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引退してもあなたの価値はなくならない
元マラソン日本代表が挑むセカンドキャリア作り

元マラソン日本代表 加納 由理

3現役引退後のセカンドキャリアの道しるべを

競技のプレッシャーからは解放されましたが、その先のことは考えていませんでした。
やりたいことがなかったんです。
いろいろな人に会って話をしても走ること以外に好きなことが見つからず、35歳になって初めて自分を見つめ直しました。

見つめ直した結果、セカンドキャリアとして選んだのは「走ることを活かした仕事」でした。
走ること以外に好きなことがないのを最大の強みにして、多くの人に走る喜びや目標を達成する喜びを伝えていきたいと思ったんです。
現在はマラソンのゲストランナー、市民ランナーへの指導・コーチ、講演・執筆などさまざまな仕事をしています。

アスリートには、現役時代に最も自分の価値があって、引退したら価値がなくなってしまうと思っている人も多いですが、決してそんなことはありません。
その価値を社会のニーズに照らし合わせれば、自分にしか歩めないセカンドキャリアを作っていけるんです。

そのためには現役のときから外の刺激を与え続けることが大事です。
スポーツとは違う業界の人の話を聞いてみるのも大切だと思います。
競技を引退する選手が、私みたいな悩みを持たないよう人生を考える習慣を当たり前にする場所も作っていきたいです。
そのためには、社会に向き合って、いろいろなことに挑戦して成功することが大事だと思います。

例えば私は執筆の仕事をするにあたり、文章を書く技術も中学生からやり直すつもりで勉強しました。
段階的に自分の成長を認めていくことで少しずつ自信をつけていきました。
私がいろいろなことに挑戦して成功すれば、引退アスリートのセカンドキャリアへの道しるべになると思うんです。

最近はSNSなどで積極的に発信しているスポーツ選手もいて、良い流れだと思います。
最近は後輩の選手から発信の方法を相談されることも増えました。
現役のときから自らの活動を発信して記録に残していけば、将来見返してそのときのことを話せるんです。
それが引退してからの仕事に繋がるかもしれません。
現役を引退してから、高校生のときに封印した笑顔を解禁しましたが、笑顔の作り方も大切だと思いますよ(笑)。

競技をしていたときは順位と記録があったので、これが結果として成績に残ります。
でも、仕事には明確な順位と記録の基準がありません。
仕事をする人によって、その価値観は違うので、一つひとつの仕事に真摯に取り組み、仕事を引き受けた以上の価値を仕事で返すようにしています。

私の目標は、現役の選手が競技を通して社会で活躍できるような、人間を形成していく仕組みを作ることです。
オリンピックでメダルを取った選手は知名度を活かして解説の仕事もできるので、セカンドキャリアも作りやすいです。
しかし、それ以外の選手は就職活動をしなければならず、やりたくない仕事を選んでしまう人も多いんです。
現役のうちに働く上でのスキルやマインドを身につけておけば、引退して社会に出ても慌てることは少なくなります。

メダリストになれなかった選手はこれからもどんどん出てきます。
メダリストを目指すのもスポーツ選手として大事なことです。
でも、メダリストになれなかったとき、加納由理という人物のセカンドキャリアを見て、引退後も楽しい人生を歩めそうだなと思ってもらえたらうれしいですね。

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