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無人島生活も世界一周旅行も起業も「ちょっとやってみた」私の生き方
【フリーランスのエンジニア・クリエイター・小田貴志】

目次
  1. 挑戦の素晴らしさ、冒険の楽しさを海外登山で体感
  2. 挑戦して好きなことをして生きたい
  3. 失敗を次の発見を見つける手段に

人はどのようにして大切にしたい価値観に気づき、人生の軸を見つけるのか。各界で活躍する方の人生ストーリーから紐解きます。今回は、北海道でフリーランスのエンジニア・クリエイターとして活動する小田貴志さんをご紹介。

中学生のときに自転車で九州縦断、学生時代には海外登山、社会人になってからは世界一周旅行と、挑戦と冒険の人生を歩んできた小田さん。どんな価値観を持って人生を選択してきたのか。お話を伺いました。

1挑戦の素晴らしさ、冒険の楽しさを海外登山で体感

子どもの頃はあまり裕福な家庭ではなかったので、友達が持っているようなおもちゃを買ってもらえませんでした。
父親が解体業をしていて廃材はいくらでもあったので、それを利用して自分でおもちゃを作るような子どもでしたね。

アウトドア派で趣味が山登りの父親の影響で、子どもの頃から新しい場所に行くのが好きでした。
小学生の時、日本各地を自転車で旅している青年をテレビで見て憧れました。
中学校の夏休みに、部活を休んで地元の福岡県の拠点にして自転車で九州を縦断。
この頃から、世界一周旅行をしたいと考えるようになりましたね。

大学生になって行動の幅が広がり、自転車での日本一周旅行も成し遂げ、バックパッカーとして世界各地を回るようになりました。
海外登山にも挑戦しました。
最初は案内人を伴って、ネパールの6,000メートル級の山にチャレンジしましたが、登頂できず失敗に終わりました。
登頂の夢を諦めきれず、今度は北米最高のデナリ(旧名称・マッキンリー)の単独登頂に挑みました。
この時は準備をきちんとしようと思い、大学を休学してバイトをして貯金して、体力をつけるために筋力トレーニングをして山に挑みました。

山を登っている途中、天候の悪さもあって死にかける経験もしました。
登っている時に登山者の亡骸を見たとき、自分はこうなるまいと死に物狂いで登りましたね。
結果、登頂は成功。
挑戦することの素晴らしさ、冒険の楽しさを身をもって体感しましたね。

夏の無人島でのサバイバルにも挑戦しました。
ほとんど荷物を持参せず、ナイフとライターを使っての生活でしたが、あまりの暑さや食料の確保の難しさに、3日で断念しました。

悔しかったので、今度は友人と別の無人島での生活に挑戦しました。
アリを食べたり、タンポポを食べたりしながら、洞窟に住んでいました。
かつて人が住んでいた島だったので、現地の人が置いていった野生のヤギを捕まえて食べたこともありました。
飲み水を確保するために、雨水を濾過する仕組みも作りました。
結局、この島では9日間生活することができました。
辛かったですが、無人島で生活するための試行錯誤をする経験はとても楽しかったですね。

卒業後はNHKに入局し、釧路放送局に配属されました。
仕事は楽しかったですが、働く目的は世界一周するためのお金を貯めることでした。
お金を貯めたら仕事を辞めて世界一周すると、お付き合いしている女性と約束していたんです。
4年勤めた後、2016年3月に退局し、約束通り世界一周旅行に旅立ちました。
この間に結婚もしました。

2挑戦して好きなことをして生きたい

世界一周の旅行先は、観光では行かないような世界各地の秘境と呼ばれる場所を選びました。
普通の旅行先では挑戦的な感じがしなかったからです。

世界一周中の小田さん

世界一周中の小田さん

そうした場所で生活している人たちとの交流で、私の固定概念が崩れていきました。
例えば、山奥の集落で暮らす人たちは生活水準が決して高くないんですが、みな楽しく働きイキイキと生活しているんです。
どんな状況でも、人生は楽しんだ者勝ちだなと思いましたね。

アフリカで宿を始めようとしている人がいました。
彼は水を得るためにゼロの状態から井戸を掘ったり、家を作るために木材を集めたりしていました。

世の中には不満を言いながら悶々と暮らしている人がいます。
でも、こっちの人たちは目標に対して不満を言わずにコツコツやっている。
そんな姿を見て、人間は何でも出来るんだと勇気をもらいましたね。
同時に、私も挑戦して好きなことして生きていきたいと思いました。 1年8ヶ月かけて世界一周旅行をした後、2018年4月、妻の希望で北海道札幌市に移住し、小さな旅行会社に就職しました。

ウェブのリニューアル作業を担当していたとき、作業で使うパソコンソフトの入力の効率があまりよくないと感じました。
もっと効率よく出来ないかと思い、ソフトを使って簡単なプログラムを組んでみたんです。
すると、作業効率が劇的に良くなる仕組みを作れたんです。
これはきちんとプログラムを勉強すればもっと出来る。
世界を変えられると思ったんです。

もっとプログラミングを勉強しようと、妻の理解を得て会社を辞め、独学で勉強を始めました。
どんどんプログラミングにハマっていき、物事に対する考え方もかわっていきました。
たくさん試して失敗して検証する。
この繰り返しで正解に近づけていく”プログラミング的思考”が身についたんです。
ゼロからプログラムを構築して、自分で世界を変える。
プログラミングからは生きる勇気をもらいましたね。

その一方で、食に関するアプリを作りたいと思いました。
夫婦で世界を旅していた時、ストレスの一つとなっていたのが食事だったんです。
観光地を旅していなかったので、場所によっては料理の味が合わないこともあるし、食べることが出来ない日もあったんです。
そんな中で日本に戻ってきて、日本で食べる料理は本当に美味しい。
妻が料理を作って振る舞うのが好きだったのもあり、食べる喜び・楽しさを再発見したんです。
アプリを通じ、食べる喜び・楽しさをもっとみんなに広めたいと思ったんです。

3失敗を次の発見を見つける手段に

フリーランスのエンジニア、ウェブデザイナー、動画作成で生計を立てながら、食に関する日本での課題を探し続けていきました。
その中で、共働きの家庭や単身世帯の人たちが、栄養があって温かい食事をきちんと取っていないことに気づきました。
そこで、ご近所の人が作った家庭料理をシェア出来るサービスを2019年末に東京で立ち上げました。
昭和時代の日本は、おばちゃんが作った料理を近所におすそ分けする文化がありました。
これを私たちが家庭に届けるような仕組みです。

私は人生の中で「ちょっとやってみる」を大切にしています。
ちょっとやってみて、自分に向いているか向いてないか決めればいいと思うんです。
まずは一回やってみる、それでダメだったら次の方法を探せばいいだけですから。

そう思えるようになったのは、学生の時に死にかけた体験が大きいです。
明日死ぬかも知れない。
そう考えるからこそ、人生に対してモチベーションを維持し続けられると思っています。
私は明日死んでもいいように、自分が楽しくてワクワクする人生を選択し、そこに真っ先に飛び込んでみるようにしています。

挑戦を掲げて生きていても、迷うことはあります。
そんな時は自分が好きで楽しいと思うかどうかを真っ先に選択するように心がけています。
辛いことを避けているのではと思われがちですが、決して逃げることではないと思っています。

「好きで楽しい」を選択する生き方をするようになったとき、子どもの頃のことを思い出しました。
家族でレストランに行ったとき、並べられた料理の中から、父親がデザートについていたイチゴから食べ始めたんです。
なんでご飯の前にイチゴを食べるのか聞いたら、「今ここで地震が起きて建物が崩れたら、好きなイチゴが食べられなくなる。だから先に食べたんだ」と言ったんです。
その時、「確かにそうだな」と子どもながらに感じていました。
「好きで楽しい」選択肢は父親の影響があるのかな、とも思いましたね。

人生の旅や冒険は、楽しくなければいけません。
現実的な考えの人は言い訳や理由をつけて、旅や冒険をしたがりません。
賢い人は一歩踏み出すときに考えるクセがあると思いますが、勇気を持って楽しいほうに踏み出せば、楽しい人生が待っていると思います。

私は人生に中長期的な計画は持っていません。
まず決めて、やってみて、行ってみて、そこから考えながら軌道修正していく感じですね。
毎回違うことが起きるのでワクワクしますし、試行錯誤をしながら進んでいくのが楽しいんです。
小さいときは自分でおもちゃなどを作ってきて、その過程で試行錯誤が染みついています。
試行錯誤というと言葉のイメージはネガティブに捉えがちですが、私は創意工夫という言葉に置き換えてポジティブに変換しています。

もちろん失敗もたくさんします。
でも私は、失敗を失敗と捉えていません。
人生は一度きり、明日死ぬかも分からないので思うがままにやった者勝ちだと思っています。
失敗を次の発見を見つける手段として次に生かし、ダイナミックな人生を歩んでいきたいと思います。

※掲載している情報は、記事執筆時点(2020年3月)のものです

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