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一流ヘアデザイナーとしてオシャレを追求。
その原点はコンプレックスだった
【ミスエッセンス代表/トップヘアデザイナー・MAYUMI】

目次
  1. もっと、可愛くなりたい
  2. 誰にだって似合うヘアスタイルがある
  3. 全ての人が、自分に似合うスタイルを手に入れるために

人はどのようにして大切にしたい価値観に気づき、人生の軸を見つけるのか。各界で活躍する方の人生ストーリーから紐解きます。今回は、名古屋と表参道で、美容室「ミスエッセンス」を経営するMAYUMIさんをご紹介。

60歳になっても現役美容師として現場に立ち続け、個人売上は10年連続年間1億円超えを達成し、今なお記録更新中。美容師業界のNo.1レジェンドといわれ、全国各地からお客さんが来られます。

独自のカット理論「MAYUMIカット」は、欠点が解消され小顔に見えると支持を集めました。最近はファッションまで含めたトータルコーディネート理論を綴った著書を出すなど美容師業界から注目を浴びています。

実は、もともと美容師になりたい訳ではなかったMAYUMIさん。似合う髪型に出会ったのをきっかけに、誰にでも似合う髪型があると気づき、その「似合わせ方の技術」の勉強に打ち込むように。美容師として働きながらも研究を続け、自らのカットを追求するため開業しました。MAYUMIさんが美容師として生きる覚悟を決める過程には何があったのか、お話を伺いました。

1もっと、可愛くなりたい

小さい頃は自分を可愛く見せるにはどうすれば良いのかにすごく関心がありました。
きっかけとなったのは幼稚園でのお芝居。
お話は白雪姫で、私の大好きな物語でした。
白雪姫役になりたいと手を挙げたのですが、配役は、白雪姫にいじわるをする王妃の役。
子どもながらに、何かが原因で見た目が可愛くなくて、白雪姫にはなれなかったと衝撃を受け、どうしたら可愛く見えるのかを人一倍考えるようになりました。

オシャレに気を配るようになったのには、父の影響も大きいです。
父は当時流行していた着せ替え人形とその服を数えきれないほど買ってくれました。
買ってもらった人形と服で私は毎日、着せ替え遊びに没頭。
いつしか自分自身の服、靴、鞄、帽子といったトータルコーディネートに関心が向くようになりました。

オシャレに気を配っていたものの、髪型だけはどうしても気に入るデザインが見つかりませんでした。
幼い頃は、父が好きなモデルと同じショートヘアにしていたのですが、私は顔が長かったので似合わなかったんです。
ボーイッシュな服装を好んでしていたこともあって、小学生のとき、友達から猿みたいと言われたことや、男の子に間違われたこともあります。
可愛くなりたいと思っていた私にとっては、とてもショックでしたね。

叔父がロンドンにいた影響で海外のファッション誌をよく読んでいたのですが、その雑誌の中にすごく綺麗なヘアスタイルが載っていました。
ヘアデザイナーのヴィダル・サスーンのヘアスタイルでした。
いつかサスーンのサロンでカットしてもらいたいなと思うようになりましたね。

どうにか自分に似合うヘアスタイルを見つけたいと中学生の頃から、岐阜の実家から東京の美容室までわざわざ通いましたが、結局、満足のいくヘアスタイルには出会えませんでした。

2誰にだって似合うヘアスタイルがある

高校卒業後はファッションに関わる仕事をするため、流行の最先端東京に出たいと思っていました。
しかし父から反対され、諦めることに。
がんじがらめだった自分の状況に嫌気がさし、高校卒業してすぐにロンドンに住む叔父のところに行きました。
ロンドンにあるサスーンのサロンでカットしてもらいたいという気持ちもありました。

念願のロンドン、サスーンのサロンでのカットは、衝撃的でした。
当時流行っていた髪型の写真を見せ、ベリーショートではなく、ショートボブのスタイルに切ってもらいましたが、日本で切ってもらったときと仕上がりが全然違って、とても似合っていました。
私にも似合うヘアスタイルがあるんだなと思いましたね。

同時に、シルエットが白人と日本人では違うことに気づき、白人のシルエットに近づけるためには新しいカット理論が必要だと感じました。
そこで、カットの理論を学ぶため、サスーンの経営するヘアカットのスクールに通うことにしました。
勉強すれば日本の美容室でもオーダーできるようになると思ったんです。
美容師になりたい気持ちは1%もありませんでしたね。

ヘアカットのスクールに行くことで、髪を切るのには、理論があることを初めて知りました。
学校に通うまでは、美容師の感覚で切っていると思っていましたが、違うんですよね。
セクションごとに髪の束を分け、理論的に髪の毛を切る。
まるでアトリエの工房のような雰囲気で、髪を切ることって、合理的なものなんだと思いました。

帰国後は美容の専門学校に通い、卒業後美容室で実務経験を積みました。
経験を積むうちに美容師になる覚悟が固まっていきました。
小さい頃から母に「将来は何の仕事をするの?」とよく聞かれていて、働かないことは、ありえないと思っていたこともあります。
周囲の友人たちが大手企業就職などそれぞれの道に進むのを傍目に、私には美容師になるしか仕事を続ける選択肢はありませんでした。
もう後戻りはできないなと思い、美容師として頑張ろうと思いました。

結婚後も家事をこなしつつパートとして美容室で働きました。
ただ、いくら日本で勉強しても、サスーンのように綺麗なラインのカットを自分の手では表現できませんでした。
出産・育児のため2年ほど仕事から離れた後もパートとして美容師に復帰。
母が退職し、子育てを任せられるようになったのをきっかけに独立を決めました。

どうしても他の美容室とはカットに対する考え方が合わず、理想のカットを追求し続けるためには、自分でやるしかなかったんです。

最新のヘアデザインを学ぶためにロンドンにヘアショーを見に行ったり、有名な美容師の方に師事したり、技術と理論の勉強を続けました。
手探りからのスタートでしたが、次第に、頭の形が良くない人でも、丸みのあるフォルムで頭の形をよく見せるカットや、頭を前後左右の4面で考えるのではなく、斜めからのフォルムも含めた8面で考えてカットする手法など、独自のスタイルが確立されていきました。

開業して7年後、2店舗目を出店。
さらに日本最大級のカットデザインコンテストで準優勝するなど周りから見れば順調に見えたかもしれません。
しかし、内心、私にはまだまだ技術が足りないと感じていて、少しでも中身のある人間になりたいと、ひたすらカット技術を磨きました。

42歳のとき、美容業界の方々から「これまで周りの人に生かされてきたんだから、世のために尽くさなきゃ」と言われたことをきっかけに、他の美容師に技術を教え始めました。

3全ての人が、自分に似合うスタイルを手に入れるために

現在は、名古屋と表参道で、美容室「ミスエッセンス」を経営しています。
長年の研究の末理論化した「MAYUMIカット」は、立体的な卵型シルエットとオリジナルの前髪を実現し、小顔に見える、リフトアップして見えると、大人の女性を中心に多くの支持を集めています。
美容師業界からは「似合わせの女王」と呼ばれています。

また、講師として、他の美容師に技術を教えたり、自分のカットやファッション理論を解説した書籍の出版なども行っています。
最近は独自の似合わせのロジックから、ヘアスタイルのみならずファッションまで含めたトータルコーディネート理論を書籍「MISS ESSENCE MAYUMI」で発表。
美容師業界初の試みと注目されました。
書籍の出版を行う背景には、もっと多くの人にファッションを通して幸せになってほしいという気持ちがあります。

人は内面も大事ですが同じくらい外見も大事で、見た目にはその人の哲学が現れるのだと思っています。
そんな見た目からそれぞれの人が魅力的に見えるスタイルを見つけるお手伝いをすることで、自分らしく輝く人が増えると思うのです。

最近は、「見た目年齢マイナス15歳」をかなえるためにもMAYUMIカットを推奨しています。
さらに、カットのみならずファッションについてもコーディネートをしています。
いろいろなことをしているように見えるかもしれませんが、その根本にあるのはいつも同じで、それぞれの人が抱える哲学をファッションとして見える形に表現するということ。
これからも一人でも多くの人が、自分に合ったオシャレを見つけるお手伝いをしたいです。

また、講師として技術を教えたり、書籍を出版する背景には美容業界に貢献したいという気持ちもあります。
私が研究を重ね、言語化してきたファッションの理論を学んでもらうことで、カットに関する技術に加え、それぞれの人にあったトータルコーディネートができるようになります。
そうすれば美容師の仕事の定義が広がり、地位の向上にも繋がるのではと思っています。

私がこの歳になっても現役であり続ける背景にも、美容業界へのメッセージが込められています。
美容師はある種職人的な側面もあり、その技術は長い月日で磨き抜かれていくものです。
にも関わらず、現場で年齢の高い美容師の姿は見かけません。
それではせっかくの素晴らしい技術がもったいないです。
また、年齢が高いと同じような年代の人たちのファッションコーディネートの精度が上がります。
これまで学んできたことを活かし、お客様に還元するためにも、現場に立ち続ける美容師でありたいです。

多くの方に応援いただきここまで歩んでくることができました。
そんな方々へ感謝を伝え、お返しするためには、挑戦し続けることだと思います。
美は力であり、生きる源。
これからも、一人ひとりのお客様を綺麗にするために挑戦していきます。

※掲載している情報は、記事執筆時点(2020年4月)のものです

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ご協力ありがとうございました
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