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レールをなぞる人生からつくる人生に。
世界に届けたいベンチャー企業の魅力とは
【ベンチャー企業を支援する会社の代表・納富隼平】

目次
  1. 会計士からベンチャー企業支援の道へ
  2. ベンチャー企業を知ってもらえれば日本が幸せになる
  3. 世界中の人にベンチャー企業を知ってほしい

人はどのようにして大切にしたい価値観に気づき、人生の軸を見つけるのか。各界で活躍する方の人生ストーリーから紐解きます。今回は、ベンチャー企業支援の会社を経営する納富隼平さんをご紹介。

大学卒業後、会計士として働いていた納富さん。Twitterで知ったベンチャー企業の経営者たちに魅了され、ベンチャー企業支援の会社に転職。数年後には「全ての人にベンチャー企業を知ってほしい」と、ベンチャー企業の支援を行う会社を自らも起業しました。納富さんが考えるベンチャー企業の魅力とは。お話を伺いました。

1会計士からベンチャー企業支援の道へ

中学生の頃から政治経済が得意科目で、大学では経営学を専攻しました。
政治と経済を分けて考えたとき、経営に興味を持ったからです。
経営の本を読んでいくうち、世の中に影響を与えているのは大企業のトップの人たちだと知り、経営者になりたいと思いました。

卒業後の生活を考えたとき、経営に興味があるのにお金の知識がないのは、ちょっと怖いと思いました。
なんとなく大企業に就職しようと思っていましたが、経営者になるために必要なお金の知識をきちんと勉強しようと、大学院に進んで会計の勉強をすることにしました。
一日10時間以上の猛勉強を重ね、大学院2年生のとき、会計士試験に合格。
大学院卒業後は、大手監査法人に就職しました。

監査法人では、大手電機メーカーを中心に会計監査に携わりました。
会社のシステムやビジネスを俯瞰して見ることができて、仕事は楽しかったですね。

監査法人に勤めていたときの納富さん

監査法人に勤めていたときの納富さん

この頃、テレビや新聞以外で情報を得る手段としてTwitterが広がり、僕もTwitterを使い始めました。
使い始めてしばらくたった頃、タイムラインに、聞いたことのないベンチャー企業や起業家の情報が偶然流れてきました。
それまで「ベンチャー」という言葉は新聞で目にする程度。
彼らの人柄や事業内容を知り、世の中には面白いことをしている人がいるんだなと思いましたね。
これをきっかけに、ベンチャー企業の事業や創業者について片っ端から調べるようになりました。

実際に会って話を聞いてみたいと、ベンチャー企業の社長が登壇するイベントにも参加しました。
登壇者は面白い人たちばかりで、みな魅力的に映りました。
情熱を持って事業を語る姿、命を懸けて世の中の課題解決に取り組む姿勢、社会をより良くしたいという想いにあふれています。

僕にとって彼らは別次元の人に見えました。
それまでの自分は、誰かがつくってくれた環境の中で勉強や仕事を頑張り、評価を受けてきました。
いわば敷かれたレールの上を走る生き方です。
でも、彼らはまったく新しい事業を立ち上げ、自分が走るレールをつくっている。
そんな彼らの姿に惹かれ、彼らと働くのもいいなと思いましたね。

会計士として働き始めて3年がたった頃、会計士業界内でベンチャー企業の勉強会が多く行われていました。
ベンチャー企業の支援事業をする会社の人が講師となり、ベンチャー企業への支援のやり方を語ってくれるんです。

いずれはベンチャー企業で働きたいと思っていましたが、講演を聞いているうちに一つのベンチャー企業で働くより、多くのベンチャー企業と関わりを持つ仕事がしたいと思いました。
僕は特定のベンチャー企業に関心があったわけでなく、ベンチャー企業が生み出す新しくて面白い事業に関心があるとわかったんです。

ちょうど監査法人で働き始めて3年と、キリがいいなと思ったので、転職活動を始めました。
その中で、会計事務所のグループ企業で、ベンチャー企業支援をしている会社を見つけました。
会計事務所のグループ企業なら、僕の会計士としてのスキルも少しは役立つし、働くイメージも湧きやすかったので、転職を決めました。

2ベンチャー企業を知ってもらえれば日本が幸せになる

最初の仕事は、ベンチャー企業の発掘でした。
しかし、発掘方法がわからず戸惑いましたね。
メディアに取り上げられているベンチャー企業は成長段階に入っていることが多く、成長前の優良なベンチャー企業を探している私たちのニーズと合いません。
難しく、よく悩んでいましたが、金の卵を見つける感覚が楽しかったので、あまりつらさは感じなかったですね。

しばらくして、ベンチャー企業支援のイベント責任者になりました。

ベンチャー企業に僕たちは何ができるのだろうと考えたとき、彼らの困りごとの一つがPRや広報だと気づきました。
それなら起業したばかりのベンチャー企業をメディアや社会課題を抱えている企業の人たちとつなぐ企画をしようと思ったんです。

ベンチャー企業の多くは世の中の課題解決に取り組んでいます。
課題があるということは、そこに困っている人たちがいるということ。
一方で、ベンチャー企業は世の中にまだまだ知られていない存在。
サービスが、困っている人まで届かないのは珍しくありません。

せっかく良いことをしているのに、世の中に知られていない。
困っている人のもとに、課題を解決するサービスが届かない。
それは社会にとって、大きな機会損失だと思いました。
イベントを通じてベンチャー企業を知ってもらえれば、日本が幸せになるはずだ。
そんな思いで、毎週イベントを開催していましたね。

開催したイベントでの一枚

開催したイベントでの一枚

2年で、責任者として、200を超えるベンチャー企業支援イベントをプロデュースしました。

しかし、イベントを開催するうちに、会社でできることに限界を感じるようになりました。
ベンチャー支援の会社である一方、監査法人の子会社でもあるので、企画に許可が下りないケースもあったんです。

僕は今やりたい仕事に対して、会社にいたほうがいいのか、辞めたほうがいいのか、どちらがベストか考えました。
今の気持ちなら社内にいるメリットが少ないし、外に出た方ができることがもっと広がる。
でも、この会社と同じやり方でベンチャー企業を支援している同業他社はないので、転職の道はない。
そうなると、独立するのが一番いいかなと思ったんです。
とりあえず、やりたいことに向かって進んでみようと、3年勤めた会社を辞め、2017年に合同会社pilot boatを立ち上げました。

3世界中の人にベンチャー企業を知ってほしい

会社設立から3年がたちました。
現在は、ベンチャー企業を紹介するwebメディア「パイロットボート」の運営をはじめ、ベンチャー企業の経営者が登壇するピッチイベントも開いています。

toCスタートアップのピッチイベント「sprout」を開催しているという

toCスタートアップのピッチイベント「sprout」を開催しているという

最近では、大企業の新規事業開発部署の人たちがベンチャー企業と組んで何かをやりたいというニーズも増えていて、両社の橋渡しの役目も担っています。
新しいことをして、世の中に価値を提供しようと奮闘している人たちと仕事ができるのは楽しいですね。

これまでは取引先の困りごとを解決する仕事が多かったですが、これからは自分たちが主導する新サービスを生み出したいと考えていて、今はそのための準備をしています。
さまざまなベンチャー企業を、もっと世の中の人に知ってもらう機会を提供していきたいですね。

僕は世界中の全ての人がベンチャー企業を知るべきだと思っています。
これからも事業を通じて、ベンチャー企業の魅力を伝え続けていきたいです。

※掲載している情報は、記事執筆時点(2020年9月)のものです

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