シェアする
Twitterでシェア Facebookでシェア

ダメリーマンから「片付けパパ」へ。
伝えたいのは人生を変える思考の整理法
【片付けパパ代表・大村信夫】

目次
  1. 父と母の死が教えてくれた命の使い方
  2. 片付けとの出会いで拓けた人生
  3. もっと多くの人が自分らしく生きるお手伝いを

人はどのようにして大切にしたい価値観に気づき、人生の軸を見つけるのか。各界で活躍する方の人生ストーリーから紐解きます。今回は、大手電機メーカーで働くかたわら、副業として片付けのノウハウを教える「片付けパパ」として活動する大村信夫さんをご紹介。

40歳まで典型的な「ダメリーマン」だった大村さんは、たまたま「片付け」と出会い、その魅力に気づきます。また、片付けの根本にある考え方が仕事や人生にも活用できると感じ、人が自分らしく生きるお手伝いを始めます。大村さんがどのようにして自分の使命を見つけていったのか、お話を伺いました。

1父と母の死が教えてくれた命の使い方

僕は、就職して20年近く典型的なダメリーマンでした。
目標もなくだらだら生き、40歳を迎えようとしていたある日、久しぶりに実家に帰省。
家の整理をしていると、物心つく前に亡くなった父が親戚に宛てた手紙を見つけました。

そこには家庭を顧みずに仕事や同僚や部下との付き合いを優先していたこと、もっと家族と一緒に過ごせばよかったと後悔していたことが綴られていました。

手紙の最後には、「家族ともっと過ごしたい、一日でも長く生きたい」と書かれていました。

僕が毎日無駄に過ごしていた一日は、父にとって、何としても生きたかった一日だったと気づき、自分の生き方では必ず後悔する、変わらなければと思いました。

どうすればもっと有意義に生きられるのかと、いろいろなセミナーや交流会に顔を出すように。
毎日を楽しそうに生きている人たちとお会いし、何に取り組んでいるのか、どんな想いをもっているのか聞いて回る中で、毎日をワクワク生きている人たちは人生のミッションや使命を発見し、実践しているという共通点があると気づきました。
自分の使命とはなんだろうと考え始めるようになりました。

父の手紙を読んで1年後、今度は母にガンが見つかりました。
それから1年もせず、容体が急変。

急いで病室に駆けつけると、ドラマのワンシーンのような状況が広がっていました。
ベッドの上に母が横たわり、その回りを医者や看護師が取り囲む。
静かな病室で心電図だけが「ピッピッ...」と鳴り続けます。

ついに、規則正しく鳴っていた音が途切れ「ピー」っと長い電子音が鳴りました。
その瞬間、僕はまるで母の時間だけが「ぽっかり」と無くなったような、不思議な感覚を味わいました。
他の人には流れている時間が、母にはない。
母の時間はずっと止まったまま。
命とは時間」という言葉が腑に落ちました。

辛い気持ちの中、現実から逃げるようにたくさんの本を読み漁って見つけた本。
そこに「人生で大事なのは自分以外の人に自分の時間を使うこと」と書かれてありました。
思えば母は、たとえお金はなくても自分の時間を他人に使えば喜んでもらえるんだと言っていたことを思い出しました。

時間とは命であり、他人のために時間を使うことこそ「使命」なのだと悟りました。

2片付けとの出会いで拓けた人生

そんな中、たまたま高校の同級生が片付けのプロとして活動していると知りました。
僕の家族は全員、片付けが得意ではなく、家の中は常に散らかり放題だったので、ちょうどいいと思い、お願いしました。

プロにさまざまなノウハウを聞く中で、片付けはセンスではなくスキルでするもので、誰にだってできるものなんだと学びました。

また、ものが整えば心も整うのだとも実感しました。
片付けのノウハウを通して綺麗なまま暮らす考え方が身につき、誰も散らかさなくなったのです。
探し物が少なくなり、イライラする時間が減りましたし、片付けによってこんなに人の心は変わると感動しました。

そんなノウハウをもっと学び、人に伝えたいと思い、男性では珍しい片付けのプロ資格「整理収納アドバイザー」を目指すように。
資格の勉強では、具体的な片付け手法を学びました。
ただ、勉強するほど、片付けの基礎となっている考え方は他の日常生活でも活かせるのではと思うようになりました。

たとえば、片付けの本質は「選択と集中」で、優先順位を決めるのが大事でそれは仕事や人生においても同じです。
だからこそ片付け時に用いる取捨選択のフレームワークはそのまま仕事や人生での優先順位づけにも転用できると思ったのです。
これまで人に会ったり、ビジネススクールや勉強会で学んできた考え方と整理収納アドバイザーでの学びが融合した瞬間でした。

片付けを通して、思考を整理し、人がやりたいことを見つけるお手伝いができると気づき、この考え方を多くの人に伝えたいと思うようになりました。
私自身、無為に生きるのをやめたことで人生を大きく変えられたので、そんな経験を多くの人に味わってほしいと思ったのです。

出会う人が自分らしい花を咲かせる応援をする、それこそが自分の使命であり、ミッションだと思いました。
そのため自分は「ミツバチ」でありたいと思いました。
ミツバチはいろいろな花を行き来しながら、受粉のお手伝いを行います。
僕も、今まで学んできたことや知り合った人を通して、動き回りながら人にきっかけや気づきを与えたいと思ったのです。

そこで、会社に申請を出し、片付けの考え方を通していろいろな人が自分のミッションを見つけるお手伝いを副業として始めました。
認知されやすいように自分を「片付けパパ」と呼ぶようにもなりました。

3もっと多くの人が自分らしく生きるお手伝いを

現在は、企業に勤めつつ、主に休日の時間を使って「片付けパパ」として活動しています。
PTAや企業をはじめ、いろいろな場所で講演やワークショップを行なったりしていて、メディアに取り上げられたりもしました。

やりたいことの見つけ方をセミナーで解説する大村さん

やりたいことの見つけ方をセミナーで解説する大村さん

講演では、前半は片付けの基本となるスキルや理屈を教え、後半はその理屈を人生に応用する方法を伝えています。
いきなり人生の話をするセミナーを開催しても誰も来てくれません。
だからこそ「片付け」を入り口に、僕が実践している人生に好循環を生み出す方法をお伝えしています。
対象は、人生を前向きにしたいと考えている人全員だと思っています。

僕自身、お酒を片付け5年以上断酒に成功していますし、贅肉を片付け15キロほど痩せました。
他にも、無用な思いこみを片付け、いろいろなチャレンジを成功させています。

また、企業とのタイアップを行い、さまざまな会社で片付けの本質にあるメソッドをビジネスに活用する手法を話したりしています。
自社で講演させてもらう機会をいただいたり、社内に、人生の目的・ミッションを探求しようという集まり「ミッション・ラボ」を作ったりして、副業を本業に還元できたりもしています。

最近は「自分OSアップグレード方法」と題し、自分の価値観を見つけてもらうワークショップを開いたりもしています。
5年前に自分をダメリーマンから片付けパパにアップグレードした経験を元に、参加者が自分自身をアップグレードする方法をお伝えしています。

今後も、いろいろな場所で講演やワークショップを開催し、「ミツバチ」として多くの人が自分らしく生きるお手伝いをしたいと思っています。
自分のやりたいことが見つかっているか否かは、人生の満足度にも関わってきますし、長い人生を生き抜くにも必要だと思っています。

自分の活動を通して、父と母から教えてもらった気づきを、多くの人に伝えれば少しでも親孝行になるのではとも思っています。

※掲載している情報は、記事執筆時点(2020年3月)のものです

この記事は役に立ちましたか?
はい いいえ
ご協力ありがとうございました
Related Stories

関連ストーリー

この記事を読んでいる人は、こんな記事も読んでいます
シェアする
Twitterでシェア Facebookでシェア

マイマガジン

旬な情報をお届け!随時、新規ジャンル拡充中!