでつまずきました。
私の唯一の強みは周囲のアドバイスを素直に吸収できることだと思っていたので、教えてもらったことを早く習得しようと頑張りました。
その甲斐あってかどんどん仕事ができるようになり、入社から3年ほどたった頃には、40人ほどのチームのリーダーになりました。
自信もつきましたね。

この頃、同世代の友人たちが社会人として働き始めました。
彼らの働く企業の中には時代の最先端をいくイケてるIT企業の名前がたくさんありました。
ネットで彼らが勤める企業を調べては、私がそこで働いているのを想像し、ワクワクしていましたね。

同じ時期、ちょうど私が関わっていたプロジェクトが完了し、仕事が一段落ついたタイミングでした。
たくさんのIT企業を調べていくうちに、もっとイケてるIT企業で働いてみたいと思い始めました。
ビルの外観やエントランスだけでなく、働いている人も身なりが整っていてカッコいいところです。
想像だけでなく、実際に働いてみたい。
私は3年半勤めた会社を辞め、別のIT企業に転職しました。
職種は気にせず、ネームバリューと勤務地で選びました。

その後も、転職を繰り返しました。
何度転職しても、私の理想にかなう会社はなかなか見つかりません。
オフィスがオシャレじゃない、働いている人たちがイケてない、仕事が単純作業ばかりでつまらない。
2年ほどの間に勤めた会社は14社になっていました。

ネームバリューのある大手IT企業に就職するために、飲食のアルバイトで生計を立てながら転職活動に励むこともありました。
オシャレなオフィスで働き、外見も内面も素敵な同僚に囲まれ、周りの人に「すごいね」と言ってもらう。
そのために頑張っていましたね。

2理想の会社で見つけた仕事の面白さ

15社目は、東京・丸の内に大きなビルを構える大手IT企業でした。
建物は大きく素敵で、受付も有り、働いている人もオシャレでカッコいい、可愛い人が多く、まさに理想でした。
「やっと見つけた。私を雇ってくれてありがとう」と思いましたね(笑)。

ここではプロダクトの企画サポートやオペレーションの設計、データ作成・分析、社内外の調整などいろいろな業務に携わりました。
一番驚いたのは、一緒に働くメンバーの仕事に対する意識の高さでした。
スピード感を持って主体的に業務をする姿、仕事量、全てが想像以上だったんです。

1社目でそれなりに力をつけていたつもりでしたが、ここでは全然能力が足りなくて、ついていくのに必死でした。
脳をこれまでの3倍は軽く使っている感覚でしたね。
正直しんどいときもありました。
だけど、自分で考えて仕事をする面白さを体感しましたね。
学歴も経歴も関係なく、成果を出せば会社も周りも私を認めてくれる環境でした。

転職を繰り返していたときは、どんな素敵な建物・オフィスで働いていても、仕事内容が単純作業だと「私じゃなくてもいいのでは」と感じ、それが転職理由の一つになっていました。
この会社は自分を必要としてくれたのですごく心地よかったです。

ネームバリューに惹かれて入った会社でしたが、この会社で必要とされることが、さらなる自信につながりましたね。
オフィス環境にも満足して、仕事も充実していたのですが、勤めて4年半がたった頃、人間関係のトラブルで退職してしまいました。

次の就職先は決めずに退職したのですが、たまたま知り合ったベンチャー企業の社長と仕事の話をする機会があり、「うちで期間限定でもいいから働かないか」と誘われました。
話を聞くと、IT系の副業マッチング事業で、副業をしている人をサポートする事業を展開しているといいます。

よくわからない仕事だなと思いつつ、せっかく誘ってもらったのだから、次の仕事が決まるまで手伝うことにしました。
これ以上転職回数を増やしたくなかったのもあり、初めて業務委託として仕事を始め、フリーランスになりました。

軽い気持ちで始めたのですが、仕事は想像以上に忙しかったですね。
副業社員のサポートから、副業社員のコミュ二ティ、エンジニアコミュニティの立ち上げ、イベント企画運営なども担当しました。
気づけばいろいろな仕事に熱中していましたね。
時間を忘れて仕事をする感覚が面白かったし、何より会社が私を必要として頼ってくれているのを感じ、それに応えたくて必死に働いていましたね。

職場には若い社員も多く、一生懸命サポートしました。
その甲斐あってか、組織も社員も次第に成長していきました。
その成長を見たとき、私にできることは全てやりきったなと思いました。
そろそろ次のステップにいっても良いかなと、2年半で契約を終了しました。
代表に「またいつでも戻ってきていいからね」と言ってもらったときは、2年半が報われたなと思いましたね。

3「他人からの感謝や期待」が原動力

現在は知人の会社2社で業務委託として仕事をしています。
また、マーケティング事業をメインに展開している大阪の企業でも働いています。
前職でSNSを活用し、発信を行っていたのが、代表の目にとまり「一緒に働かないか」と誘っていただけたんです。
普段は東京からリモートで働き、定期的に大阪に足を運んでいます。

最近は代表と一緒に、クリエイターなどを対象にした新しいコミュニティ作りの準備を始めています。
一般的にクリエイター職は仕事の単価を上げにくいといわれています。
でもそこに何か別のスキルを掛け算すれば、価値は上がる。
コミュニティで、クリエイターが新しいスキルを学べて、さらに仕事を得られるような場にできれば面白いなと思っています。

振り返ってみると、私は誰かからの期待に応えていきたいんだと思いますね。
転職を繰り返していたときは建物の外観が良くて、ネームバリューのある職場がイケてる環境だと思っていました。
その結果、転職してみたものの、なじめない職場もあったので、ずいぶんと周りに迷惑をかけたと思います。
でも、そんな経験があったからこそ、周りの人たちからの感謝や期待が私の働く原動力なのだと気づけました。

14回の転職を経ても、正直まだやりたい仕事は見つかっていません。
やりたいことが見つけられなくて焦ったこともあります。
でも今は周りの人たちの感謝や期待に応え続ければ仕事も充実するし、一つひとつ仕事を積み重ねていけば、将来やりたい仕事が見つかるかもしれないと、あまり深く考えすぎないようにしています。
これからも、誰かからの期待を原動力に生きてみようと思います。

※掲載している情報は、記事執筆時点(2020年10月)のものです

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