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公務員は最強のツール 持続可能なまちづくりを神戸から世界へ

神戸市役所職員 秋田 大介

2公務員としての財産 面白い市民とのつながり

そんな状態が10年近く続いた2013年、神戸市の都心部である三宮駅周辺の再整備プロジェクトを立ち上げる部署に異動しました。
そのタイミングでアメリカに視察に行く機会を得て、まちづくりの最新事例を学んできました。

各都市で行政や住民の方から話を聞く中、視察先の一つであるポートランドでのヒアリングで、衝撃を受けました。
住民のみなさんの街に対する意識が高く、街が目指す方向性について行政の人並みに語ってくれました。
そして、ひとりひとりが自分の住む街ポートランドを「こんな街にしたい」という思いを持っていたんです
行政と住民のコミュニケーションがきちんと取れているんだなと実感しました。

それまでは、まちづくりは行政が主導していくものだと思っていました。
でも、いいまちづくりの進め方は、街の人にいかに一緒になって考え、行動してもらうかが大事なんだと痛感しましたね。
住民と行政が近く、みんなが「こんな街にしたい」という思いを共有することが大切なんです。
神戸の都心部のビジョンを描くために、市民を巻き込もうと思ったのです。

どうしたら街が良くなるのか。
帰国後、市民を巻き込むため、街の人からゼロベースで意見を公募するパブリックコメントを市のホームページで実施しました。
通常、内容がほぼ決まってしまっている計画のパブリックコメントに住民の意見はほとんど寄せられないのですが、300件以上の前向きな意見が寄せられたんです。
市外の人も、県外の人も、中には南米のコスタリカから意見を寄せてくれる神戸出身の方もいました。
神戸のことを考えてくれている人がこんなにもいるんだと思い、嬉しかったですね。
みなさんの意見を分析して集約し、ビジョン策定に生かしました。

「300人会議」というワークショップも企画しました。
小学生低学年から90歳手前くらいまでの市民が集まり、街をよくするために意見交換をしました。
ポートランドだけではなく、神戸市民の皆さんが自分の街をよくしようと、それぞれがきちんとした意見を持っていることに感動しました。

多くの市民に関わってもらおうと、市にゆかりのある1,000組の動画を撮影し、まちの未来の姿を語ってもらうプロジェクトも立ち上げました。
みんなが未来のまちで何をしていくのかを語ってくれるのを見て、自分が関わるまちには、こんな魅力的で素晴らしい人がたくさんいるんだと思いました。
動画はSNSで拡散し、たくさんの人に見てもらうことが出来ました。

最後を飾る1000組目の動画撮影時の集合写真

最後を飾る1000組目の動画撮影時の集合写真

撮影を進めていく中で、「最後の1,000組目は誰にしようか」という意見が出ました。
確かに最後の人選は大事です。悩みながら出したのは、これまで動画に出てない人も出た人も出たい人はみんな集まれ!という結論でした。
市民に声をかけたところ、400人以上が動画撮影に参加してくれました。
この人たちとなら、未来のまちづくりが出来ると確信しましたし、公務員としてこんなに面白い人たちとつながれたのは、貴重な財産となりましたね

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3. 持続可能なまちづくりのために全力で生き抜く
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