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現地にいなくても地域を盛り上げられる。
東京から長野を盛り上げたい
【IT企業プロジェクトマネージャー/地域創生プログラム運営・藤井篤大】

目次
  1. ワクワクしたくて駒ヶ根市の農業講座に参加
  2. 僕のスキルが地域おこしに役立つかもしれない
  3. 面白い人と行動を

人はどのようにして大切にしたい価値観に気づき、人生の軸を見つけるのか。各界で活躍する方の人生ストーリーから紐解きます。今回は、IT企業でシステム開発のプロジェクトマネージャーとして働く藤井篤大さんをご紹介。

一時は仕事へのモチベーションが下がり、長野県駒ヶ根市にて地域おこし協力隊として働きますが、その後元の仕事に復職し、東京に戻ります。なぜ農業に興味を持ったのか。現在は駒ヶ根市へどんな想いを持っているのか。お話を伺いました。

1ワクワクしたくて駒ヶ根市の農業講座に参加

大学卒業後、IT企業へ就職。
大手銀行のシステム開発を担当しました。
銀行は業務を紙からデジタルに移行すべく、新たなシステムを頻繁に作っていました。
IT自体が黎明期だったので、成功事例がほとんどない状態でしたが、新しいシステムを作るためにトライアンドエラーを繰り返し、インターネットバンキングのような世の中にインパクトを与えるシステムを作りあげることに喜びとやりがいを感じていました。
10年ほどたって、システム開発のプロジェクトマネージャーになりました。

しかし、社内で成功事例が増えるにつれ、仕事に対するモチベーションが下がっていきました。
若いときは世の中にない、新しいシステムを作るのが楽しかったのですが、成功事例が生まれると、以前のようなトライアンドエラーができず、失敗しないように、過去の事例を踏襲するシステム開発が中心になりました。

新しいものが生まれるワクワク感がなくなり、システム開発のプロジェクトに必要性を感じなくなっていきました。
「このプロジェクト、やる意味あるの?」とすら思いましたね。
「そろそろ自分で新しいことを始めないといけないな」と思っていました。

週末に出勤したとき、気分転換に職場近くのマルシェに行くのが習慣でした。
店に並べられた野菜を眺めていると、農家さんは野菜を無農薬で育てる方法から、販売戦略まで一生懸命説明をしてくれるんです。
こだわる農家さんはすごいなと、農業に興味を持ちました。

どこか地方で農業体験ができるところはないかと、仕事の隙間をぬってネットで検索しました。
しかし、これといった場所が見つからなかったので、実際に自治体の人に話を聞いてみようと、東京・有楽町のNPO法人ふるさと回帰支援センターに行ってみました。
窓口の担当者に「温泉が好きなので、温泉がある地域がいい。中でも長野県に興味がある」と伝えると、2週間後に長野県駒ヶ根市の職員が来て農業体験の説明会があると教えてくれました。

説明会では市の職員が春から毎月、初心者向けの農業講座を開くのだと話してくれました。
「毎月やるとは、ずいぶんと力を入れているな」と感心していたところ、市議会議員の女性が駒ヶ根市の魅力を話し始めました。
女性は埼玉県から駒ヶ根市に移住して感じた、景色の良さや人の面白さについてとても熱く話したんです。
こんなに熱っぽく、自分の住む市について話すなんて面白い人だと思いました。

それまで駒ヶ根市には興味はなかったのですが、こんな人たちがいるなら農業講座も面白そうだと思い、2017年4月から駒ヶ根市の農業講座に参加しました。

2僕のスキルが地域おこしに役立つかもしれない

月に1回、週末を利用して東京から4時間ほどかけて駒ヶ根市に行き、講座に参加しました。
野菜作りは初めての体験が多くて、新鮮で楽しかったですね。
農業をしているうちに、東京を離れて移住するのもいいかもしれないと思い始めました。
農業を仕事に、とも考えましたが、もっと僕なりに現地に貢献できる方法はないかと思うようになりました。

ある日、市の職員が「地域おこし協力隊」の職員を募集していると教えてくれました。
地域おこし協力隊は、人口減少や高齢化が進む地方に、都市部の人が移住して地域の発展に貢献する制度です。
例えば、地域の良さを再発掘して紹介し、市民に改めて市の魅力を感じてもらうのも活動の一つです。

話を聞いたとき、システム開発のプロジェクトマネージャーとして培った「取りまとめる」スキルが地域おこしに役立つかもしれないと思いました。
あと少しで仕事のプロジェクトが終わるので、これはいいタイミングだと、話を聞いてすぐに申し込みました。
妻を説得し、2017年9月、会社を休職して駒ヶ根市の地域おこし協力隊に着任しました。

任された仕事は、市街地を元気にするプロジェクトのマネジメントでした。
他の地域ではどうやってまちを元気にしているのかを知るため、全国各地の自治体にお邪魔し、まちづくりをしている人たちに話を聞きました。
創意工夫をこらして面白い取り組みをしている人が多く、都会の人とは違う魅力を感じましたね。

情報を集めた後は「おばあちゃんの元気が出る祭り」プロジェクトを立ち上げました。
商店街によく来てくれる、おばあちゃんたちに楽しんでもらおうと考えたんです。
商店街をはじめとした市の衣料品店や和菓子店、マッサージ店などを活気がなかった駅前ビルの2階に集め、出店者との会話を楽しみながら買い物ができるイベントを開催。
狙い通りおばあちゃんたちに喜んでもらえて、うれしかったですね。

協力隊として着任して2年がたち、任期終了が近づきました。
駒ヶ根市に残って仕事をしようとも思ったのですが、地域おこし協力隊を卒業した人の進路の多くが「カフェを開く」「役場かNPOで働く」でした。
それも悪くないのですが、もっと自分にしかできないことがあるのではと思ったんです。
加えて、蓄えが少なくなってきて、生活に不安がありました。
復職して東京で働きながら駒ヶ根市と関わっていこう。

苦渋の決断でしたが、2019年11月、市の地域おこし協力隊を卒業し、元の会社に復職しました。

3面白い人と行動を

復職後は社内で「地域創生プログラム」を立ち上げ、駒ヶ根市の活性化を外から支えています。
駒ヶ根市が開く、学生のものづくり応援イベントに私たちの会社が特別協賛したり、自社の社員による基調講演を行ったりしています。
また市の職員向けに、私たちの仕事の考え方をワークショップ形式で伝える取り組みも行っています。

東京に戻ってきてからは、仕事やプロジェクトに対して「なんのためにやるのか」を意識するようになりました。
組織でずっと働いていると見失いがちな感覚ですが、自分たちで考え、まちのためにプロジェクトを動かしてきた地域おこし協力隊での経験から、とくに意識できるようになりました。
仕事に対する発想が180度変わりましたね。

駒ヶ根市に関わってから長野県が好きになりました。
これからは自分だけではなく、都会にいながら長野県に関わりたい人のサポートを行い、駒ヶ根市や長野県を元気にしていきたいです。

都市部に住んでいながら地方に関心がある人、地方に関わりたいけど迷っている人もいると思います。
挑戦するのは勇気がいります。
でも悩んで何もしないという選択はもったいないと思います。
結局、都会にいても地方にいても、仕事や人間関係の悩みは降ってくるので、一緒にいて楽しい人、面白い人と行動すればいいと思います。

でも、稼ぐことは大事ですね。
最終的には地域活性化の仕事で稼ぐことを目標にし、面白い人たちと仕事をしたいと思っています。
そして東京と長野の架け橋となりたいです。

※掲載している情報は、記事執筆時点(2020年7月)のものです

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ご協力ありがとうございました
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