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カフェインの過剰摂取が流産を招くという調査結果が話題になっています。もちろん流産の原因はカフェインだけではありませんが、少しでも流産のリスクは取り除きたいものです。

今回は、医学博士の筆者が、“カフェインをはじめとする流産リスク”についてお話させて頂きたいと思います。

流産リスクなんと2倍!? 妊娠前から注意したい「カフェイン」との付き合い方



■眠気覚ましの定番、そもそも「カフェイン」とは?

眠くなったら眠気覚ましでコーヒーを飲む、お茶を飲む、などと言う経験をしたことがある方も多いかもしれません。

カフェインとは“アルカロイド”と呼ばれる有機化合物の一種であり、中枢神経、すなわち脳に作用することで精神神経系を興奮させる働きがあります。

その作用によって眠気を取ってくれたり、集中力を高めたりと、日常生活の中で欠かせないという方も多いのではないでしょうか?

カフェインはコーヒーに多く含まれているというイメージですが、実際には緑茶や紅茶、チョコレートなどにも含まれており、実に身近な物質であるということが言えます。

また、なかなかイメージが沸かないかもしれませんが、医薬品などにも使用されており、“無水カフェイン”として風邪薬の中にも含まれていることが多くあります。

場合によっては、偏頭痛の治療薬としても用いられることがあります。



■カフェインの過剰摂取による影響

カフェインは適量摂取すれば脳を活性化させ、集中力が高まるものとされていますが、過剰摂取すると、頭痛や吐き気、眠れなくなる、心拍数が増加するなどの症状が出てきてしまうことがあります。

おおよそ摂取目安は以下の通りとなります。

・成人:自分の体重1kgにつき、1日に5.7mg
・小児~青年:自分の体重1kgにつき、1日に3mg
・妊婦・授乳婦:1日200mgまで

では実際に飲料に含まれているカフェイン量はどれくらいなのかの目安も表します。

・緑茶ペットボトル1本分:60mgから100mg
・紅茶ペットボトル1本分:約94mg
・インスタントコーヒー1杯:約62mg
・コーヒー(豆からの抽出)1杯:約95mg

エナジードリンクとなると、これらよりも多くのカフェインが含まれております。

また、カフェインには軽いものですが、依存性や耐性が形成されると言われています。依存性とは、カフェインを摂取しないとカフェインが欲しくて仕方なくなってしまうようなもの。

耐性は、カフェインを摂取しても効果が感じられないと言ったもので、徐々に摂取量が増えてしまうようなものを言います。



■「妊娠前から計画的」にカフェイン摂取量を減らすのが理想

妊婦生活に入るまでの生活習慣で、ほぼ毎日のようにカフェインを摂取していたのに、妊娠がわかったらすぐにカフェインを止めるという方も少なくありません。

しかし、前述したようにカフェインには軽いとは言え、依存性があるものですから、やはり急激にやめてしまうとストレスと感じてしまうかもしれません。ストレスは妊娠維持に大敵です。

せっかくカフェインを止めたのに、ストレスを抱えてしまうのは良くありませんので、計画的に妊娠する際には、少しずつカフェインの量を減らしていって、カフェインが無くても大丈夫になった時に妊娠するというのが理想的かもしれません。



■カフェインがもつ流産リスク

カフェインの摂取は流産リスクを高めてしまうというデータがあります。

アメリカにおける研究データによるとカフェインを1日に200mg以上摂取していると、流産の確率が2倍になったという報告があります。

分かりやすい例で例えると、コーヒー約2杯分で200mgに達してしまうということになりますが、コーヒー好きの方であればこれくらいの量は当たり前のように飲んでしまいたくなるのではないでしょうか?

カフェイン自体、胎盤を通過しますので、胎盤を通じて胎児に悪影響を及ぼすのではないかと予測されています。

流産にはならないとしても、胎児に何かしらの影響がある可能性も示唆されているので、やはり上限を超えて摂取しない方が良いということが分かります。

だからと言って、急に全くゼロにするという必要性は無く(むしろ普段の生活の中で全くゼロにするのは難しいと思われます)、上限となる“200mg”を超えての摂取を避けるようにしましょう。



■「流産リスク」を低減させるための生活習慣

流産リスクなんと2倍!? 妊娠前から注意したい「カフェイン」との付き合い方

流産のリスクとしては様々なものが挙げられますが、やはり普段の生活の中で一般的に“身体に悪い”と言われるものは、やはり妊娠維持に好ましくなく、カフェインのみならず、喫煙や飲酒、薬剤の摂取(妊娠維持のための薬剤は除く)、ストレス、冷えなどには、注意する必要性があります。

しかし、全部が全部生活習慣が原因で流産してしまうというわけではありませんので、あくまでも“流産リスクの低減”と言う視点で見るようにして下さい。

妊娠がわかったら、もしくはこれから妊活をするという場合には、ストレスにならないように、前もって生活習慣を変えていくことで、胎児のため、そして妊婦であるママ自身にとって、ゆとりある良い環境を整えられます。

少しでも体調が気になる場合には、すぐに産婦人科の先生に相談するようにしましょう。

【参考・画像】

※ EFSA explains risk assessment. Caffeine

※ antoniodiaz / Ruslan Iefremov – Shutterstock

【著者略歴】

※ 川上 智史・・・北里大学大学院医療系研究科医学専攻博士課程修了、医学博士。予防医学を専門とし、医学的に美と健康に主眼を置き研究を続ける。各種教育機関や講演会において予防の重要性を啓発している。