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役者からウェブの世界に転身
結構、人生はなんとかなる
【ポータルサイター・山田コンペー】

目次
  1. 東京に行ってビッグになって一旗上げるんだ!
  2. ネットに感じた、未来の表現の可能性
  3. 変化を恐れず、小さな行動から最初の一歩を

人はどのようにして大切にしたい価値観に気づき、人生の軸を見つけるのか。各界で活躍する方の人生ストーリーから紐解きます。今回は、株式会社WAMICOの代表を務める山田コンペーさんをご紹介。

学生時代から役者を始め、ビッグになりたくて北海道から上京した山田さん。役者の道からウェブの世界に飛び込み、ヒットコンテンツを生み出しました。そんな山田さんのターニングポイントとは。お話を伺いました。

1東京に行ってビッグになって一旗上げるんだ!

高校生のとき、クラスメートが「山田は変な奴だ!」とクラスのみんなに言い回り、みんなが私のことを無視しつづけていました。
言いふらした奴は僕のことが気にくわなかったんだと思います。
でも、何もしていないのになんで無視されなきゃいけないんだろうと感じ、いつかビッグになってクラスの連中を見返そうと思っていました。

子どもの頃から目立ちたがり屋で表現することが好きだったこともあり、学生時代にはバンドを組んでドラムを演奏していました。
ただ、バンドよりも役者の方が目立てるなと思ったので、学生時代の終わりには役者に転向して劇団に所属し、公演も行っていました。

地元のラジオ局でレポーターもしていて、表現の場が広がっていきました。
ラジオ局の人からは「このまま頑張れば番組のパーソナリティにもなれるよ」と言われていました。
ただ、北海道にいるより、東京に行って一旗あげたいと思っていたので、心はすでに東京へ向いていました。

ある日、有名俳優が主宰する劇団が札幌で公演を行いました。
その劇団が地元の人を対象に体験型講座を行うというので、足を運んだんです。
講座では衝撃を受けました。
芝居に対する取り組み方、演じる一つ一つの仕草、考えていることの次元が違ったんです。
東京ってこんなにレベルが高いんだと思いましたね。

このまま札幌にいたらいけない。
もっと芝居がうまくなるためには東京に行って、この人たちの芝居に触れて吸収するしかない。
25歳のとき、この劇団の研究生になるため、札幌から上京することを決意しました。

東京では築50年、家賃3万円ほどのアパートに暮らしました。
昼は劇団の稽古、夜から朝までビデオショップでアルバイトをする日々でしたね。
稽古だけでなく、仲間と自主映画の制作もしていました。

劇団では1年に1回、研究生から正劇団員に昇格できるチャンスがあります。
劇団のスタッフたちが総合的に判断して昇格させるかを決定するのですが、私は2年連続で昇格することができませんでした。
どうやったら役者として売れることができるのか、悩み始めました。

結局、この劇団を諦めて、有名なお笑い芸人が主宰する劇団に入りました。
そこでは1年ほど活動しましたが、演じることへの悩みは深くなっていきました。

2ネットに感じた、未来の表現の可能性

役者を続けようかどうか悩んでいたある日、インターネットで見た大手衣料メーカーのウェブコンテンツに心が動かされました。
女性ダンサーたちの踊る映像と、時刻を表示するアニメーションが交互に流れるコンテンツで、インターネットってこんなにすごい表現ができるんだと思ったんです。
役者として表現するのもすごいですが、未来の表現の可能性を感じましたね。

役者は仕事が来るまで待っている状態ですが、ウェブコンテンツはネット上ですぐに発信できる。
誰でもクリエーティブな発信ができると感じました。
このまま役者をやっていても先に進むのは難しいと思っていたし、別に役者じゃなくても表現の手段があると確信したので、役者を辞めてウェブデザインの学校に通い始めました。

半年ほど学んだ後、ウェブ制作会社で働き始めました。
さまざまなコンテンツの企画から運営・監修を自分から手掛けました。
副業でサイト運営もするようになり、ウェブ制作や運営が楽しくなっていきました。
もっと自分の理想のウェブコンテンツを作りたいと思い、この会社で3〜4年ほど働いた後、独立しました。

どんなコンテンツを作ろうか考えていたところ、「職業」を紹介するコンテンツを思いつきました。
私は役者からウェブの世界に転身しました。
私のように挫折して次の仕事を探すとき、どんな職業があってどれだけ給料がもらえるのか。
セカンドキャリアの参考にしてもらえるようなコンテンツがあればいいなと思ったんです。

でも、ただ紹介するだけでは面白くないので、職業をロール・プレイング・ゲーム(RPG)風のキャラクターで紹介することにしました。
資本主義という世界で戦う企業戦士の人たちをカッコよく表現したい。
戦士といえばRPGのキャラだからRPG風に職業を表現しようと思いました。
前例のないウェブコンテンツでしたが、作っているときはワクワクして面白かったですね。
職業を1から調べて、こんな職業があるのかと驚きもありました。

2016年、職業の紹介・平均給与などをまとめたサイト「給料バンク」が誕生しました。
RPGのキャラで職業を紹介するというコンセプトは、反響がありました。
あるシステムエンジニアの人がツイッターで「子どもに自分の職業を見せることができてうれしい」と投稿してくれたんです。
給料バンクは後に書籍化もされ、40万部のベストセラーになりました。
人が喜ぶことをやるってこういうことなんだ、人に喜んでもらうのって純粋にうれしいし、パワーになると思いましたね。

3変化を恐れず、小さな行動から最初の一歩を

現在はウェブサイトを運営する株式会社WAMICOを経営しています。

今後は、擬人化したエンターテインメントコンテンツを教育分野にも広めていきたいです。
エンタメコンテンツは素晴らしいのですが、一過性で消耗されがちだと感じています。
ここに教育を掛けあわせると、より多くの人に、より長く愛されていくと思うんです。

その1つとして、今は世界の国旗を擬人化したコンテンツを手掛けています。
国旗は国を知るきっかけの1つになると思いますが、ただ勉強するだけだと面白味がありません。
国旗を擬人化して、国民性をキャラの性格や行動習性に盛り込むことで、世界にはいろいろな人がいるんだと興味を持ってくれたらうれしいですね。

元々、僕は勉強が好きではありませんでした。
でも、子どもの頃、戦国時代を取り扱ったゲームで武将や土地の名前、歴史上の出来事を知り、そこから歴史の本を読んで勉強したこともありました。
子どもたちが勉強するきっかけの1つになればいいと思っています。

エンタメにはクリエーティブな発想が欠かせません。
この発想を持ち続けるために大事にしているのが「人を否定しない」ことです。
否定すると考えが凝り固まり、クリエーティブな発想が生まれません。
他人の意見を聞いていると、そこから新しい発想が生まれます。
私はみんなの意見を聞くのが好きで、意見を聞くことで脳が活性化されていきます。

脳が活性化されて、思い立ったら僕はすぐに行動します。
でも、行動して失敗してもいいと思うんです。
僕はたくさんのサイトを運営してきましたけど、収益化ができなかったり、アクセス数が思うように伸びなかったりしたこともありました。
でも、その失敗から次の施策を考えていけました。

行動できないときは、小さな目標を立てることが大事だと思います。
例えば、近所の大きな公園に行くという目標を掲げたとします。
でも公園には面倒くさくて行きたくない。
それなら、まずは外に行くために髪の毛をセットしてみよう。
その後に公園に行きたくなるかも知れません。
もしそれでも公園に行きたいと思わなかったら、近所のコンビニでコーヒーを買って帰ればいいと思うんです。

小さな目標が、もっと小さな目標に変わってもいいんです。
まずは行動すること。

それが変化の最初の一歩になって、大きな変化のきっかけになるかも知れません。
でも、全くやる気が出ないときは、何もしなくていいと思います。

役者からウェブの世界に転身したときは不安もありましたが、人生、結構なんとかなりました。
人生は変化を恐れたら、もったいないと思いましたね。
行こうかどうか悩んでいるときって、行ったら良かったことのほうが多いんです。
新しい世界へ踏み出すために小さな行動を起こしてみることをオススメします。

※掲載している情報は、記事執筆時点(2020年5月)のものです

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